米景気減速を織り込む局面
先週の日経平均株価は、1週間で34円下げ2万1,646円となりました。米国株が下げ止まらないことを嫌気し、軟調な展開が続いています。米景気が来年減速する懸念を織り込み始めていると考えられます。
日経平均週足:2018年1月4日~11月22日
日経平均は、長期的には買い場を迎えていると考えていますが、短期的にはまだ下値を確認したと言えない状況です。
米金利上昇リスクは低下
NYダウは、今年の2月と9月に米長期金利上昇を嫌気して下落しました。ところが、足元、米景気減速リスクが高まったことを受けて、金利上昇リスクはやや低下しました。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、これまで前のめりに利上げを進めるスタンスを取っていましたが、その姿勢にやや変化が見られます。クラリダFRB副議長の発言「世界景気に減速の兆候がある」と「金利は中立水準に近づいている」が伝わると、来年には、米利上げに打ち止め感が出るとの見方が広がりました。
そうは言っても、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRBが今年4回目の利上げを実施するとの市場の見方は変わっていません。利上げ後に打ち止め感が出るというのが、現時点でのコンセンサスです。
NYダウ週足:2018年1月2日~11月23日
足元、NYダウの下げが続いているのは、金利上昇への懸念ではなく、景気減速への懸念によると考えられます。以下4点が米景気に悪影響を及ぼします。
【1】今年の米景気を押し上げた大型減税効果が剥落すること
【2】米中貿易戦争の悪影響が米景気にも及びつつあること
【3】米FRBが利上げを続けていること
【4】米IT大手(フェイスブック、アマゾン、グーグルなど)に対し規制や課税強化の動きが広がっていること
中国景気の減速不安も続いている
以下の通り、上海総合株価指数の低迷が長引いているのは、貿易戦争に加え、中国景気の減速不安を反映したものです。
米国、日本、中国の株価指数(米ナスダック、NYダウ、日経平均、上海総合)の動き:2017年末~2018年11月23日
米利上げに打ち止め感が出るとき、円高が進むリスクに注意
米金利の先高感が低下しつつあることは、米国株にプラス材料です。ただし、それがドル安(円高)につながると、日本株にはマイナスとなるので注意が必要です。
ドル円為替レートの動き:2018年1月2日~11月23日
今年の為替市場では、4月以降米FRBの利上げを材料にドル高(円安)が進んできました。ただし、利上げに打ち止め感が出ると、円高が進む可能性に要注意です。とりあえず、まだ12月に米利上げが見込まれているので、当面ドルは堅調と予想されます。
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