株式の売却損が生じたら確定申告で節税を

1年間の株式売買をトータルした結果売却損が出た場合は、株式売却に対して税金はかかりません。そのため、確定申告をしなくても問題にはなりません。
しかし、上場株式等の売却による売却損は、確定申告することで翌年以降3年間繰り越すことができるのです。
繰り越した売却損は、翌年以降の売却益と損益通算ができます。損益通算しなければ売却益に課されるはずの税金が、損益通算した分だけかからなくなります。つまり、売却損を繰り越すことは将来の節税につながるのです。

源泉徴収ありの特定口座でも売却損の繰り越しは確定申告が必要

源泉徴収ありの特定口座は売却益が出ていても確定申告は不要ですが、売却損が生じた場合でも証券会社が自動的に損失の繰り越しの手続きを行ってくれるわけではありません。自身で確定申告をしなければ損失の3年間繰り越しの制度を適用することができませんので十分に注意してください。

要注意-損失繰り越しの確定申告は毎年連続してすることが必要

売却損は確定申告することにより翌年以降3年間繰り越すことができますが、1回確定申告しておけば自動的に3年間繰り越してくれるわけではありませんので注意が必要です。
例えば、平成20年に上場株式の売却により100万円の売却損が出たため確定申告したとします。
もし、平成21年に株式の売却を全くしなかったため、売却益も売却損も生じなかったからといって、確定申告をしなければ、せっかく平成20年に繰り越した損失が消滅してしまうのです。 売却損を翌年以降3年間繰り越すには、「毎年連続して」確定申告をすることが条件となります。
また、繰り越した過年度の売却損と当年の売却益を損益通算するときも確定申告が必要です。売却損を確定申告したら将来売却益が生じた時に自動的に損益通算してくれる、というわけにはいきません。

源泉徴収ありの特定口座で売却益がある場合は他口座の売却損も要確認

売却損の繰り越しの前に、当年中の各口座間の売却損・売却益の損益通算ができないかどうかも確認しておきましょう。
複数の口座で売買をしている方は、源泉徴収ありの特定口座で売却益が出ていないかどうかチェックしましょう。もし、他に売却損が生じている一般口座や特定口座があれば、売却益の出ている源泉徴収ありの特定口座を確定申告することで売却損との損益通算が行われ、源泉徴収されていた税金の一部または全部が還付されます。
ただし、源泉徴収ありの特定口座での売却益が他の口座での売却損より多い場合は、源泉徴収ありの特定口座の売却益を確定申告することで、差し引きの売却益が合計所得金額に加算されます。その結果、本人や家族の増税や社会保険料増額につながることもありますので注意が必要です。繰り越した過年度の売却損と損益通算するために当年分の源泉徴収ありの特定口座で生じた売却益を確定申告する場合も、当年分の売却益が合計所得金額に加算されるため、同様の注意が必要となります。

本コラムに記載された税金に関する記述は一般的な取り扱いを説明したものです。他の所得の状況をはじめ、さまざまな要因により本コラムの記載内容とは異なる取り扱いとなる可能性があります。ご不明な点は税務署や税理士等へご相談ください。

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