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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]高配当利回り株3選 株式投資デビューを考える初心者向け」
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株式投資デビューは高配当利回り株から、ただし分散投資が難しい問題も
日本には、長期投資にふさわしい魅力的な高配当利回り株がたくさんあると考えています。株式投資デビューを考える方は、ぜひ高配当利回りの個別株投資に挑戦していただいたら良いと思います。
ただし、個別株投資には1つ大きな問題があります。資産形成の王道と言える「長期・分散・積み立て」投資がやりにくいという問題です。日本株は最低投資単位が100株であるため、最低投資金額がけっこう大きくなってしまい、「分散・積み立て」投資に不向きです。
たとえば、株価1,000円の銘柄に投資しようとすると、最低投資単位100株を買うのに10万円必要です。株価が2,000円ならば20万円必要です。
総貯蓄100万円でこれから株式投資を始めようと考えている方に、個別銘柄で10万円や20万円は金額が大き過ぎます。多数銘柄に「分散投資」することが難しく、また1つの銘柄を何回かに分けて買う「時間分散」も困難です。
もし、日本の個別銘柄に1万円で投資できるならば、10万円で10銘柄に分散投資ができます。毎年ボーナスの時に投資を増やしていけば、積み立てに似た時間分散効果も得られます。
ただし、現実には1万円で投資できる個別銘柄は日本にはほとんどありません。そうなると、日本株投資で初心者に向くのは「投資信託での積み立て投資」となります。
投資信託ならば少額から投資可能で、多数の銘柄に分散投資されていて、積み立てで投資することも可能です。「つみたてNISA」を使えば、非課税投資のメリットも受けられます。
それでは、初心者は個別株投資をすべきではないのでしょうか。そんなことはないと思います。そのような初心者にも向くと考える高配当利回り株を選んでみました。それを今日、ご紹介したいと思います。
その話をする前に、少しだけ脇道にそれます。米国株の話です。米国株投資ならば1株から投資可能なので1~2万円で買える銘柄がたくさんあります。米国株ならば個人投資家が少額から多数の銘柄に分散投資が可能です。日本もなぜ、1株から投資できるようにしないのか不思議です。
株式投資による個人投資家の資産形成を促進しようとするならば、最低売買単位を1株にして、個別銘柄による少額での分散投資が可能にすれば効果が大きいのに、その議論が進まないのが不思議です。
それでは、以下、元の話に戻ります。
はじめは、大型・ディフェンシブ株から選ぶ
多数銘柄に分散投資ができず、1~2銘柄しか買うことができないないならば、最初はどんな銘柄に投資したら良いでしょう? 私は、3つ条件を考えました。
【1】大型株:財務内容が良好で、収益基盤が堅いと考える大型株
【2】ディフェンシブ:景気変動の影響があまり大きくない業態
【3】高配当利回り:予想配当利回りが3.5%以上
多数の銘柄に分散投資し、かつ時間分散しながら追加投資していくことができることが理想的なのですが、それができないならば、最初は大型・ディフェンシブ・高配当利回り株から投資したら良いと思います。
配当利回りは確定利回りではなく、業績や財務が悪化したら減配になり、株価が下がるリスクもあります。なるべく減配リスクの低い銘柄に長期投資していきたいと思います。その候補を選ぶために重要なのが「大型・ディフェンシブ」です。
小型株は、成長性がないと衰退してしまうリスクがあります。ところが、小型成長株は好人気で株価が高くなっていて、配当利回りは低いのが普通です。なかなか、成長性の高い高配当株を小型株から見つけることはできません。
大型株には、成長性が低くても、中期的に安定収益を確保できる会社もあります。成長性が高くないと株式市場で人気がつかないので、株価評価が高くなりません。結果的に、配当利回りの高い銘柄が多くなります。
ディフェンシブという条件は重要です。景気変動による業績変動が激しいと、減配になるリスクが高いからです。
