日経平均は2万1,000円~2万4,000円のレンジ内

 先週の日経平均株価は1週間で570円下落し、2万1,680円となりました。米国株が下げ止まらないことを嫌気し、外国人と見られる売りに押され、2万2,000円を割り込みました。

日経平均週足:2018年1月4日~11月16日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 2018年の日経平均は乱高下しつつも、大きくは上へも下へもトレンドが出ないまま推移してきました。大ざっぱに見ると、下値2万1,000円~上値2万4,000円の範囲で動いてきたと言えます。

 ただし、足元、レンジ内で下を試す動きが出つつあります。2019年、日本および世界の景気・企業業績が減速する兆しが出ていることに反応していると考えられます。

米国株が下げ止まらないことに不安も

 米国景気は好調ですが、来年には減速する可能性があります。以下、3点が懸念されています。

【1】今年の米景気を押し上げた大型減税効果が剥落すること

【2】米中貿易戦争の悪影響が米景気にも及ぶ可能性があること

【3】米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを続けていること

 先週は中国株が少しだけ反発しましたが、米国株が下げ止まらないことが日経平均にとって売り材料となりました。特に、これまで米国株を牽引してきた、大手IT・ハイテク株に調整色が強まっていることが、不安材料となっています。

米国・日本・中国の株価指数(米ナスダック・NYダウ・日経平均・上海総合)の動き(2018年)

注:2017年末を100として指数化

 先週は、ナスダックに上場している米アップルと半導体大手エヌビディアが、下げ材料を提供しました。

 まずはスマートフォン「i Phone」で有名なアップル。同社から何も発表はないが、新型i Phoneの販売がおもわしくなく、部品メーカーに対し大幅な減産を示唆したとの噂が出ました。これがきっかけとなり、アップル株に加え世界中でアップルへ部材を納入する「アップル関連株」が軒並み大きく下がりました。

 次に米半導体大手エヌビディア。これまで好調な業績が続いてきましたが、先週、先行きの業績が減速することを示唆し、株価が急落しました。つれて日米で、半導体関連株が軒並み大きく下がりました。

 先週は、WTI原油先物価格の急落を受け、資源関連株も売られました。米国の制裁再開で、供給が大幅に減ると考えられていたイラン産原油の供給が予想ほど減らない見通しとなったことが、原油急落のきっかけとなりました。ただし背景には、中国景気の減速による需要の減速があるとの見方もあります。

来年は景気停滞?あるいは、後退?

 来年の世界景気は、どの程度減速するのでしょうか?「景気停滞」と言われる程度の減速ならば、現在の日経平均は既に売られ過ぎと考えられます。ただし、「景気後退」まであり得るならば、日経平均は2万円割れまで売られる可能性があります。

 来年の世界景気は、停滞か後退か、そこを見極めようと、株式市場は手探りしている状態と考えています。

日経平均株価と日本の景気循環:1999年1月末~2018年11月16日)

出所:景気後退期・拡大期の認定は内閣府

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー

11月14日:世界景気ピークアウトの予感?長期投資で「買い場」と判断
11月13日:円安は追い風。ただし、中国景気が逆風か
10月29日:景気ピークアウトが視野に。それでも日本株は買い場と考える理由

▼他の新着オススメ連載

今日のマーケット・キーワード:離脱協定の合意で再び動き出した『Brexit』

今日、あの日:戦後初の赤字国債発行を決定【53年前の11月19日】