日本人のお金のIQ(全4回):その1 その2 その3 その4
元日銀マンが分析!日本人のお金のIQ ―男女の違い―
やっぱり違う? 男と女の行動経済学
今回は、損失回避傾向(損をするのが嫌な人)、近視眼的行動(目先のことだけにとらわれている人)、横並び行動(人の意見に流されやすい人)にフォーカスして、男女の経済行動を比較してみました。その違いがどう投資活動に影響しているのか? ご覧ください。
損失回避傾向(損をするのが嫌な人)について
Q1.「10 万円を投資すると、半々の確率で 2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生するとします。あなたなら、どうしますか?」
→ 期待収益率+5%(10 万円投資した場合、半々の確率で 2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損)の投資に対して、約8割の人は「投資しない」と回答しています。
損失回避傾向は総じて高く、「投資しない」と回答した女性は87.5%と、特に女性の方が強いという結果に。さらに「投資しない」と回答した損失回避傾向が強い人たちの投資行動データを見ると、株、投資信託、外貨預金などへの投資を控える人が多く、元本保証を好む傾向にありました。
近視眼的行動(目先のことだけにとらわれている人)について
Q2.「お金を必ずもらえるとの前提で、①今10万円をもらう、②1年後に11万円をもらう、 という2つの選択があれば①を選ぶ」
→ 近視眼的行動バイアスがある、つまり「1年後に11万円をもらう」より「今10万円をもらう」と回答した男性は50.1%と、男性で強いという結果に。さらに年齢別データを見ると、高齢層ほどこの傾向が強いことも分かりました。また、近視眼的行動バイアスが強い人の投資行動データを見ると、早めに利益を得たいと株取引回数も頻繁である傾向も明らかになっています。
横並び行動(人の意見に流されやすい人)について
Q3.「類似する商品が複数あるとき、自分が〔良い〕 と思ったものよりも、〔これが一番売れています〕とすすめられたものを買うことが多い」
→ 横並び行動バイアスがある、つまり「自分が〔良い〕と思ったもの」より、「〔これが一番売れています〕とすすめられたものを買うことが多い」と回答した人のうち、女性が16.4%、年齢別では18-29歳が一番高く(19.2%)、女性や若年層で強いという結果に。有名人の発言や、他人の意見に賛同しやすく、口コミやランキング上位の銘柄を選ぶなどといった投資行動の結果、思わぬ損をする可能性がありそうです。
上記の行動バイアスが強い人の投資行動と借金傾向
それぞれの傾向・行動バイアスが強い人の投資行動を見ると「株式に投資している人の割合」は「損失回避傾向が強い人」が最も低く24.0%。
家計管理意識を見ると、「お金を借りすぎていると感じている人の割合」は「近視眼的行動傾向が強い人」は15.6%、「横並び行動の強い人」は18.2%とそれぞれ高くなっています。
→損失回避傾向が強い人は、1円でも損をしたくないあまり「減るのが怖い。預金しかありえない!」となってしまいます。リスクを分散させていく資産運用として、時間を味方につけて資産を増やすことを考えてみてはいかがでしょうか?
また、横並び傾向の強い人は、つい、お金がないのに友達にあわせてしまうことも。投資傾向としては人気の銘柄を選ぶなどの行動があるようですが、人気がある=高値をつかむ可能性もあります。「人気」は参考程度で、自分でみて考え、判断する習慣を身につけましょう。
データ元:金融広報中央委員会「 金融リテラシー調査2016年調査結果」
(図表61)損失回避傾向、(図表62)近視眼的行動・横並び行動、(図表63)行動バイアスの性別・年齢層別分析、(図表64)行動バイアスが強い人の特徴より。調査実施期間 :2016年2月29日~3月17日
調査対象 :全国の18~79歳の個人25,000人 調査方法 :インターネット・モニター調査。
リアルな金融統計データをもとに、元日銀マンが分析。投資のステップアップに、お役立てください。
◎データ監修
鈴木 卓実(たくみ総合研究所 代表)
2003年、慶應義塾大学総合政策学部卒業。日本銀行にて、産業調査、金融機関モニタリング、統計作成等に従事。2018年、たくみ総合研究所を設立。エコノミスト、睡眠健康指導士として、経済や健康に関する個人指導やセミナー等を通じて情報を発信。
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