楽天証券のお客さま約2万8,000人の投票で投資信託(ファンド)を選ぶ中立性と実用性の高い「第4回・楽天証券ファンドアワード」。このアワードの最優秀ファンドをクローズアップするため、「プロジェクトF~ファンドの挑戦者たち」シリーズをお届けします。

第4回楽天証券ファンドアワード最優秀賞

国内株式部門:ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン

 国内株式部門の最優秀賞に輝いたファンドは「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」(野村アセットマネジメント)です。

 この授与を記念し、同社CEO兼代表取締役社長の中川順子氏と、楽天証券代表取締役社長・楠雄治の特別対談のもようをお伝えします。

 そして、運用成績とコストパフォーマンスを維持するため、日々ファンドと向き合う同社社員の熱い想いにも迫ります。運用中の秘話もありの独占インタビューです。

野村アセットマネジメントCEO兼代表取締役社長・中川順子氏✖楽天証券代表取締役社長・楠が対談 

野村アセットマネジメントの中川順子CEO兼代表取締役社長(右)にトロフィーを授与

 今年で4回目となったファンドアワードですが、全て定量評価したラインアップの中から、最後はお客さまの投票で決定しています。その中で国内株式部門の最優秀ファンドに「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」が選出されました。

中川社長 大変光栄です。特にこのファンドは、1997年に設定と歴史が古く、中長期のリターンでインデックス・ファンドを上回るパフォーマンス(運用成績)を残しているアクテイブ・ファンドです。

 インデックス・ファンド人気が高い中、実力、人気ともに備えていると言えるのではないでしょうか。中長期のパフォーマンスが良好であるということは、資産運用の基本である長期運用に向いているということですね。弊社では楽天グループのシナジーを強化していますが、楽天ポイントの付与倍率を増やしたいと考えるお客さまの証券口座開設が増えています。最初はほんの何百円という低い金額で投資信託の買い付けをスタートされていますが、その後、少しずつお客さま自身で投資額を増やし、その後も積み立てで投資を続けています。これは、正に投資の有用性に気づいた結果の行動だと思います。

中川順子氏は、野村アセットマネジメント初の女性社長だ

中川社長 投資を経験した初心者の方がどんどん投資額を増やし始めている、素晴らしいことですね。まだまだ裾野は広く、成長余地はあるということですね。私たちは良いプロダクト提供をしていきたいと考えております。引き続きお知恵を拝借できればと思います。

 我々もお客さまの資産形成に寄与できるよう、さまざまな知恵やチャネルを使っていきたいと考えています。

 

≫≫ ノムラ・ジャパン・バリュー・オープンをチェック

プロジェクトF・ファンドの挑戦者

 続いて、国内株式部門の最優秀賞受賞ファンド「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」を運用する、運用部株式グループに所属するシニア・ポートフォリオマネージャーの伊藤真さんに独占インタビューしました。

看板ファンドを背負うブレない「ファンド職人」

看板ファンドのファンドマネージャーに必要なのは、情熱と「こだわり」

「私にとってこのファンドは特別なものです。受賞はとてもうれしいですね」
「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」のファンドマネージャーを務める伊藤真さんは言う。

 一般的に日本の運用会社は人事異動などがあるため、一つのファンドを同じファンドマネージャーが運用主担当者として運用し続けることは多くないと言われる。

 だが、1997年12月に設定され、同社の看板ファンドの一つである同ファンドは、設定以来1人のファンドマネージャーが運用主担当者として十数年にわたって運用してきたものだった。社内でも珍しいことだという。

 その同ファンドを長年運用してきたファンドマネージャーは、2015年3月、退任することになる。このとき、ファンドマネージャーとしては若手であった伊藤さんが抜擢され、「二代目」として運用を引き継ぎ、現在に至る。

 伊藤さんは、大手投資信託会社から2006年9月に入社し、当初はアナリストとして活

ノムラ・ジャパン・バリュー・オープンを運用するファンドマネージャーの伊藤真さん

躍していた。その後、運用部に異動。運用チームの一員としていくつかのファンドに携わりながら、若手社員が課せられるトレーニングに励んだ。それは、仮想ファンドを数年にわたり、運用シミュレーションするというもの。彼らはその成績を競い、一定のレベルをクリアして初めて独り立ちできるという。

「前任者は、365日24時間銘柄のことを考えているような正に『プロの職人』であり人間的にも尊敬できる素晴らしい人物でした。彼が熱い想いで取り組んでいたからこそ、『ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン』は当社の看板ファンドへと成長を遂げることができました。私は、前任者の熱い思いや歴史、運用の考え方を含めて全て引き継ぎ、全身全霊をかけて運用したいと希望しました」

 トレーニングの好成績に加え、この「情熱」が、歴史ある同ファンドの後継者に選ばれた理由のようだ。

ファンドマネージャーが明かす「隠れ割安株」指標とは?

