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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「三大割安株「買い」判断 高配当株の宝庫!インフレ・金利上昇・資源高が追い風」
三大割安株の上昇続く
日経平均株価は2万8,000円を一時回復しましたが、まだ昨年の高値(3万0,670円)には遠い水準です。そういう環境下で、先んじて高値を更新しつつある銘柄群があります。私がこのコラムで推奨してきた「3大割安株」です。インフレ・金利上昇・資源高が追い風となって、株価上昇が続いています。
「三大割安株」とは、金融株・資源関連株・製造業(自動車関連など)株のことです。私が勝手にネーミングしたものです。金融・資源関連・製造業に、配当利回りが高く、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などの株価指標でみて割安な銘柄が多いので、そのように名づけました。以下、投資の参考銘柄をご覧ください。
三大割安株から選んだ投資の参考銘柄:2022年6月7日時点
コード | 銘柄名 | 種別 | 株価 :円 |
配当 利回り |
---|---|---|---|---|
8306 | 三菱UFJ FG | 金融株 | 749.4 | 4.3% |
8316 | 三井住友FG | 金融株 | 4,039.0 | 5.4% |
8309 | 三井住友トラストHD | 金融株 | 4,047.0 | 4.9% |
8766 | 東京海上HD | 金融株 | 7,617.0 | 3.9% |
8725 | MS&AD HD | 金融株 | 4,154.0 | 4.5% |
1605 | INPEX | 資源関連 | 1,671.0 | 3.2% |
8058 | 三菱商事 | 資源関連 | 4,628.0 | 3.2% |
8031 | 三井物産 | 資源関連 | 3,334.0 | 3.6% |
8002 | 丸紅 | 資源関連 | 1,420.0 | 4.2% |
5020 | ENEOS HD | 資源関連 | 569.0 | 3.9% |
7203 | トヨタ自動車 | 製造業 | 2,190.5 | 2.7% |
7267 | 本田技研工業 | 製造業 | 3,382.0 | 3.5% |
4005 | 住友化学 | 製造業 | 548.0 | 4.4% |
コード | 銘柄名 | PER :倍 |
PBR :倍 |
1株 |
---|---|---|---|---|
8306 | 三菱UFJ FG | 9.4 | 0.55 | 32.0 |
8316 | 三井住友FG | 7.4 | 0.45 | 220.0 |
8309 | 三井住友トラストHD | 8.0 | 0.55 | 200.0 |
8766 | 東京海上HD | 12.0 | 1.27 | 300.0 |
8725 | MS&AD HD | 9.5 | 0.69 | 185.0 |
1605 | INPEX | 7.7 | 0.74 | 54.0 |
8058 | 三菱商事 | 7.9 | 0.99 | 150.0 |
8031 | 三井物産 | 6.7 | 0.94 | 120.0 |
8002 | 丸紅 | 6.1 | 1.08 | 60.0 |
5020 | ENEOS HD | 10.7 | 0.63 | 22.0 |
7203 | トヨタ自動車 | 13.4 | 1.14 | 59.7 |
7267 | 本田技研工業 | 8.1 | 0.55 | 120.0 |
4005 | 住友化学 | 7.2 | 0.73 | 24.0 |
出所:楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは1株当たり配当金(今期予想)を6月7日株価で割って算出。今期とはINPEXは2022年12月期、その他銘柄は2023年3月期のこと。1株当たり配当金は、会社予想。予想を公表していないトヨタ自動車は市場予想。PERは、今期1株当たり利益(会社予想)を6月7日株価で割って算出。三菱UFJの1株当たり利益は会社目標。告知事項:筆者は三井住友FG株を9,000株保有 |
