9月には、優待を得る権利が確定する「優待銘柄」が411もあります。今日は、読者から質問の多い株主優待銘柄の買いタイミングについて解説します。
株主優待制度とは
日本には、世界でも珍しい「株主優待」という制度があります。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。上場企業が株主に、お中元やお歳暮を贈るようなものです。
株主には本来、配当金を支払うことで利益還元するのが筋です。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に贈り物(株主優待)を喜ぶ傾向があることから、個人株主を増やしたい上場企業は積極的に優待を実施しています。
小口の個人投資家を優遇し、大口の機関投資家に不利な内容となっていることが多いので、機関投資家からは株主優待制度に反対する意見もあります。ただし、小口で投資する個人投資家にはありがたい制度なので、積極的に活用したらよいと思います。配当金をもらった上にさらに優待がもらえるというお得感があります。
9月は優待銘柄が411と多い
9月は3月に次いで優待の権利が確定する銘柄が多く、優待取りが話題になります。
「権利確定月」別の優待銘柄数:2018年8月27日現在
9月に配当金や優待の権利が確定する企業は、主に以下の2種類です。
(1)3月期決算企業
年2回優待を実施。9月中間決算期末と3月本決算期末に、配当や優待を得る権利が確定する。
(2)9月決算企業
9月本決算期末に配当や優待を得る権利が確定する。
9月末に権利が確定する株主優待銘柄の「権利付き最終売買日」は9月25日
9月25日(火)は「権利付き最終売買日」、26日(水)は「権利落ち日」となります。
2018年9月末(9月の最終営業日:28日)が権利確定日の場合
2018年9月25日(火)は、2018年9月末基準の配当金や株主優待を受け取るための「権利付き最終売買日」です。9月25日(火)に株を買うと、3営業日後の9月28日(金)に株主名簿に掲載されます。そうすると、9月末の株主に与えられる配当金や株主優待を得る権利が確定します。
気をつけなければならないのは、9月26日(水)に買っても、9月末基準の配当金や株主優待を受け取る権利は得られないことです。9月26日を「権利落ち日」といいます。9月26日に株を買った場合、株主名簿に登載されるのは10月1日(月)となります。9月末にはまだ株主名簿に登載されていませんので、9月末基準の配当や株主優待は得られません。
9月の優待銘柄411のうち、405銘柄は9月25日(火)が「権利付き最終売買日」ですが、6銘柄だけ9月14日(金)が権利付き最終売買日となるため、注意が必要です。PLANT、ハチバン、マルサンアイ、セキド、大宝運輸、愛光電気の6銘柄がそれに当たります。
株主優待が魅力的な9月優待銘柄を、権利付き最終売買日に買うのは、有利か?
買ってすぐに9月の株主優待や配当金を受け取る権利が確定するので「お得」に感じる人が多いようです。そのため人気の優待銘柄では、権利付き最終売買日に向けて、権利取りの買いが増えます。
ただし現実には、権利付き最終売買日の直前に買って「お得」とは限りません。かえって損なこともあります。権利付き最終売買日の買いが「お得」か「損」かは、直前の株価の動きによって決まります。
人気の優待銘柄は、権利付き最終売買日に向けて、権利取りの買いで大きく上昇することがあります。その場合、権利落ち日に株価が大きく下がる可能性が高くなります。配当金や株主優待を受ける権利が得られても、その価値以上に株価が大きく下がっては意味がありません。権利取り直前に株価が大きく上がっている銘柄の買いは見送るべきです。
人気の優待銘柄では、権利落ちの1カ月以上前に買うのがよいこともある
人気の優待銘柄や有名な好配当利回り株には、権利落ち日の1~2カ月前から、権利取りの買いが入ることもあります。人気の高い銘柄ほど早めに権利取りの買いで株価が上昇し、権利落ち日には株価が大きく下がります。
人気の優待銘柄や好配当利回り株は、権利取りの買いが入って株価が上がる前に投資した方がよいといえます。では、どれくらい前に買ったら良いでしょうか? 銘柄ごとにもっともよい買いタイミングは異なるので一概には言えませんが、9月末基準の人気の優待株は、8月後半~9月初旬までに買った方がよい場合が多いと言えます。
タイミングの判断は個別銘柄ごとに異なります。人気の優待株に一時的な悪材料が出て、権利取り直前に株価が大きく下がっているならば、そこがよい買い場になります。
優待や配当取りの対象になることがあまりない優待株は、権利付き最終売買日の買いでOKな場合もあります。
株主優待ねらいの買いで、権利取り直前に株価が大きく上がりやすい銘柄、5つの特色
一般的に、以下の5つの特色を備えた銘柄は、優待取りの買いで権利取り直前に株価が大きく上がることがあります。
(1)株主優待や配当金を、年1回(本決算のとき)しか出さない
(2)小型株。流動性が低い
(3)優待利回りが高い(優待を金銭換算し、投資額で割って計算)
(4)使いやすい(誰もが必要とする日用品中心に幅広い選択肢がある)
(5)マネー誌などで、人気の優待注目銘柄として紹介されている
このような銘柄に投資する場合は、権利付き最終売買日ではなく、その1~2カ月前に投資した方がよいと言えます。
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