たとえば、日本郵船(9101)を考えてください。8月24日株価7,820円で、予想配当利回りは8.95%です(今期1株当たり予想配当金700円を株価で割って算出)。業績好調な高配当株として、トレーディングベースで買っていく価値があると判断しています。
ただし、初心者が最初に買う高配当株としては不向きと思います。なぜならば、海運はディフェンシブ業種でないからです。
世界景気の変動の影響を大きく受け、良い時と悪い時の業績の落差が極めて大きいからです。今は、業績がすばらしく良く、配当も大きいですが、将来海運不況に逆戻りして減配になるリスクもないとは言えません。
初心者向けの3つの高配当株
以上を考慮し、私は初心者が最初に買うのに相応しいと考える高配当株は、大型・ディフェンシブが良いと考えます。具体的には以下です。
投資の参考銘柄:高配当利回り株3選:2021年8月24日時点
コード | 銘柄名 | 株価 :円 |
配当 利回り |
PER :倍 |
PBR :倍 |
1株 当たり 配当金 :円 |
---|---|---|---|---|---|---|
8306 | 三菱UFJ FG | 591.4 | 4.6% | 8.94 | 0.43 | 27 |
9432 | 日本電信電話 | 2,901.5 | 3.8% | 9.61 | 1.35 | 110 |
9433 | KDDI | 3,404.0 | 3.7% | 11.63 | 1.61 | 125 |
出所:配当利回りは1株当たり配当金(会社予想)を8月24日株価で割って算出。各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成 |
上記3社を評価するポイントは以下の通り。
三菱UFJ FG
【1】安定高収益
金利が下がると銀行は収益を上げられない、というイメージがあり、リーマンショック後、日米で長期金利が低下する間、長期にわたり株価は低迷。
ところがその間、連結純利益で8,000億~1兆円の高収益を安定的に上げてきた。コロナ禍の今期(2022年3月期)も、連結純利益8,500億円の目標。第1四半期は3,830億円(通期目標の約4割)で好調。信用コストが想定よりも小。
【2】成長性
国内商業銀行は低迷が続くが、海外収益の拡大が続く。米モルガンスタンレーに出資している他、タイのアユタヤ銀行、インドネシアのバンクダナモンを子会社に持つ。ユニーサルバンク経営(投資銀行業務・証券・信託・リース・カード・消費者金融などへの多角化)でも収益を拡大。
【3】財務優良
有価証券に3兆7,323億円の含み益がある(2021年6月末現在)。不良債権比率低く、財務優良。
【4】デジタル化
銀行のデジタル化が進むと、既存のメガバンク店舗は不要になると見られ株価が低迷。実際、三菱UFJは店舗削減を進めている。デジタライゼーションでコストカットを進め、デジタル銀行としての成長を志向している。株式市場で、三菱UFJはデジタライゼーションの負け組と見られているが、実際には勝ち組と見ている。
【5】増配
三菱UFJは、これまで増配・自社株買いを積極的に行ってきた。これからも、増配・自社株買いをやっていくと予想。
日本電信電話(NTT)
【1】通信インフラを支配
世界中のネット成長企業は、日本でビジネスを展開するにはNTTの通信網を使う。不可欠なインフラを支配。NTTは、その通信網を安価に開放する義務があるので、独占で利益をどんどん拡大していくことはできない。その代わり、世界不況にも強く安定的に収益を上げていくことができると期待される。
【2】子会社での利益拡大
NTTドコモを完全子会社としたことで、貢献利益が大きくなる。NTTデータなどの成長子会社もある。
KDDI
【1】通信事業で安定高収益・ライフデザイン事業で成長
通信事業は高収益だが利益を成長させるのは難しくなってきた。通信を核にした、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザイン事業で収益を成長させている。
【2】連続増配・株主優待
今期(2022年3月期)、20期連続の増配を予定。3月末の株主に贈られるカタログギフト
も人気。
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