「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」はその名の通り、バリュー銘柄で構成されるアクティブ・ファンドだ。TOPIX(東証株価指数)を上回るパフォーマンス(運用成績)を中長期で目指し、割安な銘柄を選定してポートフォリオを組んでいる。

 ただし、単に割安かどうかの指標となるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)の低い銘柄が選ばれているわけではない。

「私は『割安株』には2種類あると考えています。一つは、一般的なPERやPBRといった株価指標で見て割安な銘柄です。もう一つはそういった株価指標では一見割高に見えるものの将来の成長性を考慮すると割安だと判断できる銘柄です。私は後者を『隠れ割安株』と呼んでいます。こうした将来性を見込んだ銘柄も積極的に組み入れるようにしています」

 とはいえ「隠れ割安株」を見極めるのは簡単なことではない。将来を見据えた上で割安かどうか判断するとなると、企業収益を予測する必要があり、ファンドマネージャーの力量が大きく問われる。

「私の前任者も、実はこの『隠れ割安株』に着目していたのですが、何十年もファンド運用を手掛けてきただけに、企業の将来を読むという確かな目の持ち主でした。同じチームにはならなかったので、普段から近くにいたわけではありません。しかし時折、企業調査などに同行すると、その着眼点、分析力など、とても勉強になりました。今は前任者から学んだことを生かしつつ銘柄の研究にあたっています」

 ただし、現在運用担当の伊藤さんは、単純に前任者のやり方を踏襲しているわけではない。

 例えば前任者はある程度、銘柄を絞り、それらを徹底的に分析するという手法を取っていた。対して伊藤さんは、最初からターゲットを絞るのでなく、広くアンテナを張り巡らせ、できるだけ多くの銘柄を研究するようにしている。

「今はこの業種とこの業種が好調だと枠を決めてしまうと、隠れた有望銘柄を見逃す恐れがあります。だから、思い込みや先入観を捨て去り、ありとあらゆる上場銘柄をチェックするように心掛けています」

 さらに伊藤さんは「自分の目で見て、自分の頭で考える」が信条だ。

 たとえ高名なアナリストが推奨する銘柄であろうと、絶対に情報を鵜呑みにはせず、自分自身で必ず検証する。それもただ単に資料を読み込むだけでなく、直接会社を訪ねて経営者や担当者に話を聞いたり、工場や店舗に足を運んで内情を探る。そうして「この会社は間違いない」という確信を得て、初めてファンドへの組み入れを検討する。事実、伊藤さんが年間で直接コンタクトする企業数は500社前後と、かなり多めだ。

「お客さまの大事な資産を預かるわけですから、やれることは全てやるのは当然でしょう。それに私はどんなことであれ、自分でやってみないと気が済まない性分なんです。もちろん周りの意見を全く聞かないわけではなく、参考にはしています。でも、そのまま受け入れる気にはなれない。自分が納得できるまで徹底して調査します」

 正に妥協を許さない「職人ファンドマネージャー」と呼ぶにふさわしい。

ファンドマネージャーは足で稼ぐ?

 それにしても1年間に500社前後も企業調査に足を運ぶというのは尋常ではない。年間240日前後勤務するとしても、1日平均2社。実際には丸1日デスクで資料を読んだり、レポートを執筆することもあり、午前中に2社、午後3社ハシゴするといったことも珍しくないという。もちろん地方企業に足を伸ばすこともあれば、海外の工場などに出向くこともある。

「ひと昔前は取材を申し込んでも断られることが多かったそうです。IR資料に疑問点があったので社長に話を聞きに行ったら門前払いを食らったといった話を先輩に聞いたこともあります。しかし、今はほとんどの企業が歓迎してくれます。だったら、その機会を逃すことはない。直接会って話すと、資料では分からないことが見えてきますから」

 そして、社内の雰囲気や従業員の対応などから内情を探ったりもするそうだ。また、プライベートで小売店や飲食店に入ったときも常に仕事の目で見てしまうという。

「もちろん上場企業の場合ですが、経営状態はどうなんだろうかとつい考えてしまうんです。それで食事もそこそこに従業員の様子とか、オペレーションとかを観察したりして。これはもう職業病かもしれません(笑)」

