今日は、4月の人気優待銘柄についてコメントします。

4月入りしたからと言って、4月優待銘柄から投資銘柄を選ぶのは、必ずしも合理的でない

 最初に申し上げるべきは、「4月だからと言って、4月優待にこだわる必要はない」ということです。私は、優待銘柄に投資するならば、

  1. 自分にとって魅力的な優待内容で

  2. 使い勝手が良く

  3. 株価が安値圏にあり

  4. 業績が堅調な銘柄を

選びたいと思います。

 日本株で優待を実施している銘柄は年々増えていて、現在1,475あります。日経平均下落で、長期的な投資魅力が高まった銘柄はたくさんあります。私は、その中から、条件に合う銘柄を自由自在に選びたいと思います。

 4月に株主優待を実施している銘柄は、たった28しかありません。そのように限られた範囲から、投資銘柄を選ぶのは、合理的とはいえません。

 

月別の優待実施銘柄数:2019年3月27日時点

出所:楽天証券「株主優待検索」

2018年8月に、楽天DI(皆さまに実施しているアンケート調査)で、株主優待に関してアンケートを実施しました。「優待銘柄をいつ買いますか」という問いに対し、62%の方が「欲しい時」、23%の方が「権利確定月」とお答えになりました。「欲しい時」という答えは特に問題ありませんが、「権利確定月」に買うというのは、必ずしも合理的でないこともあります。

4月の人気優待銘柄トップ10

 4月の優待銘柄、人気トップ10【注】は、以下の通りです。無配銘柄は、ランキングから除外しています。

【注】人気トップ10

 4月優待銘柄について、楽天証券のお客様で保有している株主の数が多い順に、上位10社をピックアップしました。無配(配当金を出していない)銘柄はランキングから除外。ビジョナリーHDは無配なので、ランキングから除外しています。

 ご参考までに、4月の優待銘柄、人気上位10銘柄は、以下の通りです。株価の右側の「優待内容」をクリックしていただくと、どのような優待を実施しているかご覧いただくことができます。

人気
順位
コード 銘柄名 株価
:円
最低投資金額
:円
配当
利回り
:%
優待
内容
1 6630 ヤーマン 1,187 118,700 0.3 優待内容
2 2751 テンポスHD 2,460 246,000 0.4 優待内容
3 3475 グッドコムアセット 1,591 159,100 3.0 優待内容
4 2198 アイ・ケイ・ケイ 783 78,300 1.5 優待内容
5 2695 くらコーポレーション 5,160 516,000 0.6 優待内容
6 2593 伊藤園 5,600 560,000 0.7 優待内容
7 2438 アスカネット 1,315 131,500 0.8 優待内容
8 1766 東建コーポレーション 7,230 723,000 3.0 優待内容
9 7605 フジ・コーポレーション 2,260 226,000 1.5 優待内容
10 2910 ロック・フィールド 1,668 166,800 1.9 優待内容
出所:楽天証券「株主優待検索」

「いつまでに買わないと優待や配当の権利が得られないか」については、以下の「権利付き最終売買日」をご覧ください。

2019年4月末に権利が確定する銘柄の「権利付き最終売買日

 2019年4月末に配当金や優待の権利が確定する銘柄の「権利つき最終売買日」は4月23日(火)です。23日(火)までに買えば権利が得られますが、24日(水)に買っても、権利は得られません。24日(水)は、4月末の配当や優待の権利がなくなる日なので、「権利落ち日」と言います。

 なお、優待内容は、予告なく変更されることもありますので、常に最新の情報をチェックしてください。楽天証券HPでは、1カ月ごとに優待内容を更新しています。

人気トップ10銘柄の業績をチェック、7社が今期営業最高益を見込む

 優待銘柄を選ぶ時、「優待内容の魅力」だけで決める方がいますが、株式投資である以上、最低限、足元の業績はチェックしましょう。まず、人気トップ10の前期から今期にかけての連結営業利益の推移を見てください。

 前期・今期とは、4月決算銘柄では2018年4月期・2019年4月期のことで、10月決算銘柄では2018年10月期・2019年10月期のことです。

 

4月優待人気トップ10の連結営業利益:前期実績と今期会社予想

出所:各社決算短信

 上記には業績堅調な銘柄が多く、10銘柄のうち7銘柄が今期、営業最高益を見込んでいます。ただ、私がファンドマネージャーだったら少し買ってみたいと思うのは、人気トップで、美容健康機器の製造販売を行うヤーマン(6630)と、人気6位で今期12期ぶりに営業最高益を見込む伊藤園(2593)だけです。

 国内飲料事業は競争激化で厳しい環境が続いていますが、伊藤園は、緑茶での高いシェアと原料調達力を生かして商品開発を進め、収益を伸ばしています。また、訪日外国人が増えたことで、海外で緑茶需要が伸びていることも追い風です。

 一方、住宅・マンション関連銘柄には、今は積極的に投資すべきでないと考えています。人気3位で投資用マンションの電話勧誘を行うグッドコムアセット(3475)は、営業最高益を見込んでいても投資を避けた方が良いと思います。賃貸マンションの建築請負を行う人気8位の東建コーポレーションも、今は投資を避けた方が良いと思います。

海外販売が好調なヤーマン

 ヤーマンは今期(2019年4月期)、国内の通販や店舗販売がやや頭打ちですが、海外(中国・韓国)の販売が予想以上に伸びたおかげで、最高益を更新する見込みです。訪日外国人観光客に人気を博したのが、そのまま本国での販売拡大につながってきました。

ヤーマンのセグメント別利益:今期第3四半期までの実績(2018年5月~2019年1月)

出所:同社決算短信

 ヤーマンは株価変動が激しいので、注意が必要です。同社が、2019年6月期の営業利益について、期初(2018年6月13日)に発表したのは▲7%の減益予想でした。この発表を受けて翌日の株価は19%も下落しました。その後、海外販売が予想以上に伸びたおかげで今期の営業利益は20%増益予想に上方修正されましたが、株価は軟調に推移しています。

 国内の通販や店舗販売が伸び悩んでいることが影響しています。今期業績は好調でも、消費増税のある来期(2020年4月期)に国内販売が引き続き伸び悩む懸念があります。中国での販売拡大には期待が持てますが、来期初(6月中旬)に発表される見込みの来期業績(会社予想)は、再び低め(減益)で出る可能性もあり、注意が必要です。

なお、中国での販売は好調ですが、1月に始まった中国のEC規制(EC販売業者すべてに登録を義務付け、納税を徹底させる規制)の影響には、注意が必要です。

 

 

 

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