※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]利回り4.6~5.3%、プロが分析!3メガ銀行の投資価値―4-6月好決算、信用コスト減少から判断」
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3メガ銀行の買い判断を再確認
3メガ銀行の4-6月(2022年3月期の第1四半期)決算が出そろいました。私は、3メガ銀行株を「買い」と判断しています。コロナ禍でも堅実に利益を出す力があることを見て、その確信を強めました。
投資魅力が高い順に、【1】三菱UFJ FG(8306)→【2】三井住友FG(8316)→【3】みずほFG(8411)と考えています。
高配当利回り株として3メガ銀行に長期投資することが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。
金利が下がる都度、売られてきた銀行株
まず、3メガ銀行の株価がどう推移してきたかを、ご覧ください。株価は、長年にわたり低迷が続いてきました。
日経平均および3メガ銀行株の値動き比較:2007年1月~2021年8月(6日まで)
日本の3メガ銀行株は上のチャートで分かる通り、2008年以降、金利低下とともに売られてきました。日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。
株式市場では「金利低下→銀行(金融業)の収益悪化」というイメージが定着しているので、金利が低下する都度、世界中で銀行株を始めとする金融株が売り込まれました。
日米の長期金利(10年国債利回り)推移:2007年1月~2021年8月(6日)
3メガ銀行は、まず日本の長期金利が低下する過程で、売られました。さらに、ドルの長期金利低下を嫌気して売られました。
2021年に入り、ドルの長期金利が一時1.7%台まで反発すると、世界的に金融株が上昇し、日本の3メガ銀行株も上昇しました。
ところが、足元、ドル長期金利は、1.2%台まで反落しました。ドル金利反落を嫌気して、世界の金融株、日本の3メガ銀行株とも反落しています。銀行株は、株式市場では金利連動株として売買される傾向が強まっています。
3メガ銀行は金利低下でも高水準の収益を維持
3メガ銀行は、金利低下期でも、安定的に高収益を稼いできました。「金利が下がると銀行の収益が悪化する」というイメージとは、異なります。
3メガ銀行の連結純利益:2014年3月期実績~2022年3月期(会社予想)
三菱UFJ FG、三井住友FGの連結純利益は、2019年3月期までは、長期金利がどんどん低下していく中でも安定的に高収益をあげています。みずほFGは、2019年3月期に国内商業銀行部門に帰属するソフトウエアの減損(特別損失)を出したため利益水準が低くなっていますが、本業利益は高水準でした。
つまり、3メガ銀行とも、2019年3月期までは安定的に高収益を稼いできたと言えます。
2020年3月期、2021年3月期はコロナ禍で信用コスト(貸倒償却および貸倒引当金繰入額)が増加したことによって、利益水準がやや下がりましたが、それでも高水準の利益を維持していたと評価できます。
発表になったばかりの2021年4-6月(2022年3月期第1四半期)の純利益は、三菱UFJ FGで3,830億円と通期目標の45%を3カ月で出す好決算でした。与信コストの低下が純利益の水準を押し上げています。
三井住友FG・みずほFGも同様、与信コストの低下が寄与して、通期の業績予想に対する進捗度は三井住友FGが34%・みずほFGが49%と高くなっています。前期に引き当てた貸倒引当金に一部戻し益が発生しています。
コロナ禍が終わったわけではないので、3社とも通期の業績予想・目標を修正しませんでしたが、上ぶれ含みと私は予想しています。年間を通じて、与信コストが会社見込みを下回ると予想しています。
3メガ銀行の与信コスト:2020年3月期~2022年3月期第1四半期
海外収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・投資銀行業務などの多角化)によって、低金利でも高収益を稼ぐビジネスモデルができあがっていると考えられます。コロナが収束すれば、再び最高益を更新する可能性もあると考えています。
三菱UFJ・三井住友は増配予想
財務良好、収益基盤・キャッシュフローも安定的な三菱UFJ FGと三井住友FGは、今期(2022年3月期)、増配する方針を発表しています。
この2社は、コロナ禍直撃だった前期(2021年3月期)は配当を増やしませんでしたが、それを除けば安定的に増配を続けてきたことが分かります。来期以降も、増配を行う可能性が高いと私は予想しています。
3メガ銀行の1株当たり配当金:2017年3月期実績~2022年3月期(会社予想)
ディープ・バリュー株としての魅力
3メガ銀行はこのように安定的に高収益を稼ぎ、財務良好であるにもかかわらず、株価は長期にわたり低迷してきた結果、株価指標で見てきわめて低い水準にあります。英語でいうと、ディープ・バリュー株(きわめて割安な株)といって良いと判断しています。
以下の通り、配当利回りが高く、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低くなっています。
3メガ銀行株の株価バリュエーション:2021年8月6日時点
コード | 銘柄名 | 株価 :円 |
配当 利回り |
PER :倍 |
PBR :倍 |
---|---|---|---|---|---|
8306 | 三菱UFJ FG | 584.2 | 4.6% | 8.8 | 0.44 |
8316 | 三井住友 FG | 3,740.0 | 5.3% | 8.5 | 0.43 |
8411 | みずほFG | 1,569.0 | 4.8% | 7.8 | 0.42 |
出所:各社決算資料より作成。配当利回りは2022年3月期1株当たり年間配当金(会社予想)を8月6日株価で割って算出。1株当たり配当金は、三菱UFJ FG27円、三井住友FG200円、みずほFG75円。PERは、8月6日株価を22年3月期1株当たり利益(会社予想または会社目標)で割って算出 |
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最後に告知事項です。筆者は1984年に住友銀行(現三井住友銀行)に入行し勤務した経験がありますが、既に退職しています。本レポートでは、公開情報のみを使った分析を提供します。最終的な投資判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。なお筆者は現在、三井住友FG株を9,000株保有しています。
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