※このインタビューは2018年10月に実施し、2018年11月1日に初回掲載したものです。
人気お笑いコンビ、「キャイ~ン」の天野ひろゆきさんのインタビュー中編。今回は、株の売買のコツをお聞きしました。
株の取引は自己との葛藤
――前回は応援している会社の株を買っているという話でした。聞きにくいのですが、利益は出ていますか?
初期のころに買った銘柄は上がっているはずです。それでも、思ったほどではないですね。100年に一度の大暴落=100年に一度の投資のチャンスという自分の感覚を信じて、そのまま持っていたら、もっと利益が出ていたはずです。
――売買を繰り返しているのですか?
人間の心理って、何なんですかね。じっとしていられなくて動かして(売買して)しまうんです。値上がりしたら喜ぶのではなくて、不安になって売りたくなる。面白い心理ですね。
買った株が上がって、このあたりで売ろうと考えた値段に到達したときに、なぜか売る機会を逃してしまう。そうすると下がる。次に上がったときは絶対に売ると決めて、先の値段まで戻ると、もっと上がるだろうと考える。この不思議な人間の心理は、投資をしなかったら知ることがなかった。まあ、知らなくても良かったけど(笑)。
――買うよりも売るほうが難しいですよね。
だからいずれAI任せになると思う。機械は冷静に判断して実行してくれるから。でもみんながAI任せになったら、相場はどんな動きになるのだろう?
――天野さんもAI任せにしますか?
AIをどこまで信じていいのか分からないから、たぶん……。
――天野さんはしませんね(笑)
いや、「自己責任」で行動することが好きなんですよ。AI任せで損失が出てもAIを怒るわけにはいかないし、責任を取るわけでもないでしょ。だからAIの時代になっても投資も自己責任なんですよ。無理矢理買わされるわけではないから。
自己責任という暗示
――失敗も経験していますよね。自己責任だから自分を怒るしかない?
失敗したときに心がけていることは、潔く「己の負けを認める」ことです。僕も含めて、人は自分のミスを認めることができない生き物だとつくづく思います。上がると思って買った株が下がった。それは勝負としては負けということなのに、それを認めないから塩漬けになってしまう。いち早く負けを認めて、僕は今回、間違えたんだと認めて出直した方が100%いい。
――天野さんは「己の負けを認める」ことを実践しているんですね。
……していない(笑)。この矛盾はなんなんだ(笑)。それでも経験を積んだから負けを認められるようになったし、目先の値動きに一喜一憂することはなくなりました。
――投資は自己責任とはいえ、誰かの意見を参考にして投資をすることはないのですか?
人に聞いて上手くいくときもあるし、逆に悪くなることもある。すると悪くなったときの印象の方が強くなるんですよ。だから自分で考えて自分で判断した方がいい。
――自分で判断することは、難しくはないですか?
人の意見を頼りにしたくなる気持ちは分かるけれど、「投資は自己責任」ということを自覚することが本当に大切だと考えています。余裕資金の範囲でやるべきで。そうでなくても、投資資金は増やしてしまうものですよ。なんでしょう。人間の性ですかね(笑)。
ただし、普段からうまい話はないことだけは心得ておかないと。いまだに「投資資金は確実に増えます。しかも元本保証です」という詐欺事件もありますからね。
――天野さんは投資を周りの人にすすめていますか?
「これをやりなさい」と具体的に勧めることはありません。自己責任を理解していない相手だと、損をきっかけに長年の友情だって壊れるからね。投資について聞かれることはありますよ。仮想通貨が世の中で話題になったときは、ある後輩の芸人に「天野さん、コインビットって知っていますか?」と聞かれたことがあります。もうコインビットといっている時点で危ないでしょ(笑)。こいつは何も知らないで手を出していると思った。
仮想通貨に関しては評価が分かれると思います。仮想通貨でもうけた「億り人(資産1億円超えを達成した投資家)」のニュースを見ていたら、若い女性がシャンパンを飲みながら、「朝起きたらぐんぐん上がっていました。やらない人は馬鹿ですよ」なんて話していました。僕は危ないと思ったけれど、逆にやりたいと思う人もいるでしょうね。
どちらの判断が正しいのかは、その時点では分かりません。もしかしたら僕が乗り遅れるのかもしれないけれど、もうけるチャンスを逃すというのも自己責任だからね。
――天野さんは資産10億円といううわさですよね。
そんなにありません!相方のウドちゃんが流したんじゃないかな(笑)。それを目標にがんばろうと思います。
読者へのメッセージ
次回は仕事と投資のつながりについてお聞きします。
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