日本株は配当利回りから見て割安と判断
日本株は、配当利回りや、PER(株価収益率)などの株価指標で見て、割安と判断しています。長期投資で、資産形成に貢献する投資対象と考えています。
日本の長期金利(10年もの新発国債利回り)と東証一部予想配当利回りの推移:1993年5月~2020年6月(17日まで)
1993年当時、長期金利が5%あった時、東証一部配当利回りは1%未満でした。この時、長期国債は割安で、日本株は割高でした。ところが、現在、長期金利はゼロ近くに低下しましたが、配当利回りは2.05%まで上昇しています。コロナ・ショックで減配する企業が増えて、配当利回りが一時的に低下していますが、それでも十分に高い水準といえます。コロナ・ショックが収束すれば、再び、配当利回りは上昇すると思います。今は、長期国債が割高で、日本株が割安と判断しています。
20万円から始める高利回り株投資
日本株は、配当利回りから見て割安で、長期投資対象として魅力的と考えています。ただし、銘柄選択は大切です。人気株に飛び乗って高値づかみとなり、株価が急落すると大きな損失をこうむることもあります。
これから日本株への投資を考える初心者は、日経平均に連動するインデックスファンドや、20万円以下で買える株への小口投資から始めたらいいと思います。一度に大きな金額を買うのではなく、毎月一定額を買い付けるなど、堅実に投資を増やしていく買い方が良いと思います。
本来ならば、10万円以下で買える高配当株を紹介したかったのですが、コロナ・ショックで配当予想を発表しない企業が増えたため、一時的に10万円以下でご紹介できる銘柄が少なくなっています。
そこで、今日は、範囲を広げて、20万円以下で買える高配当利回り株をご紹介します。
スーパースクリーナーを使って銘柄選択
楽天証券ウェブサイトでは、さまざまな条件を指定して、その条件に合った銘柄をスクリーニング(抽出)する「スーパースクリーナー」というツールを提供しています。スーパースクリーナーの使い方は、以下をご参照ください。
今日は、スーパースクリーナーを使って選ぶ、20万円以下で投資できる高配当利回り株を、ご紹介します。以下の手順で絞り込みます。
20万円以下で買える2,657銘柄を抽出
まず、東証一部・二部・東証マザーズ・ジャスダック・名証に上場する銘柄について、「投資金額20万円以下」の条件を指定すると、2,657銘柄が出てきます。この2,657銘柄が、2020年6月17日時点で、最小投資単位100株が20万円以下で買える銘柄です。
予想配当利回りが4%以上の123銘柄を抽出
20万円以下で買える銘柄から、配当利回りが高いものを抽出します。「配当利回り(予想)が4%以上」という条件を加えると、銘柄数は、一気に123まで減ります。これが、20万円以下で買える高配当利回り株の候補となります。
配当利回り(予想)は高ければ高いほど、良いというわけではありません。なぜならば、株の配当利回りは、確定利回りではないからです。業績が悪化して、減配(1株当たり配当金を減らすこと)になり、株価が下がることもあります。高配当利回りを選別する時は、なるべく減配リスクの低い銘柄を選ぶべきです。
予想配当利回りが高すぎる(7%超)銘柄は、減配リスクが高いと考えるべきです。きちんと調査して選別する場合は良いが、そうでない場合は避けた方が無難です。
時価総額が1,000億円以上の銘柄に絞り込む
減配リスクの低い銘柄にさらに絞りこむ方法は、いろいろあります。減配リスクが低い銘柄には、一般的に以下の特色があります。
・時価総額が大きい
・経常利益率が高い
・自己資本比率が高い(借金が少ない)
・景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)
・経営者が株主への利益配分に積極的
・予想配当利回りが高すぎない(→予想利回りが高すぎる銘柄は減配リスクが高い)
すべてを満たす銘柄はありません。上記の1つか2つを満たせば十分と考えます。今日は、いちばん単純で分かりやすい「時価総額が大きい」(時価総額1,000億円以上)、予想配当利回りが高すぎない(7%以下)という2つの条件で絞り込んでみました。すると、銘柄数は、46に絞り込まれます。
ただし、コロナ・ショックの影響で、今期は配当予想を発表しない企業が増えています。選択した46銘柄には会社予想を発表していないで、アナリスト予想などによって利回りを推定している銘柄も含まれています。
今日のレポートでは、配当金の会社予想を発表していてない銘柄は除外することにします。20万円以下で買える会社予想ベースで予想配当利回り4%以上7%以下、時価総額1,000億円以上の銘柄は、19銘柄あります。
20万円以下で買える、時価総額1,000億円以上、配当利回り(会社予想ベース)4~7%の19銘柄
スーパースクリーナーで抽出した19銘柄:2020年6月17日時点
私が投資してみたいと考える7銘柄
スクリーニングで選んだ銘柄に、機械的に投資するのは得策とは言えません。配当利回りが高い銘柄には、将来、減配になるリスクもあるからです。ここから、さらに絞り込む必要があります。
私は、1987年から2013年まで、日本株ファンドマネージャーをやっていました。私がもし今、ファンドマネージャーならば買ってみたいと思う銘柄は、7銘柄あります。以下の通りです。
筆者がファンドマネージャーならば買ってみたい7銘柄
【金額単位:円】 | ||||
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コード | 銘柄名 | 配当 利回り |
業種 | 最低 投資額 |
1812 | 鹿島建設 | 4.1% | 建設 | 124,800 |
5020 | JXTG HD | 5.7% | 石油 | 39,930 |
8031 | 三井物産 | 4.9% | 商社 | 167,150 |
8053 | 住友商事 | 5.1% | 商社 | 127,600 |
8306 | 三菱UFJ FG | 5.8% | 銀行 | 44,690 |
8411 | みずほFG | 5.5% | 銀行 | 13,730 |
9434 | ソフトバンク | 6.4% | 通信 | 137,850 |
出所:楽天証券スーパースクリーナーより筆者作成 |
上記リストは、業種(建設・石油・商社・銀行・通信)別に、色分けしています。上記より、複数の投資銘柄を選ぶ際、特定のセクターに集中せず、さまざまなセクターに分散投資した方が良いと思います。
欧米の相場格言に、「1つの籠に、すべての卵を入れるな」があります。これは、投資において分散投資が重要という意味です。1つの銘柄、同じ業種の銘柄に集中せず、さまざまな業種に分散すべきと思います。
三菱UFJ・みずほと、銀行が2つ入っています。私は、銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行に限定すべきと考えています。日銀の低金利政策でダメージを受け、収益悪化が長引く地方銀行には、投資すべきでないと考えています。
3メガ銀行では、三菱UFJ FGとみずほFGのほか、三井住友FG(8316)も、予想配当利回りが5.9%と高く、投資魅力は高いと考えています。ただし、三井住友FGは、最低投資金額が約32万円と大きいので、上記リストには入りません。3メガ銀行の中で比較すると、海外収益拡大で先行する三菱UFJの魅力が一番高いと判断しています。
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