日本株を1株から買えるようになりました

 2023年4月から楽天証券では、日本株を1株から売買できる「かぶミニ」(単元未満株取引)を開始しています。対象銘柄は、東京証券取引所に上場している1,000銘柄です。
かぶミニ(単元未満株取引)取扱銘柄一覧

 日本株は通常100株からしか買えません。そのため株価1,000円で買える銘柄ならば、最低でも10万円(1,000円×100株)ないと投資できません。単元未満株取引ならば、1株1,000円から売買が可能です。

 1株保有しているだけでも、株数に応じて配当金を受け取ることもできます。いろいろな高配当利回り株に分散投資することができます。NISAや新NISA口座で、投資することもできます。

 詳しくは、以下を参照してください。
かぶミニ(単元未満株取引)

 今日は、みなさまに「かぶミニ」を使って、日本が誇る「世界トップ企業」5社を、5万円でまとめ買いする方法を解説します。

製造業に投資する価値

 製造業の世界トップ5社を紹介する前に、「そもそも製造業に投資する価値はあるか」という点について、最初に私の考えをお伝えします。というのは、製造業が成長していたのは20世紀までで、21世紀に入ってからは製造業で成長するビジネスモデルは崩壊しました。代わりに情報通信、サービス業の成長する時代になっています。

 私は、純粋な製造業に投資する価値は低いと思っています。ロボット・半導体や、ITを駆使して変革する製造業のみ、投資する価値があると思っています。

 20世紀は、モノの豊かさを求めて人類が努力した時代でした。当時は、モノの大量生産技術を開発した製造業に投資すると、高い投資成果が得られました。ところが、21世紀に入り、状況は変わりました。モノは人気が出て一時的に不足しても、すぐ大量供給されて、価格が急落するようになりました。

 モノが供給過剰になる中、良質なサービスは供給不足が続いています。医療・介護・保育・教育・防犯・警備・ドライバー・熟練建設工など、良質なサービスが不足している分野はたくさんあります。

 サービスは、モノのように工場で大量生産することができないからです。供給を10倍にするためには、投入する人材を10倍にしないとならない分野が数多く残っています。

 21世紀の成長産業は、情報通信・サービス産業です。不足する「良質なサービス」を安価に大量生産する仕組みを作った企業が成長する時代となりました。今後、チャットGPTなど、より進化したAI(人工知能)を駆使する企業の成長が高まると予想しています。

 製造業でも、ITを駆使した技術革新が急速に進んでいます。今日ご紹介する日本の製造業5社は、ロボット・半導体や、ITを駆使して変革する自動車・電機企業など、成長性を有する製造業として私が期待している銘柄です。

製造業の「世界トップ企業」5社をまとめ買い

 私がファンドマネージャー時代から好きだった、製造業の成長株5社をご紹介します。いずれもITを駆使して革新していく製造業で、IT時代の成長株として私が期待している銘柄です。

日本の製造業「世界トップ企業」5選:2023年6月14日時点

コード 銘柄名 世界トップクラス事業 株価 PER 配当利回り
7203 トヨタ自動車 自動車 2,310 12.1 2.9%
6758 ソニーグループ ゲーム・映画・音楽・画像センサー 14,035 33.1 0.6%
4063 信越化学工業 シリコンウエハ・塩ビ 4,850 15.9 2.1%
6981 村田製作所 積層セラミックコンデンサ 8,616 41.3 1.7%
6954 ファナック 産業用ロボット 5,211 32.9 1.9%
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(2024年3月期市場予想)を6月14日株価で割って算出、1株当たり配当金はトヨタ66円、ソニー80円、信越化104円、村田製150円、ファナック101円。PERは、株価を1株当たり利益(2024年3月期市場予想)で割って算出。市場予想は、QUICKコンセンサス予想

 上記5銘柄をかぶミニを使うと、5万円でまとめて投資することが可能です。以下は、5銘柄で組む5万円ポートフォリオの一例です(実際に買い付ける場合にかかるスプレッドを考慮しないベース)。

日本の製造業「世界トップ企業」5選から組むポートフォリオ

コード 銘柄名 株価 株数 金額 構成比
7203 トヨタ自動車 2,310 4 9,240 19.7%
6758 ソニーグループ 14,035 1 14,035 30.0%
4063 信越化学工業 4,850 2 9,700 20.7%
6981 村田製作所 8,616 1 8,616 18.4%
6954 ファナック 5,211 1 5,211 11.1%
  合計   9 46,802 100%
出所:楽天証券経済研究所が作成

 以下、5銘柄の投資判断について、簡単にコメントします。

【1】トヨタ自動車

 自動車生産で世界トップ。グローバルな生産・販売で揺るぎない体制を築き、ガソリン車・ハイブリッド車では欧米・アジア企業の追随を許しません。業績好調で、今期(2024年3月期)は、売上高・営業利益・純利益とも過去最高となる見通しです。

 ガソリン車から次世代エコカーへの乗り換えが世界的に進むことが、ガソリン車で世界トップのトヨタにとって不安材料ですが、次世代エコカーの候補であるEV(電気自動車)・燃料電池車(水素自動車)の開発でも先行しており、有力プレイヤーとなる期待があります。

 2027年にも、全固体電池を搭載したEVを投入するメドができたと発表したことが、注目されています。

 詳しくは、以下レポートを参照してください。
3分でわかる!今日の投資戦略:2023年6月14日

【2】ソニーグループ

 ソニーグループは、画像センサー(半導体)で世界トップ、ゲーム・音楽・映画も世界トップクラスのビジネスに育て上げました。

 20世紀のソニーは、テレビ・音楽プレイヤーなどハードで稼ぐ製造業でした。ところが、21世紀に入り、ビジネスモデルを完全に転換しました。今は、ゲーム・音楽・映画・金融などのソフトで稼ぐ企業に転換しています。IT系総合エンタメ企業として成長する余地が大きいと判断しています。

参考:ソニーグループの事業セグメント別営業利益:2023年3月期

出所:同社決算説明資料より楽天証券経済研究所が作成

 

【3】信越化学工業

 信越化学は、半導体材料として不可欠のシリコンウエハで世界トップ企業です。米国で展開する塩ビ事業でも世界トップです。半導体材料は成長事業として、塩ビは安定収益源として評価しています。

 半導体産業は、これまで世界的に高成長が続いてきました。これからも、データセンター・自動車・家電・産業用機器などに、成長が続くと考えられます。来年にかけて、AI開発のための需要拡大が期待されます。

【4】村田製作所

 積層セラミックコンデンサで、世界トップ企業です。電気を蓄え、不要ノイズを取り除く電子部品で、高性能化する世界のスマホの基幹部品を開発・製造しています。今後、あらゆるエレクトロニクス製品に搭載されていくと期待されます。

 自動車向けでも成長が期待されます。自動ブレーキなど先進運転支援システムの普及が進むと、コンデンサの需要拡大につながります。

【5】ファナック

 産業用ロボットで、世界トップ企業です。今後は、産業用ロボットよりサービスロボットの方が高い成長を実現すると考えられています。ただし、産業用ロボットもさらに普及が進み、成長する余地があると考えています。

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