「高成長」「ビジネスモデル」「割安」で選んだ6銘柄!

 サラリーマン時代から株投資を行うも、リーマン・ショックで大損失。そこから「高成長」「ビジネスモデル」「割安」を軸にした成長株への中長期投資法を編み出し、約6年で資産10倍超を達成したすぽさん。2018年からは専業投資家になり、2019年から学び始めた「ドラゴンキング理論」という経済物理学を使って、コロナ・ショック前の2020年1月、東証マザーズが軟調になる前の9月上旬には保有株をほぼ売却してノーポジで切り抜けたのはさすが! そんなすぽさんが目をつけている10倍高予備軍とは?

2021年の10倍高期待株6選
1 じげん(3679) 東証1部
2 ブティックス(9272) 東証マザーズ
3 グッドパッチ(7351) 東証マザーズ
4 エードット(7063) 東証マザーズ
5 エアトリ(6191) 東証1部
6 Fringe81(フリンジハチイチ)(6550) 東証マザーズ

1:じげん(3679・東証1部)

「転職EX」や「賃貸スモッカ」など求人や不動産関連の情報まとめサイトを運営するネット企業。「もともと高収益な優良企業ですが、ここ数年は成長の鈍化が見られたことで株価が割安水準になっています。事業で稼いだ現金で積極的にM&A(買収や合併)を行うという戦略を取っていますが、こういったM&Aに対する市場の見方は、今は少しシビアなものになっています。ただ、M&A戦略に対する市場の評価が変われば、株価的にも有望な面白い企業だと考えています。買収したリフォーム見積もり会社や比較サイトなどが今後、業績拡大すれば、株価の上昇にも期待が持てそう。11月末時点で総資産の8%をこの株に振り向けています」(すぽさん)

2:ブティックス(9272・東証マザーズ)

 介護機器と介護事業者のマッチングや介護業界のM&A仲介事業などを手がける企業。「コロナ禍で展覧会のオンライン化などを余儀なくされたことで株価が大きく下落していました。しかし、業績が平常レベルに戻ってきて、まだ業績寄与が小さいM&A仲介事業が伸びると面白いと思っています。介護というと対面型の営業が一般的ですが、ウェブやITも駆使したマッチング事業を展開している点にも期待できます。10月に『コロナ後の新興株バブルで恩恵を受けなかった銘柄』をテーマに新規購入しましたが、11月に狙い通り大きく値上がりしたため、私自身の資産増にも大貢献しています」(すぽさん)

3:グッドパッチ(7351・東証マザーズ)

 ネットやアプリのUI(ユーザーインターフェイス)やUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザイン支援・コンサルを手がける。「今年、上場したばかりのIPO(新規公開株)株で、UIデザイン支援のほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入に向けた企業向けワークショップなども行っています。今後のITの潮流として、DXやUIがますます重要視されていくことになると思いますが、日本の現状はまだ言葉だけでほとんど理解されていないような状況です。DX・UIの重要性に対する認知がもっと広がれば、同社にも大きな成長が期待できそう。短期的には、リモートでデザイン関連のサービスを企業に提供する新事業『Goodpatch Anywhere』(クラウドソーシング型の請負マッチング)が好調です」(すぽさん)

4:エードット(7063・東証マザーズ)

 ITを駆使したクリエイティブなブランドの構築や事業・プロダクト企画を提供する広告代理店。「SNSなどで費用対効果の高い独自企画を提案している点が、同じ広告代理店でも斬新です。広告市場はこれまでテレビCMが中心でしたが、現在はウェブ広告市場が大きく広がっている状況。電通や博報堂といった大手広告代理店は売上確保の観点からテレビCMを捨てるような企画はやりづらく、同社のような新興企業には優位性があると思います。今後、広告代理店市場の中で、どのように独自のポジショニングを確保できるかに注目しています」(すぽさん)

5:エアトリ(6191・東証1部

 格安航空券の比較サイトを運営。「航空券販売に強みを持つ新興のインターネット旅行代理店(OTA)ですが、コロナ禍の影響を大きく受けており、株価も比較的割安な水準まで下落しています。もともと経営力に強さを感じていた企業だったので、世の中がコロナ禍を克服して平常時に戻ってきたときは面白いと思います。短期的にはコロナ第3波が広がる懸念があり、今すぐに購入というよりは、まずは慎重に株価動向をウオッチしておきたい銘柄。株価のもう1段階の下落を待つとともに、平常時に戻ったあと、どんな成長戦略を打ち出すかを注意して見ておくと、ひょっとしたら大化けが狙えるかもしれません」(すぽさん)

6:Fringe81[フリンジハチイチ](6550・東証マザーズ)

「ネット広告の代理店ビジネスと、従業員の連携を高める社内SNSサービス『Unipos』が二大柱といえる企業です。Uniposは、働く仲間やスタッフ同士で日ごろの仕事の成果や行動を賞賛し、『ピアボーナス(同僚からの特別手当)』という形で少額の成果給を送りあえるサービスです。まだ投資期という位置づけで、戦略的な広告投資で赤字だったところに、コロナ禍によってネット広告事業も崩れてしまい、業績が悪化。株価も低迷しています。その一方でUniposユーザーは着実に増えており、回収期が近づいていると考えます。業績ともに株価が反転し始めると面白いと考えます」(すぽさん)

バブル発生と崩壊の規則性を学び、コロナ危機を回避!

「今年の投資成績は任天堂やブティックスの好成績もあって11月末時点で前年比+25.5%です」と語るすぽさん。その輝かしい戦績に大きく貢献したのが最近、学んでいるという経済物理学の「ドラゴンキング理論」。物理学の観点から、バブルの発生と崩壊の動きを読み解く理論で、「対数周期」という規則性のある軌道でバブルにおける株価の値動きを解明するものだそう。 

 その理論が発したシグナルのおかげで、コロナ・ショックに見舞われる前の1月下旬や、コロナショック後に右肩上がりで上昇が続いた東証マザーズ市場が調整した10月直前には持ち株をすべて売却。見事、ノーポジで株価下落を逃げ切ることができた。バブルといえるような株価上昇をあえてノーポジでやり過ごすのはとても勇気がいること。学者肌で、探求心旺盛なすぽさんだからこそできた暴落回避の離れ業といえるだろう。

すぽさんプロフィール

 対話型の人気ブログ『すぽさん投資ブログ』を運営。ブログに書かれた精緻な企業分析は一投資家を超えて、研究者や大学教授のような探求心にあふれている。サラリーマン時代には、独自の割安成長株分析を駆使して、5年4カ月で資産10倍を達成。その投資手法は中長期的に10倍高が狙えるような隠れた成長割安株を徹底的に探して投資する、まさにこの記事にぴったりのスタイルといえる。2019年に刊行した著書『10万が100万になる株の本当の探し方』(ぱる出版)がベストセラーに。

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人気投資ブロガー・すぽさん 前編
割安株投資から成長株投資に転換するまで