経済再開への期待で、日経平均はV字反発
6月3日の日経平均は2万2,613円まで上昇しました。これで、コロナ危機の暴落の8割以上を取り返したこととなります。押し目らしい押し目もなく、一気に戻る「V字反発」となりました。5月後半から、日経平均の上昇が加速していますが、外国人が「世界景気敏感株」である日本株の買い戻しを始めたためと考えられます。
日経平均推移:2017年末~2020年6月3日
コロナ危機で、世界経済は、一気に奈落の底に突き落とされました。年前半(2020年1~6月)は、戦後最悪の景気悪化となった模様です。ただし、感染鈍化を受けて、中国、米国、欧州、日本で経済を再開することから、年後半の世界景気は、急回復が見込まれます。株価のV字反発は、経済のV字回復を織り込む動きと考えられます。経済再開に伴い、感染の再拡大が予想されますが、それでも、感染を封じ込めるための経済封鎖をもう一度やることは無いと、読み切った動きとも言えます。
戦後最悪となった世界経済の落ち込みは、自然に発生したものではなく、ある意味「人為的に起こされた」と言えます。感染拡大を封じ込めるために、中国、米国、欧州、日本が次々に経済封鎖を行った結果として、戦後最悪の経済危機となりました。
主要国が経済を再開すれば、世界経済は回復に向かいます。その際、感染が再び拡大するのは避けられないでしょう。そこで、欧米主要国の政府はどう動くでしょうか?
もう一度、世界経済を奈落の底に突き落とす「人為的な経済封鎖」をやるとは考えられません。ウィズ・コロナ(コロナと共存)で、経済を回していくしかないと考える国が増えるでしょう。早ければ半年後、遅くとも1年後までに、予防用ワクチンが幅広く利用可能になるまで、コロナと戦いながら、経済を回す工夫を考えることになると思います。
中国経済に回復の兆し
感染抑え込みに早くから成功した中国では、経済再開の動きが続いています。米中対立の激化など不安材料もありますが、それでも、足元の景況感は急速に改善しています。
財新マークイットによる中国製造業・非製造業PMI(景況感指数):2019年6月~2020年5月
3日に発表された、財新マークイットによる5月の中国「非製造業」PMIが、4月比、+10.6ポイントの大幅改善で、55.0まで上昇し、景況判断の分かれ目となる50を超えたことが、株式市場で注目されました。
米国の景況感は、わずかに改善
米国でも、徐々に経済が再開されつつあることを受けて、景況感がわずかに改善しています。
米ISM製造業・非製造業景況指数::2019年6月~2020年5月
5月は製造業・非製造業ともに、景況感が改善しました。ただし、まだ景況判断の分かれ目である50を下回っています。
最大の悪材料は、米中対立の再燃
コロナ後を考えると、株式市場の最大の悪材料は、米中対立の激化だと思います。現在、世界を苦しめている新型コロナウイルスは、たぶん、1年後には先進国では終息に向かっていると思います(新興国ではさらに長引くかもしれません)。
ところが、米中対立は、終息しません。20世紀後半の米ソ冷戦のように、50年は続くと考えられます。米中対立がもたらす、世界経済の分断は、世界経済に長期にわたり暗い影を落とすことになるでしょう。ちょうど、新型コロナの流行で、グローバル分業が高リスクだと、多くの国が思い始めているタイミングです。ここに、米中対立による分断が加われば、グローバリズム(国際的な協業・分業の推進)はかなり後退することになるでしょう。
コロナ以上に、米中対立の激化に注意が必要と思います。
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