3度トライして超えられない2万3,000円「売りの壁」

 先週の日経平均株価は、12日(火)に一時2万2,994円まで上昇しましたが、そこから売りが増えて反落しました。15日(金)は2万2,553円まで下がりました。

日経平均日足:2017年8月1日~12月15日

注:楽天証券マーケットスピードより作成

 11月9日、12月1日に続いて、2万3,000円「売りの壁」への3度目のトライでしたが、3度とも、2万3,000円が近づくと売りが増えて、打ち返されました。偶然ですが、12月1日も12日も、2万2,994円まで上昇してから、売られました。

 2万3,000円が近づくと売りが増え、2万2,000円が近づくと買いが増える展開は変わりません。結果的に、11~12月の日経平均は、2万2,000~2万3,000円のボックス圏で推移しています。

 

米利上げ後にドル安が進んだことが、日経平均反落の要因に

 13日のFOMC(米連邦公開市場委員会:米国の金融政策決定会合)で、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は、0.25%の利上げ(FF金利の誘導水準を1.00~1.25%から1.25~1.50%へ引き上げ)を実施しました。利上げは、事前にほぼ確実視されていて、サプライズはありませんでしたが、13日のニューヨーク市場からドル安(円高)が進みました。

ドル円為替レート:2017年8月1日~12月15日 

注:楽天証券マーケットスピードより作成

 利上げを事前に織り込んで、ドル高(円安)が進んでいましたので、利上げの発表で材料出尽くしとなって、円高に反転したとも言えます。

 ただ、円高反転には、もう1つ理由があります。米国のインフレ率の伸び悩みが明らかになったことです。13日に発表された、11月の米CPI(消費者物価指数)で、注目されている、コア指数(エネルギー・食品除くベース)は前年比+1.7%でした。10月(前年比+1.8%)よりも伸びが鈍化し、FRBがターゲットと考えている2%インフレに届いていません。

 インフレ率だけを見ると、利上げを続けていくことを正当化できない状態です。

米CPI(エネルギー・食品を除くコア指数)前年比推移:2011年1月~2017年11月

出所:米労働省

 

NYダウは、インフレ率の伸び悩みを好感

 一方、NYダウは利上げ後も史上最高値を更新。インフレ率鈍化が好感されています。利上げによって米金利の上昇ピッチが速くなると、米国株に売り圧力が働きます。ところが今回、利上げは続くが、利上げピッチは「ゆっくり」と考えられることが、米国株上昇にはプラスになったわけです。

 米景気は、「ほどほどに温かい」が、急な金利上昇を招くほど「熱くはなく」、米国株にとって、都合の良い状態と考えられます。

 大型減税が実現する見通しとなったことも、米国株に追い風となっています。

NYダウ日足:2017年8月1日~12月15日

注:楽天証券マーケットスピードより作成

 

11~12月は外国人の売り越しが続いている

 日本株を動かしているのは、外国人投資家です。常に、外国人の売買動向を、ウォッチしている必要があります。先々週(12月4日~8日)まで、外国人の売り越しが続いています。ただし、珍しいことに外国人が売っている割には、日経平均は下がらず、11~12月はボックス圏で推移しています。

外国人投資家による株式現物・先物売買動向、および日経平均の変動幅:2017年9月4日~12月15日

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成
注:上の表の外国人売買で、プラスは買い越し、▲は売り越しを示す。先物売買は、日経平均先物のみ集計

 今後の外国人の売買動向がどう変化するか、しっかり見ていく必要があります。

 

日本株に先高感が続く

 日本の景気・企業業績が好調なこと、日本株がPER(株価収益率)、配当利回りから見て割安であること、NYダウの最高値更新が続いていることから、いずれ、日本株は外国人に買い戻されて、高値を更新していくと予想しています。

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