次の「ユニクロ」を探すには?「売上成長率」がポイント

 成長企業株は、株式投資の王道です。自分が選んだ会社の業績が成長し、株価も上がってリッチになっていく経験をした人は、株式投資にお金もうけ以上の喜びを感じることでしょう。

 成長株の例としてしばしば取り上げられるのは、衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングです。1994年7月に広島証券取引所(2000年3月に東京証券取引所が吸収)へ株式を上場したばかりのころは、地元山口県など中国地方の郊外に小規模な衣料品店をチェーン展開する地方企業でした。

 その後の快進撃は、説明するまでもないでしょう。柳井正会長兼社長の陣頭指揮の下、売上高2兆円を超える規模へ一気に駆け上がり、今では世界有数の衣料品小売りグループです。

 ファーストリテイリングの株価は現在(2022年3月23日)6万3,810円。上場した際の初値は1万4,900円なので、一見すると4.3倍ですが、過去に株式分割を6回行っていることで、株数も14.52倍に増えています。株価が4.3倍に値上がりし、さらに購入した株数が100株から1,452株に増えているイメージとなります。仮に初値で100株買っていた場合、149万円の資金が現在では9,265万2,120円になっているのです。

 ファーストリテイリング以外にも、サイバーエージェントやヤフー(現在はZホールディングス傘下)など、さらに大化けしている銘柄もあります。買い値を上回った銘柄ほど長く保有する方針で投資すれば、今は小規模でもやがてファーストリテイリングのように急成長する銘柄に巡り合うチャンスが生まれてくるといえるでしょう。

 成長株を探すうえでは、売上高の成長率が最大のポイントになります。株価に反映されるのは売上高よりも、むしろ利益ではありますが、売上の成長余地が小さければ、利益の伸びしろは限定的にしかならないためです。直近3~5年ぐらいの売上成長率の高い企業が、将来の高成長株の候補といえるでしょう。

利益率の高さは競争力の強さの表れ。「稼ぐ力」の強い企業に注目!

 売上成長率の高い企業の中には、利益が低水準や赤字である企業も多く散見されます。将来的な事業拡大に向けた先行投資的な費用が膨らんでいるため、現在の利益の水準が低くなってしまっている企業も多いのです。この意味では、売上成長に後から利益がついてくる企業もあるでしょう。

 ただ、全ての企業がこのようにうまくいくとは限りません。利益が出ないままに終わってしまう企業も多く、こうしたリスクを避けるうえでは、売上成長率が高く、なおかつ、すでに利益が出ている銘柄に投資する方が、安心感があるでしょう。

 一般的に、売上が大きく拡大するような企業が行っている事業は、成長性が高いために多くの企業が参入してきます。そのために競争が厳しくなって利益率は低下しがちです。

 そうした事業環境の中で高い利益率を上げている企業は、他社にない製品やサービスの競争力を持っているということができます。売上成長率が高く、さらに、高い利益率を上げている企業ほど、今後の売上・利益成長、さらには株価の大幅な上昇期待を高めやすいでしょう。

 利益率の高さを測る指標としては、売上高営業利益率や売上高経常利益率などのように、売上高に対する利益の割合をみるもの、ROE(自己資本利益率)などのように、企業が持っている資産に対する利益の割合をみるものなどがあります。

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100
ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

などのように求められ、ともに、10%以上の水準であれば、利益率は高いといえます。

 以下の銘柄は、五つのポイントでセレクトしました。ぜひ参考にしてください。

  • 50万円以下で買える
  • ROEが15%以上(実績)
  • 売上高経常利益率が20%以上(実績)
  • 3年間売上高平均成長率が20%以上(今期予想含む)
  • 有配予想

