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日本人のお金のIQ(全4回):その1 その2 その3 その4

元日銀マンが分析!日本人のお金のIQ ―まとめ―

日常的に金融教育を受けている人は、株式に投資している!?

 最終回は、「金融教育」が日本人のお金のIQと投資にどんな影響を及ぼしているのかを調査しました。金融リテラシーと「金融教育の経験」や「金融情報にふれる頻度」に相関性はあるのでしょうか。また調査結果から、「日常的に金融教育を受けている人は、株式に投資している」というデータも!

調査1:金融教育を受けた経験と投資リテラシーの関係
Q.「在籍した学校や大学・勤務先で、生活設計や家計管理の授業などの金融教育を受ける機会はありましたか?」

縦軸:金融教育を受けた人の割合。横軸:金融リテラシー。金融リテラシー調査にある正誤問題(25問)の正答1問を4点として、100点満点で計算し5段階に分類

 

総じて金融教育を受けた経験は少なのですが、低リテラシー層のうち金融教育を受けたことがある人は、わずか2.8%にとどまる一方で、高リテラシー層になると金融教育の経験は11%までアップするという結果に。

調査2:金融・経済情報を月1回も見ていない人の割合
Q.あなたは、新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどを通じて、金融・経済情報をどのくらいみていますか?

縦軸:月1回も金融情報に触れていない人の割合。 横軸:金融リテラシー。金融リテラシー調査にある正誤問題(25問)の正答1問を4点として、100点満点で計算し5段階に分類

 

→ 金融・経済情報を見ていないほど、金融リテラシーが低いという相関性が見られます。低リテラシー層では、月に1度も金融情報に触れていない人の割合が61.6%もいるのに対し、高リテラシー層では、同割合は13.6%まで下がります。月イチでも金融情報に触れることが、リテラシーアップに貢献しそうです。

調査3:株式に投資している人の割合 
Q.次の金融商品を購入したことはありますか? 購入した際には、商品性(元本保証や手数料の有無、どんなリスクがあるかなど)をどの程度理解していましたか?

縦軸:株式投資をしたことがある人の割合。横軸:金融リテラシー。金融リテラシー調査にある正誤問題(25問)の正答1問を4点として、100点満点で計算し5段階に分類

 

 → 金融リテラシーと株式投資の経験は、比例するという結果になりました。低リテラシー層では株式投資の経験者が11.3%しかいないのに対し、高リテラシー層では半数以上(55.3%)が株式投資の経験がありました。

 

日本人のお金のIQ調査まとめ

お金のリテラシーが高い人の行動・考え方をみると5つの特徴があった

  • 家計管理がしっかりしている
  • 金融商品の購入時は、他の商品との比較やネット調査、金融機関などへの相談を行い、商品性を十分に理解した上で購入している
  • 損失回避傾向や横並び意識は低め
  • 資金計画をたて、緊急時の資金的備えを持っている
  • 金融・経済情報をみる頻度が高め

「世界に目を向ける」、「金融教育の日常化」が進化のキーワードに!

 第1回の「やっぱり日本人は投資が下手」、第2回の「日本人はお金の計算は苦手」の結果から、日本のお金のリテラシーは低く、米国はそれよりも高いことがわかりました。

 投資の教科書を授業に用いるなど、若いうちから日常的に金融教育を受けている米国と比べ、日本の金融教育を受ける環境は機会が少なくお金のリテラシーを低くしている要因かもしれません。

投資はなるべく早くはじめたほうがいい、という意見もありますが、「急がば回れ」です

 正しいお金の知識を増やすほど、自分の生活を守りやすくなります。金融商品のリスクや商品性、投資の有用性を理解できていないと、高金利というフレーズだけに飛びついて思わぬ損をしたり、自分に合っていない無理のある投資で一喜一憂することにもなりかねません。自分がやっている投資を説明できないほど、こわいことはありません。

 自分に必要なお金はいくらか、必要なお金をつくるためにどんなリスクの商品を持てばいいのか、などのマネープランを一度作って見ましょう。それに必要な「お金のIQ」をアップするためにも、ぜひトウシルで配信している、マネー情報を日々のすき間時間に少しでも取り入れていただければと思います。


◎データ監修
鈴木 卓実(たくみ総合研究所 代表)
2003年、慶應義塾大学総合政策学部卒業。日本銀行にて、産業調査、金融機関モニタリング、統計作成等に従事。2018年、たくみ総合研究所を設立。エコノミスト、睡眠健康指導士として、経済や健康に関する個人指導やセミナー等を通じて情報を発信。

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