世界景気減速が鮮明に、日経平均先物に外国人売り
先週の日経平均株価は、1週間で577円下落し、2万1,025円となりました。世界景気の減速が一段と鮮明になってきたことを嫌気して、世界的に株が売られた流れを受け、日経平均先物にも外国人の売りが増えました。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年3月8日
世界景気減速の兆しは、昨年から出ていました。まず、中国景気の悪化が明らかに。今年に入ってからは、中国だけでなく、欧州・東南アジア・日本にも景気減速が広がってきました。さらに、米景気も、減速しつつあります。
これが、単なる景気減速なのか、景気停滞あるいは後退まであるのか、これから見極めていく必要があります。
内閣府が7日発表した1月の景気動向・一致指数(速報値)は、3カ月連続の低下でした。後から振り返って、日本は既に景気後退(または停滞)期に入っていたと、認定される可能性が出てきました。
ECBは年内利上げを断念、引き締めから緩和に方向転換
欧州景気の減速が鮮明になってきたことから、ECB(欧州中央銀行)は7日の理事会で、年内の利上げを断念すること、9月に新たな資金供給制度を開始することを決めました。2019年9月から2021年3月までの期間限定で、償還期限2年の低利資金を銀行に供給します。
ドラギECB総裁は、欧州景気の下振れリスクに強い警戒感を示し、2019年のユーロ圏GDP(国内総生産)成長率見通しを、1.7%から1.1%に引き下げました。これを受けて、ECBは金融引き締めをやめるだけでなく、金融緩和を進める方針まで打ち出しました。
中央銀行がタカ派(引き締めに積極的)からハト派(引き締めに消極的=緩和に積極的)に転じることを、これまで株式市場は好感してきました。ところが、先週の株式市場の反応は逆でした。ECBが緩和方針に転換することを好感せず、欧州景気がそれだけ悪くなってきていることが嫌気されました。
1~2月に世界株高が進んだのに、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)の豹変が大きく影響しています。パウエルFRB議長が、それまでのタカ派(利上げに積極的)発言を封印し、ハト派(利上げに消極的)発言を繰り返していることが好感されていました。
ところが、足元、状況が変わりつつあります。世界的な金利先高感の後退・金利低下が、世界景気悪化を表すとして、株が売られる要因となってきました。
待っていた景気減速、株安局面:2020年の回復を見込み、買い場探し
株は安いところで買って、高いところで売ると、利益が得られます。安い時とは、景気局面でいうと、景気が悪い時です。高い時とは、景気が良い時です。ということは、株は景気が悪い時に買って、良い時に売れば利益が得やすいということです。ということは、景気悪化局面に入っている可能性のある今は、日本株の買い場と考えられます。
昨年、私は、景気ピークアウトが近づいていると考えていたので、株には警戒的スタンスを取っていました。今年に入ってから、景気後退の兆しが増えてきたので、強気に転じています。日本は既に景気悪化局面に入っている可能性が高く、日経平均は今回の景気悪化を織り込んで割安になっていると判断しています。
景気悪化あるいは停滞局面の終盤は、株は買い場です。私は、2019年前半に世界景気が悪化し、2020年には回復すると考えています。1~3月が2019年の景気悪化を織り込む最終局面と予想しています。
私の予想通りと仮定すると、3月に世界景気悪化を嫌気して、株が下がる局面は、長期投資で買い場となります。先週、日経平均が大きく下がりましたが、ここからは、時間分散しながら、積極的に日本株を買っていって良いと考えています。
想定されるリスクシナリオ
リスクシナリオとして、2019年は緩やかな景気拡大が続き、2020年に景気後退に陥るシナリオがあります。今まだ景気悪化局面になく、これから、少しずつ景気が悪くなってくるという説です。そう考えるならば、まだ日本株を買うのは早すぎることになります。
そのシナリオも頭に置いておく必要がありますが、私は、メインシナリオとして「日本経済は既に景気後退(停滞)の中にあり、2020年に回復に向かう」と予想しています。メインシナリオに従うならば、この下落局面で、日本株をしっかり買っていくべきです。
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