新型コロナウイルスの感染拡大によって大きく変化した社会。この影響で2020年はIT株、バイオ株に10倍株(テンバガー)が続出。コロナ禍から回復する可能性の高い2021年にも数多くの10倍株が誕生しそうだ。そこで、2021年の投資予測の一つとして、人気投資ブロガー4人に10倍高期待の有望株について取材した。

派手さはないが世の中に必要な10倍高期待の10銘柄!

 元手100万円から、投資歴18年で資産2億円を達成し、「会社員と株式投資の兼業で株価を頻繁にチェックすることはできない」という人気投資ブロガー・弐億貯男さんが選んだ銘柄は「巣ごもり関連、デジタル化関連といったテーマ株というより、今後少なくとも数年間は顧客ニーズを取り込んで事業成長が見込めそうな、派手さはないものの世の中から必要とされる」“非コロナ関連“銘柄だった!

2021年の10倍高期待株10選
1 ブリッジインターナショナル(7039) 東証マザーズ
2 きずなホールディングス(7086) 東証マザーズ
3 メタウォーター(9551) 東証1部
4 リビングプラットフォーム(7091)  東証マザーズ
5 プレミアグループ(7199) 東証1部
6 明豊ファシリティワークス(1717) 東証1部
7 バリューデザイン(3960) 東証マザーズ
8 グッドスピード(7676) 東証マザーズ
9 マツオカコーポレーション(3611) 東証1部
10 ピクスタ(3416) 東証マザーズ

1:ブリッジインターナショナル(7039・東証マザーズ)

事業内容は?

電話やメールで行う非訪問型営業(インサイドセールス)によって、企業の法人営業を支援する事業を展開。

「同社は企業の法人営業を丸ごと業務受託しているわけではなく、商談前の見込客の発掘や既存の取引先のアフターフォロー、追加提案といった部分を同社が受託して、実際の見積もりや商談の工程は取引企業の法人営業担当が担います。取引先と年間契約を結び、安定的な月額課金収入を得ることができるストックビジネスとなっており、新規顧客の獲得と、既存顧客からの取引拡大により、売り上げを着実に伸ばしています。コロナ禍で企業活動が停滞しており、目先の新規の取引先拡大には苦戦するかもしれませんが、出張や営業訪問が手控えられる中、非訪問型の営業の受け入れ余地は今後もどんどん高まりそうで、中長期的には同社の事業拡大につながると思っています」(弐億貯男さん)

2:きずなホールディングス(7086・東証マザーズ)

事業内容は?

「家族葬のファミーユ」のブランドで直営ホールを中心に葬儀葬祭業を展開。

「少子高齢化が進む日本では葬儀業界の市場は増加傾向ですが、規模の大きな一般葬や社葬は減少の一方、同社が中心に手掛ける『家族葬』と言われる中小規模の葬儀は増えており、追い風となっています。家族葬に適した小規模な直営施設を年間8施設ほど出店する戦略ですが、初期投資が小規模で済む分、黒字化までの期間が短く、ハイペースで出店を進めることができます。しかし、コロナ禍に伴う外出や移動の自粛で、葬儀の参列者数に加えて、葬儀の際に提供していた食事や返礼品も減ったため、1回の葬儀あたりの単価が減少。目先の成長ペースは鈍化しています。しかし、創業当初から家族葬を中心にしてきたため、同業他社との比較では、コロナ禍の影響は軽微だと考えます。基本的には直営施設の出店がそのまま売り上げ増につながっていくと思います」(弐億貯男さん)

3:メタウォーター(9551・東証1部)

事業内容は?

浄水場や下水処理場内の機械・電気設備の設計、建設(プラントエンジニアリング事業:PE事業)と、浄水場、下水処理場等の運転、維持、監視業務(サービスソリューション事業:SS事業)の二つを主に手掛ける、上下水処理設備では国内トップ企業。

「SS事業がストックビジネスであることや、国内の上下水道設備の老朽化による設備の更新需要が見込まれるため、今後も同社の業績は安定的に成長しそうです。また、2019年に改正水道法が施行されたことにより、地方自治体の手掛ける水道事業の民間委託の需要の取り込みにも期待できるでしょう。さらに、オランダの上下水道処理のエンジニアリング会社を買収するなど、海外事業の拡大による事業成長も見込めそうです。事業の特性上、同社の売り上げは第4四半期に集中しており、第3四半期までは赤字決算となります。しかし、四半期決算ごとに決算説明資料を開示していて、事業概況をつかむことができる他、売上高とは別に受注高と受注残高を開示しており、今後の売り上げ見込みも予想しやすくなっています。そういう意味でも、保有しやすい銘柄と言えるでしょう」(弐億貯男さん)

4:リビングプラットフォーム(7091・東証マザーズ)

事業内容は?

大都市圏で低価格帯の有料老人ホームを中心にした高齢者向けの施設を展開。

「現状、既存の介護施設数に対して、ハイペースで施設の新設を進めていることから費用が膨らんでいます。加えてコロナ禍により、2021年3月期の中間期決算は赤字で着地した状況です。今後2~3年は売上高が大きく伸びたとしても、施設の新規設立に伴う費用の増加が利益を圧迫する状況が続きそうです。しかし、それ以降は既存施設の運営に伴う利益で、出店費用を吸収できそうなことから、増収増益のトレンドに転じてくると考えています」(弐億貯男さん)

5:プレミアグループ(7199・東証1部)

事業内容は?

