ファンドアナリストが注目ファンドをピックアップ

 2020年、世界の株式市場は新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された1年となりました。しかし、異次元の金融緩和に支えられながら、11月には新型コロナワクチンが承認され、終わってみれば各国株式市場は一段高で終わりました。

 2021年、景気回復への期待が高まる中、株式市場のトレンドや株式ファンドの動向はどうなるのか? 「トウシル」執筆陣の10大予測を参考に、ファンドアナリストの筆者が注目する株式ファンドをピックアップします。

筆者注目のポイント:トウシル執筆陣10大予測から

年央にかけて景気急回復。米国、アジアがけん引。日本株も堅調

景気回復による「業績相場」が本格化すれば、「バリュー株の戻り」に期待

2021年は利上げなし、好景気のドル安がくる!バリュー株に注目

「リスクオン下のドル安」が、新興国・資源の相場復調を促す

新興国株式が人気化する。メキシコ、ポーランド、韓国、トルコなどのマーケットは割安感が強い

日本、米国、アジア株式:中長期で好パフォーマンスのファンド3選

 2021年は引き続き低金利環境に支えられ、景気回復への期待も高まることから、米国やアジアがけん引しながら、日本株市場も堅調に推移することが予想されます。短期的な見通しは気になるところではありますが、投資信託の王道は長期投資です。

 以下に挙げた3本は、2020年のコロナ・ショックを相対的に良好な成績で乗り越えただけでなく、中長期的にも類似ファンドを安定的に上回る成績を残してきたご長寿アクティブファンドです。

 共通する特徴は、「質が高く、持続的な成長が期待される企業」に厳選投資する運用方針にあります。グロース(成長)株の特性があるため、これまでのような流動性相場が続くのであれば追い風の環境といえますが、景気が過熱し、米長期金利が上昇したときは注意が必要です。

スパークス・新・国際優良日本株ファンド

アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)

フィデリティ・アジア株・ファンド

景気回復期待、バリュー株相場に備える:ファンド3選

 ここ数年はグロース株優位の市場環境でしたが、景気回復を背景とした「業績相場」が本格化すれば、今まで売り込まれていた景気敏感株や銀行株を多く組み入れているバリュー(割安)株ファンドの反発が期待されます。

 以下に挙げた3本は、その運用方針や過去の投資行動から、割安な企業に厳選投資する傾向が強いファンドです。

 各ファンドの直近の月次報告書を確認すると、市場平均(インデックスファンド)と比較して、製造業などの景気敏感セクターや金融セクターの組み入れが相対的に高く、組み入れ銘柄のバリュエーション(割安度)も魅力的な水準であることに共通点があります。

 過去3年程度の実績を見ると、割安株が市場に劣後していたため、いずれのファンドも分類平均を大きく下回っていますが、2020年11月以降、新型コロナワクチン承認のニュースが広まり、景気回復が意識されたタイミングで分類平均を上回るパフォーマンスに転じており、今後景気回復が本格化したときには期待が持てそうです。

J-Stock アクティブ・オープン

朝日Nvest グローバル バリュー株オープン

iFree 新興国株式インデックス

新興国株式:注目のファンド5選

 2021年は、ドル安・新興国通貨高、先進国株式と比べて総じて割安という二つの点から新興国株式市場への資金流入が期待されそうです。

 新興国株式ファンドを選ぶポイントとしては、今まで売り込まれた景気敏感株や銀行株、同じく売り込まれた資源国(ブラジル、ロシア、南アフリカなど)、あるいは極端に割安な国への投資が鍵を握りそうです。

 以下のファンドのうち、「JPM・BRICS5・ファンド」は景気敏感株、銀行株、資源国への投資比率が相対的に高く、「アジア製造業ファンド」も景気に対する感応度が高い傾向があります。

 また、「スパークス・韓国株ファンド」「HSBC メキシコ株式オープン」「トルコ株式オープン」は、他国と比べて株式市場が総じて割安な水準であることから、投資妙味があるファンドといえるでしょう。

 もちろん、単一国に投資する場合は、その国固有のリスク(地政学リスク)が高まることに注意が必要です。多額の資金を集中投資するようなことは控えましょう。

JPM・BRICS5・ファンド

アジア製造業ファンド

スパークス・韓国株ファンド

HSBC メキシコ株式オープン

トルコ株式オープン