たりたり社長さんのプロフィール

 就職をきっかけに投資について本格的に興味を持ち、ほとんど投資に関する知識ゼロ、経験ゼロの状態から投資の勉強を始めた、たりたり社長さん。

 投資についての正しい知識を得るまでの自身の経験や、株式アナリストとしての経験をもとに、株式投資にまつわる知識をTwitterやブログ「たりたり投資塾」などで発信しています。

今だからこそ始める!本気で稼ぐ株式投資の教科書
2020年08月19日頃発売/株式会社KADOKAWA
1,540円(税込)

投資スタイル

 米国市場に上場している株価指数S&P500に連動するETF(上場投資信託)や、そのセクター別ETFのみに投資しています。

金融商品の種類 投資先・銘柄名など 割合
米国ETF バンガード S&P500ETF(VOO) 30%
米国ETF バンガード 情報技術ETF(VGT) 20%
米国ETF ヴァンエックベクトル 半導体ETF(SMH) 20%
米国ETF バンガード ヘルスケアETF(VHT) 10%

銘柄選びの基準

  • 10年単位のスパンで安定的にリターンを出してくれそうなS&P500のETFにNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)枠で投資。それ以外にも下落タイミングでセクターETFなどをスポット購入。
  • VGT、SMH、VHTといったセクターETFを地合い、トレンドに応じて売買する。

銘柄を売るときの基準

  • 売却を行うのはセクターETFのみ。他により魅力的なセクターがあると判断した際に乗り換えるため。
  • S&P500に連動するETFには一切手を付けない。相場を完全に読むのは不可能という前提のもと、機会損失を防ぐため、どんな高値でも一定額は買い続け、解約は一切行わない割合をある程度設定する。

初心者時代の体験談

Q:投資を始めて最初の成功体験を教えてください。
A:さまざまなセクターの中で、どの業種の株が一番伸びるかを的確に予想できたこと。

 セクターETFの投資が非常にうまいタイミングでできたと感じる瞬間です。

 投資を始めたばかりの頃ではありませんが、たとえば、2020年の秋ごろに米国のハイテク株が下落したタイミングで、テクノロジーではなく、SMH(ヴァンエックベクトル 半導体ETF)という半導体ETFへ投資を行うことができました。

 これは半導体の実需が好調になり、結果としてテクノロジーセクターよりも伸びると踏んだためですが、功を奏しました。        

Q:初心者時代の失敗談を教えてください。
A:仕組みもわからない状態で原油ETFを売買して損失を出したことです。

 仕組みもわからない状態で原油ETFに挑戦してしまったことです。

 利益確定のタイミングも損切りのタイミングも設定せずになんとなくの投資を行った結果、大きく上昇した局面でも大きく下落した局面でも利益確定・損切りができず、結局、さらに大きく下落したタイミングですべてのポジションを解約しました。            

▼その失敗体験で学んだことは?

 金融商品に投資をする際は、必ず、その仕組みについて最低限、知識を押さえる必要があることを痛感しました。また、投資を行う際には出口戦略が必要だということを悟りました。

 原油価格は、過去の水準を見ても数年間は同じレンジで推移しやすい、ということが後から分かりました。

 そのような過去の値動きの実績を踏まえ、売るタイミングをあらかじめ決めておくことの重要性を学びました。

Q:資金が少なかった時代にやってしまった失敗や、後悔していることなどを教えてください。
A:仕組みをよく理解していない金融商品で失敗しても、損失が出るだけで、学びがないこと。

 原油ETFでの失敗のように、仕組みの理解ができていない金融商品や、連動先の商品知識が乏しい状態での失敗は、「いくら実践が大切、実践から学ぶべき」といっても、あまり学べる要素もなく、投資の損失だけが残ってしまいます。

 少額資金でも投資する以上はある程度の知識を身に付けていないと、「失敗から学ぶ」ことすらできません。

Q:さまざまな成功・失敗を経て確立した投資手法や投資哲学を教えてください。
A:投資は期待値を上げることが重要。そのために必要なのはファンダメンタル分析や分散投資だと考えています。

 自分自身の体験だけではありませんが、結局のところ、株式投資は期待値を上げることが重要だと感じています。

 個別銘柄もセクターETFも、投資ではどうしても予測不可能なことが起こってしまいます。

 たとえば、最近では中国の大手コーヒーチェーン「ラッキンコーヒー」が2020年4月、粉飾決算のため、株価が9割以上も消し飛ぶ事件がありました。あのような事例を予想しろ、といわれても見破るのは非常に難しいです。

 では、どうするかというと、ファンダメンタル的に成長することが見込まれる銘柄でポートフォリオを組むこと。そうすれば期待値が上昇し、投資期間を伸ばせば、利益を得る確率も上がります。

 投資の勉強では、この「期待値」をいかに正確に判断できるか? という点を磨くことが重要だと感じるようになりました。        

たりたり社長さん流・少額ポートフォリオ

1,000円で投資するなら?