初めてでも選びやすい成長企業株10選

※株価などのデータは3月22日現在
※今期予想売上高の大きい順

コーエーテクモホールディングス(3635)
株価 4,105円
いくらから
買える?
41万500円
3年間平均売上高成長率 22.1%
ROE 20.6%
売上高経常利益率 65.1%
どんな会社? ゲームソフト会社で、「戦国無双」、「三國志」、「無双」などが代表タイトル。2009年4月に、コーエーとテクモが経営統合して現在の体制に。オンライン・モバイル分野の拡大に注力中。2020年3月期から2022年3月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、9.4%、41.6%、17.6%。経常利益成長率は3.1%、2.1倍、10.7%。足元では、「ゼルダ無双 厄災の黙示録」や、「三國志 覇道」などのモバイルゲームがヒット。特に欧米やアジアで売り上げを拡大させている。製品開発力が高まっていることが評価できる。
JCRファーマ(4552)
株価 2,133円
いくらから
買える?
21万3,300円
3年間平均売上高成長率 30.9%
ROE 19.8%
売上高経常利益率 28.2%
どんな会社? ヒト成長ホルモン製剤、ライソゾーム(酵素で老廃物を分解する細胞内の器官)治療薬、腎性貧血治療薬などが主要な事業領域。2020年3月期から2022年3月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、7.0%、21.4%、72.8%。経常利益成長率は▲35.0%、2.6倍、2.6倍。足元では、契約金収入が膨らんだことに加えて、新たに販売を開始したライソゾーム薬の「イズカーゴ」や、英アストラゼネカのワクチン原液なども大きく寄与している。2022年3月には、武田薬品工業とライソゾーム病に対する遺伝子治療の共同研究開発、およびライセンス契約を締結した。
アンビスホールディングス(7071)
株価 4,895円
いくらから
買える?
48万9,500円
3年間平均売上高成長率 59.2%
ROE 24.3%
売上高経常利益率 24.6%
どんな会社? 慢性期~終末期の看護・介護ケアに特化した医療施設型のホスピス「医心館」を展開する。施設は東北、関東、中部地区に42拠点展開(2021年9月末時点)。入居者数は1,548人。看護師、介護士ともに派遣会社は利用せずに自社で採用。2020年9月期から2022年9月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、70.9%、67.1%、41.4%。営業利益成長率は2.1倍、2.0倍、31.2%。施設の大型化や稼働率の向上で入居者数の増加傾向が続く中、新規施設の開設も積極化している効果で、売り上げが大きく拡大している。
ラクス(3923)
株価 1,513円
いくらから
買える?
15万1,300円
3年間平均売上高成長率 32.6%
ROE 45.1%
売上高経常利益率 25.2%
どんな会社? クラウド型(ソフトを持っていなくても、インターネットを通じてサービスが利用可能となるもの)サービスを提供。経費精算システム「楽楽精算」は9,000社、電子請求書発行システム「楽楽明細」は3,000社が導入(2021年11月時点)。メール共有管理システムでも売り上げシェア(市場占有率)トップ。2020年3月期から2022年3月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、32.8%、32.6%、32.5%。経常利益成長率は▲20.1%、3.3倍、▲65.2%となる。人員増強や広告費などの先行投資が利益の負担になっているが、「楽楽精算」や「楽楽明細」などの売り上げは順調に拡大。
アイ・アールジャパンホールディングス(6035)
株価 4,195円
いくらから
買える?
41万9,500円
3年間平均売上高成長率 35.5%
ROE 47.3%
売上高経常利益率 49.1%
どんな会社? 企業のIR(インベスター・リレーションズ:株主・投資家向けの広報)支援やコンサルティングを行う。アクティビスト(もの言う株主)対応の助言や株主判明調査などに強みがある。2020年3月期から2022年3月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、59.1%、7.8%、44.8%。経常利益成長率は2.5倍、12.7%、47.1%となる。株式の委任状争奪、アクティビストや企業側の意に反する敵対的TOB(株式公開買い付け)、MBO(経営陣による自社の買収)対応などのニーズが拡大している。