中古車オートクレジット(分割支払いでの販売)とワランティ(修理保証)を主力に、中古車販売代理店経由で消費者に両サービスを提供。

「同社は創業以来、売上高の2ケタ成長が続いています。営業所の全国への拡大と、営業人員の増加による代理店開拓、既存代理店の掘り起こしにより、当面は順調な成長を維持できると考えています。既存事業に加え、自動車整備や自動車部品のリサイクル事業などの中古車関連の周辺領域に事業拡大を進めている点も注目しています。なお同社の場合、オートクレジット、ワランティともに、利益を繰り延べ計上するストック型の収益構造となっており、コロナ禍の悪影響も分散できている点が魅力です。IR(投資家向け広報)も充実しており、四半期ごとに決算説明資料が公開されるので、足元の業績動向は随時確認していくといいと思います」(弐億貯男さん)

6:明豊ファシリティワークス(1717・東証1部)

事業内容は?

オフィスや公共施設の移転、新設工事における発注者支援を手掛ける。

「一般的な企業はオフィスビルの移転などのプロジェクトを業者に丸投げするため費用が膨らみがちですが、同社が発注企業に成り代わって工程管理を手掛けることで、作業工程や費用を『見える化』するのが特徴的です。この見える化で手数料を支払ったとしても、総工費を下げられるというビジネスモデルとなっており、過去に取引した企業や地方自治体からのリピートオーダーが半数以上を占めているという顧客満足度の高い企業です。ただコロナ禍で取引先の企業活動の停滞が長引いた場合、オフィスの新設、移転、改装などの案件が減少するといった影響はありそうです」(弐億貯男さん)

7:バリューデザイン(3960・東証マザーズ)

事業内容は?

プリペイドカードシステムを提供する。

「スマホ決済ではなく物理的なプリペイドカードが同社のメイン。ですが、同社のプリペイドカードを採用するキャッシュレス関連企業は順調に拡大しています。そのおかげで取り扱い高も増え、直近では同社のプリペイドカードにデジタルギフトの機能を追加するなど、付加価値の向上にも努めています。売上高は2021年6月期見通しで26億円となっていますが、中期経営計画では2025年6月期に売上高100億円を目指していることを表明。キャッシュレス化の恩恵を受ける企業でもあるので、当面は順調な事業環境が続くと考えています」(弐億貯男さん)

8:グッドスピード(7676・東証マザーズ)

事業内容は?

中古車買い取り・販売業を手掛ける。

「前期(2020年9月期)は、2019年10月からの消費税増税が上半期に影響し、第3四半期には新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の影響を受けたため、赤字決算となりました。しかし、2021年9月期はV字回復を見込んでいます。中古車販売業界は市場参加者が非常に多く、販売店舗が全国に3万店もあります。その中での同社の市場シェアは0.4%、業界第7位(同社調べ)とのことで、業界内の競争は激しいものになっています。しかしながら、中古車販売業者は小規模な企業が大半とのことで、今後は同社を含む大手が市場シェアを高めていける余地は大きいと思います。年間2店舗ずつ大型店を出店していく計画を推進しており、大型店舗は2019年9月末時点で3店舗、2020年9月末で5店舗、2021年9月末時点で7店舗となる予定です。大型店の出店拡大にともなう事業成長の波に乗って、中長期での株価上昇に期待しています」(弐億貯男さん)

9:マツオカコーポレーション(3611・東証1部)

事業内容は?

アパレルのOEM(相手先ブランドによる生産)国内最大手企業。

「コロナ禍で世界の衣料品の売り上げが大きく落ち込んだため、同社の業績にも悪影響が及びました。しかしながら、同社はファーストリテイリングが主力取引先で、世界のアパレルブランドとも商談を進めており、東南アジアの生産工場の拡充も推進中です。中長期で見た場合、世界のアパレルOEMの大手企業の一角として、今後も成長が見込めると考えています」(弐億貯男さん)

10:ピクスタ(3416・東証マザーズ)

事業内容は?

ストックフォト業界では国内最大手の企業。

「定額制プランの売上比率を高めており、今後ストックビジネスとして育っていきそうです。また、ストックフォトの事業を通して、多くのフォトグラファーとのつながりを持っており、新生児の出張撮影事業も成長エンジンとして期待できそうです」(弐億貯男さん)

2021年は株価の上昇・下落どちらにも対応可能な態勢を継続

 新型コロナウイルスの感染拡大の悪影響が長引いたとしても、着実な成長が見込めそうな中小型の割安成長株10選を挙げてくれた弐億貯男さん。2021年の展望は、コロナワクチンの本格普及にはまだ時間がかかることから、株式市場の大幅な調整もありえる、と警戒を怠っていない。「総資産に対する買い付け余力を半分以上残しておくなど、株価の上昇・下落どちらにも対応可能な態勢を継続しようと思っています」と語るように、前のめり感は皆無。非常に沈着冷静な目で、地味ながらニッチな市場分野で着実な成長が続きそうな中小型の割安成長株に注目しているのが印象的だった。

弐億貯男さんのインタビュー記事

≫≫会社員でも株で年30%!2億円達成!弐億貯男さんの割安×成長株発見のカギはIPO

弐億貯男(におく・ためお)さんプロフィール

会社員をしながらの株式投資によって、100万円を17年間で2億円に増やした現役会社員の投資家。割安成長株の中長期投資の手法で、運用益は年率30%キープ。現在は、Twitter(7.8万フォロワー)や投資ブログ「サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみました。」で、個人投資家への助言や注意喚起も発信し大人気に。『10万円から始める! 割安成長株で2億円』(ダイヤモンド社刊)が、ネット書店人気ランキングで上位に上がるなど、注目を集めている。