今日は、10万円前後で買える「株主優待銘柄」をご紹介します。最高益を更新、あるいは最高益に近い利益を出す予想の銘柄から、アナリストの眼で選びました。

 

「10万円株」には、業績不振で株価が低迷している銘柄も多い

 株主優待を紹介するレポートの多くは、「優待内容」の魅力にフォーカスしています。ただ、株式投資である以上、中長期の業績には気を配るべきです。構造不況の銘柄には手を出すべきではありません。

 今日は、個人投資家に人気の、「10万円を大きく超えない金額で買える」優待株をご紹介しますが、最小売買単位(100株が多い)を取得するのに、必要な金額が10万円以下ということは、株価が1,000円以下ということです。500円以下や100円以下の銘柄も含まれます。

 株価水準の低い銘柄には、構造的に業績が低迷している銘柄や、財務に問題のある銘柄もありますので、注意が必要です。

 

最高益を更新、あるいは最高益に迫る予想の「10万円株」から「割安」銘柄を選別

 8月16日時点で、株主優待を実施している10万円以下で買える株は、332銘柄あります。

 その中から、現在、会社予想ベースで、営業利益または純利益で最高益を更新する予定の企業を選別し、そこからアナリストの眼で、「割安」と考えられる5銘柄を選びました。それが、以下です。

アナリストの眼で選んだ、最高益更新を予想する「10万円株」5銘柄

コード 銘柄名 優待内容  16日株価 最低投資額 権利確定月
8005 スクロール 優待内容 790 79,000 9月・3月
3050 DCMホールディングス 優待内容 1,008 100,800 2月
3289 東急不動産HD 優待内容 714 71,400 9月・3月
8818 京阪神ビルディング 優待内容 840 84,000 3月
9324 安田倉庫 優待内容 918 91,800 3月
単位:円
注:最低投資額は、16日終値で最低投資単位(100株)を買うのに必要な金額。権利確定月は、優待を得る権利が確定する月。年1回と2回がある

 上記の5銘柄は、業績好調でも株価は比較的「割安」と言えるものです。PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)が低く、配当利回りが高めの銘柄が多くなっています。16日時点の株価バリュエーションは、以下の通りです。

上記5銘柄の株価バリュエーション:8月16日時点

単位:円
注:配当利回りは、会社が予想する今期1株当たり配当金を8月16日の株価で割って算出、PERは8月16日の株価を会社が予想する今期1株当たり利益で割って算出。今期とはDCMホールディングスは2019年2月期のこと、他銘柄は2019年3月期

 

5銘柄の今期業績予想

【1】スクロール

出所:同社決算短信

 カタログ通販の「ムトウ(旧社名)」として知られてきました。2006年に現社名(スクロール)に変更。カタログ通販だけでなく、eコマース事業を積極的に拡大し始め、それが成功しつつあります。第1四半期(4-6月)の営業利益は前年同期比69%増の11.4億円と好調で、通期営業利益(会社予想)24億円の48%を既に稼いでいます。通期予想は、今後上方修正されると予想。

 同社は、中期経営計画で2021年3月期の売上高1,000億円、経常利益50億円を目指しています。eコマースに加え、健康食品・化粧品事業・旅行事業・海外事業などの戦略事業を積極的に拡大していく方針です。

【2】 DCMホールディングス

出所:同社決算短信

 ホームセンター最大手。「カーマ」「ダイキ」「ホーマック」の3社が経営統合した会社。業績好調で、最高益を更新する見通しですが、海外展開が遅れているので、株式市場の評価は低く、PER、PBRなどの株価指標で割安に放置されています。

【3】東急不動産HD

出所:同社決算短信

 不動産ブームの恩恵で、業績は好調。ただし、2018~19年にはオフィスビルの新規供給が大幅に増えるので、ブームがピークアウトする不安も出ています。そうした不安を背景に、不動産株は全般に、業績好調でも、株価は割安に放置されています。東急不動産HDの有価証券報告書を見ると、同社の賃貸不動産には2018年3月末時点で、1,456億円の含み益(取得価格と時価の差)があることがわかります。それでも株価はPBR0.9倍と、純資産価値を割り込む評価となっており、割安と判断できます。

【4】京阪神ビルディング

出所:同社決算短信

 業績好調で、同社の保有する賃貸不動産に635億円の含み益があります。にもかかわらず、株価はPBR0.7倍と純資産価値を割り込む評価となっており、割安と判断できます。

【5】安田倉庫

出所:同社決算短信

 業績堅調で、同社の保有する賃貸不動産に181億円の含み益があります。にもかかわらず、株価はPER0.4倍と純資産価値を大幅に割り込む評価となっており、割安と判断できます。

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