「消費国」に焦点を当てて「プラチナ」を解説!
コモディティ(商品)は私たちの身近にある商品や資源です。この身近にあるコモディティについての知識が増えれば、コモディティの値動きに影響を受ける株式の投資のことももっと分かるようになります。
今回のテーマは宝飾品でおなじみの「プラチナ」。宝飾品だけでなく産業分野でも幅広く用いられている「プラチナ」の消費国について、解説していきます。
コモディティ☆クイズ「プラチナの消費国、世界1位は?」
プラチナの消費は、産業、宝飾、投資の3分野!
プラチナの消費内訳 (2017年)
プラチナは、おおまかに言えば、自動車排ガス浄化装置などの「産業」、アクセサリーとしての「宝飾」、そして「投資」の3分野で消費されています。
「宝飾品」=金(ゴールド)と同じで、自分を飾る、優越感に浸るなどを目的とした消費。
「産業用」=自動車排ガス触媒向け、電子部品、医療関連などの分野で、触媒作用(自分の性質を変えずに相手の性質を変える)など、金属としての性質に着目した消費。
「投資」=プラチナ価格に連動する、金融商品の保有による消費。
となります。
産業の消費トップは欧州!
64.9%と、消費の大半を占める「産業」としてのプラチナについて見てみましょう。「産業ジャンル」での消費国の1位は欧州38.4% 、2位は中国 14.1% 3位は北米 13.8%でした(2017年)。
プラチナは、空気中・水中において酸化しない、酸・アルカリ、水銀に反応しない、化学的に安定した金属です。また、融点が高い、触媒作用がある、などの特性があります。
自分の性質を変えずに相手の性質を変える
「触媒作用」を利用し、自動車の排ガスを
浄化する装置や、燃料電池車の動力源とな
る燃料電池の電極に用いられています。
そして酸化しにくい性質は、通信機器をはじめとするさまざまな電子部品に向いていて、使用されています。
安定した金属であるため、歯科技工用などの医療用として使用されます。融点が高い点を利用して、ガラス綿製造用ノズルなどのガラス製品の製造装置で用いられるなど、自動車、化学、石油精製などの工業・産業向けの需要が非常に高いのです。
自動車排ガス装置の消費トップは欧州!
産業向けの一角で、プラチナ全消費に占める割合が43%と非常に高い、「自動車排ガス浄化装置向け」の消費内訳を見てみましょう。1位:欧州46.7% 2位:日本 13.5% 3位:北米 12.4%でした(2017年)。欧州、日本そして北米など、戦後、モータリゼーション(自動車使用の一般化)が急速に進んだ国・地域がトップ3となりました。ちなみに中国は、自動車排ガス浄化装置向けとして、プラチナではなくパラジウムを主に使用しています。
宝飾向けの消費トップは中国
宝飾向けの消費国としては、1位:中国54.5% 2位:日本 13.8% 3位:北米 11.4%でした(2017年)。
中国・日本・北米の3カ国で、宝飾向けプラチナ消費の約80%を消費しています。これらの国の景気が良くなれば、個人消費が伸び、やがてプラチナの宝飾需要が増加する可能性があります。
「プラチナ」投資で覚えておきたい注意点!
価格差に注意!
「プラチナは金よりもパラジウムよりも価格が安い、だから割安だ」という話があります。2017年半ば以降、プラチナ価格は、金よりもパラジウムよりも安くなっています。
この事象を見て「プラチナは安い、だから買いだ」と考える方も中にはいらっしゃると思います。しかし、価格差の話はあくまでも他の貴金属との比較の話であって、プラチナ単体の価格の話ではありません。
価格差の話は、先物取引等で“割高な方を売り、割安な方を買う取引を「同時に」行うことを前提とした話です。くれぐれも“価格差が拡大したため、プラチナは割安だ。だからプラチナは単体で買いだ”という発想にならないようしたいところです。
環境配慮と技術革新に注目!
環境配慮と技術革新という大きなテーマの共通点は「ほとんどの人が否定しないこと」と、「超長期的にはプラチナの自動車排ガス浄化装置向け消費を減少させる可能性があること」です。
環境を配慮するムードが高まれば高まるほど、環境にやさしいとされる電気自動車などの次世代自動車に移行する動きが強まるとみられます。また、技術革新を進めば進むほど、自動車の電子化が進みやすくなります。超長期的には、これらがプラチナの主要な消費である自動車排ガス触媒向け消費を減少させる要因になると考えられます。
「プラチナ」投資の注目ポイント
世界経済の不安定化は、プラチナの主要な消費である自動車排ガス浄化装置向け消費、および宝飾品向け消費を減少させる要因になります。ただし、逆もしかりで、世界経済が好転していけば、自動車排ガス浄化装置向け消費、宝飾品向け消費が増加するとみられます。
このため、プラチナ投資においては世界経済の動向に留意することが重要なポイントになってきます。世界各国の自動車の製造・販売台数や個人消費などに加えて、できるだけ世界全体を俯瞰し、世界全体として、景気動向がどうなのか? ということを考えてみることが重要だと思います。
欧州、中国、北米、日本…プラチナに関連する各国の状況は現在も刻々と変化しています。プラチナの価値を知り、プラチナがどのような目的でどの国や地域で消費されているかを把握することは、これらの金融商品の投資のヒントとなるでしょう。
「プラチナ」は今いくら?現在の価値
私たちの身近にある円建てプラチナ価格は2018年11月15日時点で、1グラムあたり3,143円前後です(楽天証券の積立価格)。また、図のとおり、国際的なプラチナ価格の指標であるドル建ての先物価格は、長期的に見れば2008年9月に発生したリーマンショック直後につけた安値とほぼ同じ水準にあります。
「プラチナ」の投資商品例
日本でも個人投資家が投資できる、コイン・メダル・地金バー、純金積立、ETF(上場投資信託)、商品先物の4種類を紹介します。
【コイン・メダル・地金バー】
独特の輝きを持つプラチナを手元に置けることが魅力。一方、保有にあたっては盗難リスクが伴う。量が多くなると、持ち運びが難しく、警備が必要になる場合も。
【純金積立】
比較的少額の資金を長期で積み立てる取引。株式等の取引経験がない投資初心者の人でも参入しやすいとされる。預金代わりに金を積み立てる人も。
【ETF(上場投資信託)】
証券会社に口座を持っている人に便利。株を取引きするのと同じようにプラチナの取引ができる。プラチナ関連のETFは原則プラチナ価格に連動するように設計されている。長期保有も短期売買も可能。
【商品先物】
レバレッジをかけた短期売買ができる。(長期保有ができる銘柄もある)
※積立、ETF(上場投資信託)、商品先物においては、各取引を扱う証券会社等によって、積立てたプラチナを現物にして手元に置いたり、ETFや商品先物取引で購入したプラチナを手元に引いたりできない場合があります。
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