サステナブル指数は、代表的な株価指数より成績よし

サステナブル投資はもともと欧州を中心に拡大してきた歴史があります。では実際にサステナブル投資のリターンについて、先行する欧州の例を見てみましょう。

図3サステナブル投資と代表的な株価指数のパフォーマンス比較

【スイス】

【英国】

【ユーロ圏】

(注)リフィニティブよりUBSアセット・マネジメント作成。スイスのサステナブル指数はMSCI Switzerland IMI Extended SRI 5% Issuer Capped Index、代表的指数はMSCIスイスIMI Index、期間2015年5月末~2019年1月末、英国のサステナブル指数はMSCI UK IMI Extended SRI 5% Issuer Capped Index、代表的指数はMSCI UK IMI Index、期間2011年5月末~2019年1月末、EMUのサステナブル指数はMSCI EMU SRI 5% Capped Index、代表的指数はMSCI EMU Index。期間2010年5月末~2019年1月末。基点を100として指数化、ネット、現地通貨ベース。上記は過去のものであり、将来の動向を示唆、保証するものではありません。

 

 図3はスイス、英国、ユーロ圏の「サステナブル指数」と代表的な株価指数の比較です。いずれの市場でも長期で見るとサステナブル指数が代表的な株価指数を上回る傾向が見られます。投資に際してサステナブルの観点を考慮して投資対象を選別していることが、欧州におけるサステナブル指数の良好な推移につながっていると考えられます。

 これにはいくつかの理由が考えられます。欧州では元々、教会の資産運用において、武器やたばこなど特定の事業を投資対象としないという倫理的な観点を投資に反映する動きがありました。さらに、欧州には、地理的、歴史的につながりが深いアフリカや中東から多くの移民、難民が押し寄せています。その原因は独裁政権による人権弾圧や異常気象による干ばつとそれに伴う飢餓などがあり、そのため、持続可能な社会に対する危機感が強いとも言われています。

日本の年金を運用するGPIFもサステナブル投資に参加

(注)国際連合、経済産業省よりUBSアセット・マネジメント作成。2018年11月21日時点。

 サステナブル投資を推進するPRI(国連責任投資原則)へ署名する運用機関(図4)を見ると、欧州諸国が上位を占めています。経済規模では米国や中国、日本などより小さいものの、サステナブルへの関心の高さという点では欧州は世界をリードしていると言えるでしょう。

 このような流れは今、欧州を超えて世界に広がりつつあります。図5は世界でPRIに署名する運用機関とその運用資産総額の推移を見たものですが、過去5年で見ると、運用資産残高は2.4倍に拡大しています。

 日本では、世界最大規模の運用資産額を持つ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2015年9月にPRIに署名し、2017年7月からサステナブル投資を開始しました。運用資産に占める比率はまだ限定的ですが、今後は他の運用機関も含めてサステナブル投資が拡大していくと見られます。サステナブル関連企業に資金が集まる傾向は世界的に強まっていくと考えられます。

(注)国際連合、経済産業省よりUBSアセット・マネジメント作成。2018年11月21日時点。上記は過去のものであり、将来の動向を示唆、保証するものではありません。

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