アイ・ピー・エス(4390)
株価 1,936円
いくらから
買える?
19万3,600円
3年間平均売上高成長率 24.3%
ROE 28.9%
売上高経常利益率 23.0%
どんな会社? フィリピンにおいて、法人向けインターネット接続サービスや地域通信事業者、CATV(ケーブルテレビ)事業者への通信インフラ提供を行っている。国内では、コールセンター事業者などに向けて、格安電話料金サービスを提供。2020年3月期から2022年3月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、12.6%、46.2%、16.7%。経常利益成長率は7.4%、2.0倍、9.7%となる。マニラと香港、マニラとシンガポールを結ぶ国際海底ケーブルの使用権を取得し、回線の提供を開始したことで、海外通信の事業規模が大きくなっている。
ケアネット(2150)
株価 762円
いくらから
買える?
7万6,200円
3年間平均売上高成長率 40.2%
ROE 28.7%
売上高経常利益率 31.9%
どんな会社? 医療情報プラットフォーム「CareNet.com」を使った、製薬企業の医薬品普及支援、医学教育などのサービスを提供。医師会員数は19万人超(2021年12月末)。医療データの分析なども行う。2020年12月期から2022年12月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、62.3%、50.9%、12.4%。経常利益成長率は2.5倍、69.7%、2.2%となる。新型コロナウイルス禍で、製薬企業のMR(医療情報担当者)の医療機関への訪問自粛が続いていることから、当社のプラットフォームを使ったサービスの重要性が高まり、ニーズが大きく拡大しているもよう。
ダブルスタンダード(3925)
株価 1,975円
いくらから
買える?
19万7,500円
3年間平均売上高成長率 35.8%
ROE 29.4%
売上高経常利益率 25.2%
どんな会社? ユーザーに合わせて必要な情報を収集し、集めたデータを使って営業支援や業務効率化を支援するサービスを提供。本人確認サービスやOCR(手書きの文字や印刷された文字を読み取り電子テキスト化する装置)活用型サービスを今後の注力分野と位置付けている。2020年3月期から2022年3月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、30.4%、20.3%、45.1%。経常利益成長率は26.2%、0.7%、53.6%。取引先企業数の順調な増加が続いているほか、既存顧客の購入単価アップなども進んでいる。
マークラインズ(3901)
株価 2,530円
いくらから
買える?
25万3,000円
3年間平均売上高成長率 21.5%
ROE 27.2%
売上高経常利益率 36.3%
どんな会社? 自動車産業に特化した会員制の情報サービスを提供している。世界各国のサプライヤー(部品や材料の供給元)情報、生産・販売の統計データ、技術・市場動向レポート、商品改良データなどを提供。2021年末の契約企業数は4,208社。2020年12月期から2022年12月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、11.9%、31.4%、22.0%。経常利益成長率は8.2%、32.8%。20.0%。電気自動車の普及など自動車業界の事業環境が大きく変化する中、業界情報への関心が高まっているもよう。特に、中国での売り上げ拡大ペースが速まっている。
日本リビング保証(7320)
株価 2,100円
いくらから
買える?
21万円
3年間平均売上高成長率 24.8%
ROE 46.5%
売上高経常利益率 22.5%
どんな会社? 新築住宅向けの設備10年保証「住設あんしんサポート」が主力商品。住宅設備機器のメーカー保証は1~2年で終了してしまうが、その後の延長保証サービスとなる。また、住宅設備の保証で蓄積したノウハウを生かし、非住宅分野で保証制度立ち上げ代行的な役割を担うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業が成長分野。BPO分野においては、蓄電システムや、小中学生に1人1台の端末を配布する「GIGAスクール構想」向けのタブレット端末案件の拡大が業績を押し上げる。2020年6月期から2022年6月期予想まで3期間の売上高成長率はそれぞれ、18.7%、43.3%、21.9%。経常利益成長率は33.6%、2.2倍、74.6%。