TOPIX新高値、日経平均も2万9,659円まで上昇
9月6日の日経平均株価は前週末比531円高の2万9,659円でした。菅首相辞任を好感した外国人投資家と見られる買いで急反発が続いています。年初来高値(2月16日の3万467円:終値ベース)更新も視野に入ってきました。
ところで、TOPIX(東証株価指数)はすでに9月3日から2営業日連続で年初来高値を更新しています。東証一部の時価総額から計算されるTOPIXが高値を更新しているということは、日本株はすでに高値を更新していると言って良いところです。
日経平均・TOPIXの年初来の動き比較:2020年末~2021年9月6日
日経平均は日本株を代表する指数としては、少し偏りがあります。2月以降の日本株下落では日経平均の下げが特に大きくなっていました。中国リスクを嫌気して日経平均の構成比が大きいファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)の下落率が高くなったことが要因です。また、日本銀行が3月に日経平均連動ETF(上場投資信託)の買付を止める決定をしたことも、日経平均の下げが大きくなった要因と考えられます。
今期業績は好調
菅首相辞任で日経平均は急騰していますが、政治不安が低下したことだけが、株価上昇の要因ではありません。4-6月の日本の企業業績が好調で、PER(株価収益率)で見た日本株の割安度が目立つようになっていたことも影響しています。菅首相辞任はきっかけに過ぎず、足元の企業業績が好調で、日本株に割安感が出てきていたことが、上昇の素地を作っていたと言えます。
それでは、東証一部主要株の業績推移を見てみましょう。
東証一部3月期決算主要841社の連結純利益(前年比%):2016年3月期実績~2022年3月期予想
今期(2022年3月期)、楽天証券経済研究所では、主要841社の純利益が30.6%増益になると考えています。期初(5月時点)の会社予想は19.1%増ですが保守的(低め)で、今後上方修正が見込めると予想しています。
2016年3月期以降の流れを簡単にレビューします。2016年3月期はチャイナショックといわれる世界景気悪化で、841社の業績は4.7%の減益でした。ただし、2017年3月期・2018年3月期は好調な世界景気に牽引されて、841社の業績も増益が続きました。
ただし、米中貿易戦争の影響を受けて、日本の景気は2018年10月を境に、景気後退期に入っています。そのため、2019年3月期は6.2%の減益となりました。続く2020年3月期は、さらにコロナショックの追い打ちもあって28.7%の大幅減益となりました。
2021年3月期は、第1四半期(2020年4-6月)に世界景気が戦後最悪の落ち込みとなったため、企業業績も大きく落ち込みました。ところが、第2四半期以降、業績は急回復し、最終的に23.8%の大幅増益となりました。世界的株高の恩恵を受けたソフトバンクGが日本企業として過去最高の約5兆円の純利益をあげたことが、全体を大きく牽引しました。
そして、今期(2022年3月期)です。緊急事態宣言が長引き、外食・観光・イベント・電鉄・航空産業は厳しい業績が続いています。ただし、世界景気拡大の恩恵を受ける、自動車・機械・半導体・海運・鉄鋼・大手銀行などは好調です。不振な一部の内需産業はあっても、全体で見ると、業績好調です。すでに発表されている第1四半期(2021年4-6月)も、好調なスタートでした。
先週から続く日経平均の急騰は、好調な企業業績を反映した自然な動きと考えています。
日本株はPER・配当利回りから評価して割安と判断
株の割高割安を判断するには、いろいろな指標がありますが、世界中でもっとも重視されているのは、PER(株価収益率)です。予想PERで、TOPIX(東証株価指数)は一時14.8倍まで低下していました。日本株がPERで見て非常に割安となっていました。その後、TOPIXが急反発したことによって、TOPIXのPERは9月6日には16.3倍となりましたが、なお割安と考えています。
時間分散しながら、割安な日本株に投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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