商品の種類 割合
投資に関する本 100%

●この銘柄を選んだ理由

 1,000円での投資はかなり投資先が限られてしまいます。加えて、少額過ぎて、心理的な経験も積みにくいと思います。

 それならばいっそ、投資に関する本を買って勉強することをお勧めします。投資に限らず経済動向について学べる本でもいいですね。

1万円で投資するなら?

銘柄名 商品の種類  割合
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) インデックスファンド 100%

●この銘柄を選んだ理由

 1万円ならば、投資信託でS&P500に連動したインデックスファンドを買うことができます。

 1万円の投資ならば、ある程度の心理的な経験も積めるため、まずは投資をしてみるという最初のハードルを乗り越えるのに使いたいところです。

●この銘柄の売り時はいつ?

 一度買ったら売却せず、投資経験を積むためと思って、保有し続けましょう。

 ポジションを持っているときと持っていないときはニュースへの興味が段違いに変わります。まずは投資をしてみて知識を得やすい環境を作りましょう。

3万円で投資するなら?

銘柄名 商品の種類 割合
バンガード 情報技術ETF(VGT) 米国ETF 100%

●この銘柄を選んだ理由

 3万円あれば、米国の株式市場に上場するセクターETFも買えるようになります。

 買うだけで完全放置しない限り、セクターETFの値動きから株価変動の基本を学ぶことができます。

 そうすれば、ゆくゆくは個別株に投資するにせよ、しないにせよ、エントリーのタイミングなどがわかるようになってきます。

 そのため、まずは勉強としての意味合いも込めて、セクターETFへの投資をお勧めしたいです。

●この銘柄の売り時はいつ?

 他のセクターのほうが今後伸びると思ったら売却して乗り換えましょう。そう思わなければ、保有を続けましょう。

10万円で投資するなら?

商品名 商品の種類 割合
S&P500のセクターETFを複数保有 米国ETF 100%

●この銘柄を選んだ理由

 10万円あるとセクターETFが複数個、買えるようになります。

 できれば、10万円を、シクリカル(景気循環に合わせて値動きする業種)とディフェンシブ(景気に左右されない業種)という、株価の動きが逆になりやすい種類のETFに分けて投資することで、身を持って、さまざまなセクターの値動きの具合を覚えてもらいたいです。

 いったい、どういう要因でそのセクターの株価が動きやすいのかを知れば、多くの学びがあり、それはいずれ個別株投資にも生きると思います。

●この銘柄の売り時はいつ?

 他のセクターのほうが今後伸びると思ったら乗り換え、そう思わなければ保有を続けるという点は3万円プランと同じです。

つみたてNISA枠またはNISA枠で投資するなら?

商品名 商品の種類 割合
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 国内インデックスファンド 100%

●この銘柄を選んだ理由

 つみたてNISAやNISAは長期投資が前提になります。そのため、できるだけ長期投資で計算のめどがつきやすい分野での投資を実行すべきだと思います。

 具体的には10年、20年と長期で投資をすれば、かなりの確率で利益が出ると推測できるものがいいでしょう。

 その特徴を考えるならば、やはり分析の精度に左右される個別株ではなく、S&P500へのインデックス投資が望ましいです。

●この銘柄の売り時はいつ?

 いったん投資したら、売らないで長期保有しましょう。

投資ビギナーへのアドバイス

Q:初めて買った銘柄を売るときのタイミングや気を付ける点について教えてください。
A:少額資金での投資は経験を買うもの。どんどん買ったり売ったりして、実践を積み重ねることが大切です。

 余裕資金が別途あって、少額資金で投資を始めた場合、どんどん買ったり売ったりを繰り返してもいいと思います。

 少額で投資する際に重要なのは理論よりも実践です。

 少額資金なら、損しても金銭的には大きな痛手を負わない中、感情だけが大きく揺れ動くので、ある意味、コストパフォーマンスのいい経験を積むことができます。

 いろいろ失敗して投資経験を積むためにも、好きに売り、好きに買い、反省をしていければいいと思いますね。

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