10月に入り、3つの不安から、日経平均が急落しています。

1.米利上げが続き、世界景気に悪影響を及ぼす懸念

2.中国景気が失速する懸念

3.貿易戦争がエスカレートする懸念

 短期的な下値リスクは払拭できませんが、ここからは「下がったら、少しずつ買っていく」スタンスで良いと思います。

 今日は、2種類の好配当利回り株をご紹介します。攻めの5銘柄と、守りの5銘柄です。

 

攻め・守りの意味

 本レポートでは、景気敏感業種(電機・機械・総合商社など)から選ぶ株を「攻めの銘柄」、景気変動の影響が比較的小さい業種(食品・電鉄・通信など)から選ぶ株を「守りの銘柄」と呼びます。守りの銘柄は、株式市場で、「ディフェンシブ株」と呼ばれることもあります。

 攻めの銘柄は値動きが荒く、下げる時は大きく下げ、上げる時には大きく上げる傾向があります。

 これに対し、ここで守りの銘柄と呼ぶものは、攻めの銘柄より価格変動が小さくなる傾向があります。ただし、株である以上、値上がり値下がりはします。あくまでも、相対的に値動きが小さいというだけですので、ご注意ください。

 

攻めの5銘柄

 今年に入ってから、株式市場で、景気敏感株売り、ディフェンシブ株買いの流れが続いています。世界景気がピークアウトする懸念を織り込み始めていると言えます。

 そんな時、あえて景気敏感株を買う必要はあるのでしょうか? 私は、景気敏感株売り、ディフェンシブ株買いの二極化は、やや行き過ぎの可能性もあると感じています。

 これから世界景気が急激に悪化するならば、景気敏感株の売りは、ここからさらに加速するでしょう。ただし、もし世界景気がゆるやかに減速するだけならば、今の景気敏感株は「売られ過ぎ」の反動で、上昇することが期待できます。

 世界景気の先行きを断定的に判断できませんが、売られ過ぎと考えられる景気敏感株について、少し「試し買い」を入れてみても良いと思います。

 今日、選んだ、「攻めの好配当利回り株」は、業績堅調にもかかわらず、景気悪化の懸念から売られてきた景気敏感株を選んでいます。

攻めの好配当利回り5銘柄:2018年10月24日時点

コード 銘柄名 主要事業 決算期 配当
利回り
最低
投資額
:円
5108 ブリヂストン 自動車タイヤ 12月 3.8% 421,700
6301 小松製作所 建設・鉱山機械 3月 3.4% 278,450
7751 キヤノン カメラ・事務機 12月 4.6% 349,800
8031 三井物産 総合商社 3月 3.7% 188,950
8058 三菱商事 総合商社 3月 3.5% 327,900
注:配当利回りは会社予想ベース。ただし、キヤノンのみ楽天証券予想。最低投資額は、10月24日終値で最低投資単位100株を買うのに必要な金額

守りの5銘柄

 世界景気が減速しても業績への影響が相対的に小さいと考えられる「ディフェンシブ株」の中から、配当利回りが高めの銘柄を選びました。

守りの好配当利回り5銘柄:2018年10月24日時点

コード 銘柄名 主要事業 決算期 配当
利回り

最低
投資額
:円

2651 ローソン コンビニ 2月 3.6% 699,000
2914 日本たばこ産業 タバコ 12月 5.1% 294,250
8306 三菱UFJ FG 銀行 3月 3.0% 66,410
9433 KDDI 情報通信 3月 3.4% 292,900
9437 NTTドコモ 情報通信 3月 3.8% 290,600
注:配当利回りは会社予想ベース。最低投資額は、10月24日終値で最低投資単位100株を買うのに必要な金額

 ローソンは、2017年2月期に経常最高益(730億円)を更新した後、2期連続減益となり、2019年2月期の経常利益(会社予想)は570億円となる見込みです。国内コンビニの既存店販売が競争激化(大手コンビニ同士の競争、ドラッグストアとの競争)で伸び悩んでいること、人手不足で人件費が上昇しつつあることが、逆風です。

 株価も、業績不振を織り込んで、2016年2月の最高値(1万280円)から、6,990円(2018年10月24日)まで下がっています。今期は、人手不足に対応した店舗業務合理化のためのシステム開発費や、ローソン銀行の開業費用が収益を圧迫します。ただし、来期以降、徐々に収益は回復にむかうと予想しています。合理化投資の効果が出てくると考えています。

 日本たばこ産業は、国内で喫煙者の減少が続いていることが逆風ですが、継続的に値上げを行っていること、海外でタバコ会社を買収することによって、安定高収益を維持しています。

 三菱UFJ FGは、景気敏感株だと考える人もいます。私は、国内商業銀行業務だけでなく、投資銀行業務・海外銀行業務を幅広く展開し、安定高収益を維持していけるディフェンシブ株だと判断しています。

 KDDINTTドコモは、ケータイ電話事業の競争激化懸念で、株価は冴えませんが、私は、料金引き下げがある程度進むとしても、安定高収益を維持していけると予想しています。
 

 

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー

10月23日:利回り4%超のJリートを見直す。日本株下落時の分散投資効果も
10月17日:配当利回り4%!「ダウの犬」型・日本株ファンドの作り方
8月17日:株主優待10万円株。アナリストが「最高益」基準で選んだ!

 

▼他の新着オススメ連載

今日のマーケット・キーワード:運用者の視点:『広深港高速鉄道』が開通
今日、あの日:第一次石油危機【45年前の10月25日】