(1)外国人投資家は、2018年は日本株を大幅に売り越し
2018年の日経平均は、2-3月に急落しましたが、4-5月は順調に反発が続いています。
日経平均日足:2018年1月4日-5月15日
世界的な株安や円高が続く不安から、2-3月の日経平均は急落しました。ところが、4月以降、その不安が薄れてきたため、日経平均は順調に反発しています。
需給面(誰が売って、誰が買っているか)に注目すると、もっとシンプルな説明もできます。2-3月は、外国人が大量に売ったために、日経平均は急落しました。4-5月は、外国人が買い越しに転じたため、日経平均は反発しています。
外国人投資家の日本株(現物)および日経平均先物の売り越し額:2018年1月4日-5月2日
(2)外国人が買えば上がり、売れば下がる日本株
外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
以下のグラフを見れば明らかですが、外国人の売買に立ち向かう国内投資家は、短期的にはすべて失敗しています。2018年2-3月は、国内投資家がいくら買っても、外国人の強引な売りの前になすすべもなく、日経平均は急落しています。ところが、4月以降、外国人が買い始めると、日経平均はするすると上昇を始めています。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2016年1月4日-2018年5月15日(外国人売買動向は5月2日まで)
(3)外国人の買いは続いているが、やや勢いが低下している
短期的な相場動向を当てるには、外国人の売買動向をしっかり見ている必要があります。なかでも、動きの速いヘッジファンドの先物売買をしっかり見る必要があります。
私がファンドマネージャー時代に、日経平均先物のトレーディングをする上で、重視していた需給指標に、「裁定買い残」があります。詳しい説明は割愛しますが、裁定買い残の変化に、外国人による投機的な先物買いの変化が表れます。
外国人が先物を買うと、日経平均が上昇し、裁定買い残が増加します。外国人が先物を売ると、日経平均が下落し、裁定買い残が減少します。
近年の日経平均および裁定買い残は、以下のように推移しています。
日経平均と裁定買い残高の推移:2007年1月4日-2018年5月15日(裁定買い残は5月2日まで)
裁定買い残は、アベノミクス開始後の2013-15年は3.5-4兆円まで増加すると、減少に転じていました。日経平均は、裁定買い残が増加している間、つまり外国人が先物を買っている間は上昇します。ところが、裁定残が減少に転じる、つまり外国人が先物売りに転じると、下落に転じます。
2013-15年は、裁定買い残が、3.5-4兆円まで増加したところで、日経平均先物を売れば、タイミングよく日経平均が下げに転じ、利益を得られる可能性が高かったと言えます。
2018年1月に入ってすぐ裁定買い残は約3兆5,000億円まで増えましたが、その後、減少に転じています。外国人の先物売買が売り越しに転じたからです。裁定買い残は3月12日には約1兆5,000億円まで減りましたが、そこから増加に転じています。5月2日時点では、2兆1,724億円となりました。日経平均は、裁定買い残高が増加しているときに上昇し、裁定買い残高が減少しているときに下落しています。
裁定買い残高がいくらまで膨らんだら、日経平均が天井をつけるか、いくらまで減ったら日経平均が大底をつけるかは、その時々によって変わります。過去には、裁定買い残高が6兆円まで膨らんだこともあります。裁定買い残高だけで相場の転換点を知ることはできません。裁定買い残高と、マーケットに出ている外国人の動きに関するさまざまな情報を合わせて、判断していく必要があります。
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