ご覧いただくと、配当利回りが高く、PER・PBRが非常に低い銘柄が多いことがわかります。財務が良好で、利益も配当もしっかり出しているのに不人気で、株価が長く低迷してきたために、株価指標で安くなっているものが多くなっています。
その三大割安株が、2021年以降、好調です。経済環境の変化が追い風となっています。株価は2021年以降、かなり上昇しましたが、それでも上の表でわかる通り、株価指標でみると非常に割安と言えます。好調な業績・割安な株価を背景に、株価上昇が続くと予想しています。
2020年まで三大割安株が低迷した理由
三大割安株が2020年まで不人気だったのは、それまでの経済環境が逆風だったからです。
【1】金融株が低迷した理由
2020年まで世界的に金利低下が続いたため、金融株が売られました。金利が低下すると銀行などの金融株は利益が出しにくくなるというイメージがあったからです。ところが実際には低金利でもしっかり利益を稼ぐ金融株は多数ありました。きちんと利益も配当も出しているのに、金利低下で株価の低迷が続いたため、金融株には割安株が多くなりました。
【2】資源関連株が低迷した理由
世界的に原油などの資源が慢性的に供給過剰で、資源安が続いたため、資源関連株も不人気でした。資源関連株は、そこそこ利益を出していても株価低迷が続いたため、割安株が多くなりました。
【3】製造業が低迷した理由
世界的にデフレが広がったことが製造業に逆風でした。モノは一時的に不足しても、すぐに大量生産されて供給過剰になり、価格が下がってしまうのが当たり前でした。製造業では稼げない時代になったと考えられていたため、自動車などの製造業株は、そこそこ利益を出しても株価の低迷が続きました。その結果、自動車などの製造業には、割安株が増えました。
三大割安株が見直されている理由
業績が好調で、配当利回りが高く、株価指標でみて割安であることに加え、経済環境が3大割安株に追い風になったことが、株価が見直されて上昇している理由です。
【1】金利上昇で金融株が上昇
ドル金利下落で売られてきた金融株が、金利上昇で見直されています。
日米長期(10年)金利の月次推移:2007年1月~2022年6月(7日)
【2】資源価格上昇で、資源関連株が上昇
原油・天然ガス・石炭・鉄鉱石・銅・ニッケル・白金など、あらゆる天然資源がいっせいに急騰しています。これを受けて、資源関連株が、軒並み大きく上昇しています。
CRB指数の月次推移:2007年1月~2022年6月(7日)
【3】インフレ復活で製造業も復調
インフレは製造業に追い風です。値下げが当たり前だった製造業で、値上げが通るようになると、業績にプラスです。原料高に対応した値上げができずに業績が悪化する製造業もありますが、製造業全般を見渡すと、値上げや数量増の恩恵で増益となる銘柄が増えています。
足元、急な円安も進んでいますが、海外事業を拡大している日本の製造業にとって円安は業績拡大に追い風です。
クボッチ先生のやさしい投資入門
最後に、著書の紹介です。4月18日、主婦の友社より私の著書「クボッチ先生のやさしい投資入門」が発売されました。
本書は、私にとって初めて漫画で解説する投資入門書です。これから資産形成を始めようと考えていながら、まだ何もしていないし、何をしたら良いかわからない人のために書きました。入門書とは言っても、教科書的な内容にとどまらず25年のファンドマネージャー経験を通じて何万回というトレードを行ってきた私にしか書けない内容をしっかり書き込みました。
見開き2ページを1分で読めるように作っています。最初よくわからないと思うところは、漫画だけどんどん読み飛ばしていただけば良いと思います。実際に投資を始めて疑問に思うことがあれば、つど振り返って読むことで、理解が深まっていくと思います。
▼著者おすすめのバックナンバー
2022年5月19日:利回り4.4%・5.6%、増配発表の三菱UFJ、三井住友FGの「買い」判断継続
2022年2月17日:総合商社決算レビュー:配当利回り2.9~5.9%、割安な成長株として「買い」判断継続
2021年12月1日:利回り3.7~6.2%、12月決算の高配当株5選。INPEXを「買い推奨」に引き上げ
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