東北楽天ゴールデンイーグルス
茂木 栄五郎(もぎ・えいごろう)内野手 24歳

 楽天生命パーク宮城で現在、外野応援席の楽天イーグルスファンからひと際大きな声援を受けるのが、プロ3年目の茂木栄五郎選手。楽天イーグルス入団前は、東京六大学野球の強豪・早稲田大学の中軸打者として首位打者に輝き、大学日本代表にも選出されるなど、まさに大学野球のスターでした。学生時代は豪快なバットスイングと長打の印象が強かった茂木選手ですが、プロ入り後は、守備にも注目が集まっています。

 野球で複数のポジションを守ることができる選手のことを、ユーティリティプレイヤーと言います。茂木選手は、内野のサード(三塁)、そして現在の正ポジションであるショートを守ることができるユーティリティプレイヤーであり、チームにとっても貴重な存在です。キラキラと目を輝かせ、小さなイーグルスファンたちの憧れの存在である茂木選手。
 

ーー プロ野球選手になってからの生活や、憧れの選手について、そしてお金についても、ファンドアナリストの篠田がお聞きしました ーー 

取材:2018年4月25日 仙台の東北楽天ゴールデンイーグルス応接室にて対談

2018年シーズンが始まり約1カ月(※取材日4月25日)経過して

篠田:2018年シーズンが始まって約1カ月(※取材日4月25日)が経過しましたが、ここまでのご自身の調子をどのように分析されていますか?

茂木:そうですね…たくさん応援していただいているのに、ファンの皆さんの期待に応えることができなくて、ただただ申し訳ないです。自分自身としてはキャンプも含め、しっかり準備もしてきたのですが、なかなか結果がついて来ないのがもどかしいです。今は、練習とか自分のできることをひたすら続けて、1つでも多く勝つ。それしかないと思っています。

ナイター試合の練習前に取材。この後に試合を控え、やや緊張した表情の茂木選手

篠田:茂木選手は今年、楽天イーグルスに入団して3年目のシーズンを迎えられています。プロ入り=社会人になられると同時に生活の場が東京から仙台に移りましたが、仙台での生活はいかがですか?

茂木:入団後の2年間は寮で暮らすので、やっぱり最初は生活環境が変わることに少し不安を感じていましたね。周りに友達もいませんし。でも、学生時代の友人たちとはお互いに連絡を取り合って励まし合って。自分が試合で活躍すると連絡をくれて、そういうのは励まされましたし、うれしかったです。あと、仙台の皆さんはもちろん、球場で受けるファンの方々からの熱い声援には、本当に力づけられました。3年目ということを特段意識するわけではないですが、1年1年、プロとして、社会人としての生活には慣れてきたと思います。最近は、遠征で関東に行くと学生時代の友人と食事に行ったり。そんな余裕も少しずつ出てきました。

 

茂木選手の憧れの選手は?

 

篠田:ファンの熱い声援というと、本拠地の「楽天生命パーク宮城」では、茂木選手に大きな声援を送る子どもの姿も目立ちますね。

 

茂木:子どもたちの声援は励みになります。ここ(楽天生命パーク)は観覧車やメリーゴーランドなどのアトラクションもありますし、家族連れで楽しんでもらえたらうれしいです。

篠田:そんなこどもたちから大人気の茂木選手ご自身が、こどものころから憧れていた選手は誰でしたか?

茂木:(現埼玉西武ライオンズの)松井稼頭央(まつい・かずお)さんです。実家が西武ドームに近かったので、よく観戦に行きました。その時、稼頭央さんのプレーを見て「かっこいい!」と思って、プロ野球選手に憧れました。高校大学時代は、稼頭央さんに少しでも近づきたいと思いながら、プロを目指してプレーをしていました。

 

篠田:松井稼頭央さんですか! 勝手ながら、ホームランバッターのお名前が出てくるかと思っていました。 
 

 

茂木:いや、実は子どもの頃はホームランには興味がなかったんですよ。バッティング、特に長打を意識するようになったのは大学に入ってからで。稼頭央さんはショートでスイッチヒッターで、カッコイイと憧れていました。まさかプロになって2年間(※2011から2017年シーズンまで楽天イーグルスに在籍)も、その憧れの人と一緒にプレーができるなんて思いもよらなかったです(笑)

篠田:確かにそうですね! 松井選手には「憧れの人です」と告白したのですか(笑)?