 どうやら伊藤さんも「365日24時間銘柄のことを考えていた」前任者の域に達しつつあるようだ。

「日本株アクテイブ軍」打者のファンドマネージャーは勝率6割を追求

 日本にはアクティブファンドだけでも数千本あると言われ、そのタイプはさまざまだ。組み入れ銘柄数を見ても十数のファンドもあれば、100銘柄、200銘柄のファンドもある。「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」の場合、前担当者のときは40銘柄ほどだったが、伊藤さんが担当してから増やし、現在は130~140銘柄を組み入れている。特定の業種やテーマに絞らず、幅広く組み入れるため、おのずと多くなったという。

 また、どのくらいの頻度で銘柄を入れ替えるかもファンドによってまちまちで、中には設定時からほとんど入れ変えていないファンドもある。現在のノムラ・ジャパン・バリュー・オープンは、中長期的な目線で銘柄を組み入れるため、銘柄自体の入れ替え頻度は低い。ただし、少しでもリターンを積み上げるために株価の動きに応じて細やかなウエイト調整を心がけている。

「例えば収益予測を見直した結果、企業価値に比べて、明らかに割安でなくなったら除外します。その判断がつきにくい場合など、除外はしないものの、投資比率を下げることもあります。いずれにしても企業は生き物であり、株価は日々変動しているわけですから、こまめにポートフォリオを見直すのは当然ではないでしょうか」

 伊藤さんはさらに、組み入れ銘柄以外に300~400銘柄に及ぶ「予備軍」を用意している。いつかファンドに組み入れたいと考えているが、まだ割高だったりして組み入れるには至っていない銘柄だ。組み入れ銘柄を除外したときには、「予備軍」から新たに組み入れる。

 プロ野球に例えれば、不振の1軍選手と頭角を現してきた2軍選手を入れ替えるのだ。ちなみに300~400銘柄に及ぶ「予備軍」も固定されているわけではなく、随時見直しを行い、必要に応じて入れ替えているという。

 もっとも1軍に格上げしたものの、全く戦力にならないというケースもある。前述したように伊藤さんはあらゆるデータを分析し、経営者などにも話を聞いて、この銘柄は間違いないと思えばファンドに組み入れる。が、それでもいつも狙い通りにいくわけではなく、その会社を取り巻く環境がガラリと変わり、株価が急落、ひいてはファンドの基準価額に影響を与えるようなこともある。

「全ての銘柄の株価が上がっていくのが理想ですが、100本以上を完璧に的中させるのは不可能です。どんなに優れたファンドマネージャーでも百発百中はありえません」

 では、どれくらいの勝率なら合格と見なされるかというと6割が1つの基準だという。

「中長期に組み入れ銘柄の6割が市場全体を上回っていればアクティブファンドの運用成績としては上位に入るのではないでしょうか。逆に言うと4割程度はうまくいかないわけで、常に「判断を間違える≒予想は外れる」ことを念頭に置きながら過度なリスクを取らないようコントロールすることも重要だと考えています」

長い歴史を有するアクテイブファンドの秘密

 伊藤さんはどんなときでも勝率6割を維持できるような、安定した打者を目指していると話す。

「短期的には7~8割の勝率を残せることもあります。しかし、一時的に7割を超えても、そのあと5割以下に転落したりしたら意味がありません。良かったり悪かったりを繰り返すことは基準価額の大きな振れにつながり、お客さまは値動きが激しいと不安を抱くことになります。ですから、私は市況や相場にかかわらず、常に安定した運用成績を残すことを目標にしているのです」

 勝負に出たくなることもあるが、そんなときもその背後に潜むリスクをよく見極め、慎重に行動するという。

「ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン」は1997年設定というだけあり、長期保有している顧客も相対的には多い。そういう顧客の信頼を損なうようなことは絶対にできないと伊藤さんは言う。

 ただし、一方で新たな顧客の獲得にも力を注ぎたいと話す。

「最近はインデックス・ファンドが主流になりつつあり、アクティブファンドというだけで、色眼鏡で見る方がもしかしたらいるかもしれません。しかし、このファンドは中長期的に運用成果を目指すものですから、積み立てにも適しています。1997年の設定から20年以上たつこのファンドを、さらに20年先も続けていけるよう、力を尽くしたいと思います。個人的には20~30代の若い方にも積極的にアピールしていけるようにしていきたいですね」

 看板ファンドを信念と責任で背負うファンドマネージャーは常に、鳥の目、虫の目、魚の目で日本を見つめていた。

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