景気敏感株が大幅高
4月27日の日経平均は、前週末比521円(2.7%)高の、1万9,783円となりました。先週末に決算を発表したファナック(6954)(11.9%高)、アドバンテスト(6857)(8.4%高)など、景気敏感株の上昇が目立ちました。
日経平均日足:2020年1月4日~4月27日
ファナックは産業用ロボットの世界最大手で、工作機械向けCNC装置でも高い競争力を有します。中国向け売り上げが多く、中国関連株として注目されます。先週末に発表した2020年3月期の営業利益は前期比▲46%の883億円でした。ただ、会社側より中国について「ほぼ回復している」とコメントあったことから、新型コロナ感染が終息に向かっている中国で、生産・設備投資が回復に向かう期待が出て、同社株の上昇につながりました。
アドバンテストは、半導体製造装置(テスター)で、これから5G(第5世代移動体通信)や半導体の投資が世界的に盛り上がってくる見込みであることが追い風と考えられています。2020年3月期の営業利益は前期比+146%の646億円でした。
景気敏感株が大幅高になった背景には、米国・欧州で感染が鈍化し、経済活動を再開する検討が始まっていることへの期待があります。それを好感して欧米の株の反発が続いている流れに乗っています。
今の世界株を動かしている強弱材料は、以下の通りです。
【強材料】
◆中国で経済再開。欧米で、経済再開の検討が始まる。
◆新型コロナ対策として、世界各国が巨額の財政・金融政策を発動
◆「治療薬・ワクチン・簡単な検査方法」の開発が世界中で進み始めたこと
【弱材料】
◆日本および世界の景気・企業業績が急激に悪化。リーマン・ショックを超える悪化に。
◆欧米および日本で、感染拡大が続いていること
日経VI(ボラティリティー・インデックス)が34.9まで低下、パニックは収まりつつある
新型コロナについてさまざまなニュースが出る中、日本の株式市場での恐怖が高まっているか、低下しているかを見るために、便利な指標があります。日本経済新聞社が算出している日経VI(ボラティリティー・インデックス)です。
詳しい説明は割愛しますが、日経平均オプションなどのデータから、株式市場での「リスクへの警戒」がどの程度高まっているか計測して、指数化したものです。
日経平均と日経VI(ボラティリティー・インデックス)推移:2018年1月4日~2020年4月27日
恐怖指数とも言われることがある「日経VI」は、上のグラフをご覧いただくと分かる通り、日経平均が急落する局面で上昇します。通常は20程度の水準で推移していますが、コロナ・ショックで日経平均が暴落すると、一時58.5まで上昇しました。ただし、その後、日経平均が急反発すると低下してきました。40を割れ、35まで下がってきましたので、パニックは収まりつつあると判断できます。
日経VIが40を超えるのは稀、リーマン・ショックでは92まで上昇
日経VIが、長期でどう推移してきたか、2007年以来のデータを見てみましょう。
日経平均と日経VI、月次推移:2007年1月~2020年4月(27日)
上のグラフをご覧いただくと分かる通り、日経VIは、通常20くらいで推移していますが、日経平均が急落すると上昇します。ただし、40を超えることはめったにないことが分かります。
40を超えたのは、2008年のリーマン・ショック時と、今回のコロナ・ショックだけです。リーマン・ショックでは、一時92まで上昇しています。世界不況と金融危機が同時に起こったことから、恐怖心が今以上に強くなりました。
コロナ・ショックで、4~6月の世界経済はリーマン・ショックをはるかに上回る落ち込みとなる見込みです。それでも、「世界各国が何でもありの経済対策を出してきている」「治癒薬・ワクチンの開発が進みつつある」ことから、先行きへの不安・パニックは、収まりつつあると考えられます。
リーマン・ショックとの比較、コロナ・ショックも「恐怖低下」局面に入るか?
まず、危機発生後の日経平均の値動きを比較した、以下をご覧ください。
危機発生後の、日経平均の暴落局面を比較:リーマン・ショックとコロナ・ショック
リーマン・ショックを見ると、発生3~6カ月にかけて、日経平均は二番底をつけています。今回のコロナ・ショックはどうなるでしょうか? 少し、楽観に傾き過ぎている気もします。短期的には、もう一度、日経平均が急落する局面があっても不思議はないと思います。
ただ、いずれにしろ、日本株は配当利回りや買収価値で、長期的に良い買い場を迎えているとの判断は変わりません。短期的な波乱の可能性に気を配りつつ、時間分散しながら、日本株の保有を増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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