茂木:言えなかったですね。でも、稼頭央さんと野球の話をしていると、いちファンに戻って聞いてたり(笑)。間近で稼頭央さんを見て感じたことは、周囲の人に対する影響力がすごいということ。僕も影響力を持つ選手になりたいと思っています。

茂木選手にとって「お金」とは何ですか?

篠田:さて、アマチュアとプロの大きな違いの1つが評価の対価、お金だと思います。ズバリお聞きしますが、茂木選手にとって「お金」とは何ですか。プロになってお金との付き合い方は変わりましたか?

プロになったからといって、お金の使い方に大きな変化はなかったと語る茂木選手

茂木:そうですね…。お金はとても大切なものだと思います。ただ、僕は物欲がほとんどないんですよ。だから、学生時代も今もあまりお金を意識したことはないですね。まとまったお金は、仙台での生活に必要な車や家具、日用品を買うために使ったくらい…。ただ、入団して3年目になって、後輩を連れて食事に行く機会も増えたので、そこではケチらずに使います。食事は野球選手にとって重要ですから。今でも先輩が僕を食事に誘ってくださる。それと同じことを自分の後輩にしています。

篠田:仙台は食事もおいしいですよね?

茂木:やっぱり牛タンは本当においしいです…(笑)。初めて食べた時、さすが本場の味は違うと思いました。学生時代の友人が仙台に来ると、牛タン店へ連れて行きます。

篠田:先輩や後輩と食事をする機会は多いのですか?

茂木:先輩によく誘っていただいています。一緒に食事をすると、話題が野球から私生活まで広がるので、先輩の意外な一面を知ることもあったり、大切な時間だと思いますね。今は後輩ができたので、自分も誘うようにしています。先輩にしていただいたことを後輩にしていくというのがこの世界なので。

篠田:なるほど、それは貴重な時間ですし、有効なお金の使い方ですね。

 

茂木選手が「勝負で勝つ」ために大切にしていることは?

篠田:では最後に、「投資で勝つ」ことが好きな「トウシル」読者のために、茂木選手が「勝負で勝つ」ために大切にしていることを教えてください。

 

茂木:そうですね…「準備をしっかりする」かな。大学の先輩から学びました。大学では、高校と違って、先輩方が集めたデータ実際のプレーに役立てていました。それまで「なんとなく」感覚でできていたことも、厳しい世界になればなるほど通用しなくなります。なので、プロになった今も、まずは練習やミーティングでデータを頭に入れるようにしています。そういったことも準備の1つだと思いますし、グラウンド外の食事や睡眠なんかも全て勝つための準備ですよね。準備をしっかりして、ベストコンディションを保つようにしています。


篠田:ありがとうございます。現在のご活躍ぶりは、グラウンド外、球場外の努力があってこそのものなのですね。茂木選手に憧れている子どもたちもきっと、目立たないところで努力することの大切さを理解してくれると思います。
個人的には、「恐怖の一番バッター」として、茂木選手の豪快な長打にも期待しています!本日はありがとうございました。

色紙とともに微笑む茂木選手。取材中たえず礼儀正しく好青年で、たくさんの野球少年ファンがいる理由がわかった気がしました
(おまけ)サインを書く際に、手のひらに「ほくろ」を発見! まんなかにあるのは「福つかみ」といって、財産や地位を手に入れるラッキーな相なのだとか。勝利もつかむ手となりますように…

★選手プロフィール
5、茂木栄五郎選手 内野手
1994年2月14日生まれ 24歳 東京都出身 171cm/75kg/O型 右投左打
桐蔭学園高~早稲田大~16年楽手イーグルスD3(社会人ドラフト3位指名)
怪我からも順調に回復。チーム不動のリードオフマン

 

◎今回の聞き手

 

楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田 尚子
プロ・アマ問わず、実は大の野球好き。遠征試合、キャンプ、さらにメジャーリーグ観戦にも足を運ぶ現場主義だが、最近セイバーメトリクスにも手を出し始めた。好きなポジションはキャッチャー。日課はCSの「プロ野球ニュース」を見ること。ビールは絶対に売り子さんから買う派。両手に持つのは一緒に応援した楽天証券のキャラクター「かぶ助くん&ラディ子ちゃん」。 

 


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