米国の中央銀行であるFRBが0.25%利上げを実施

 13日(日本時間では14日午前4時)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。FRB(米連邦準備制度理事会)は、0.25%の利上げを実施しました。具体的には、1.00~1.25%であったFF金利の誘導水準を、1.25~1.50%に引き上げました。今年3月、6月に続き、3回目の利上げとなりました。

米政策金利(FF金利)の推移:2000年12月~2017年12月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所

 0.25%の利上げ実施を、市場はほぼ確実視していましたので、サプライズ(驚き)はまったくありません。

 今回発表されたFOMCメンバーによる先行きのFF金利予測(中央値)によると、2018年末のFF金利誘導水準は、2.00~2.25%(中心は2.125%)でした。来年さらに0.25%の利上げが3回見込まれていることになります。これは、9月のFOMCのときに発表された予想と同じです。ここでも、サプライズはありませんでした。

 

米インフレ鈍化で、ドル安(円高)に

 利上げ実施についてはサプライズがありませんでしたが、13日のニューヨーク市場で為替は、ドル安(円高)に反転しました。ドル円は、日本時間で14日午前6時現在、1ドル112.49円をつけています。前日のニューヨーク終値(113.54円)から、約1円、円高が進んでいます。

 13日(日本時間では12日22時30分、利上げ発表の5時間30分前)に発表された11月の米CPI(消費者物価指数)で、インフレ率の鈍化の確認が影響。注目されている、エネルギー・食品除くコア指数は前年比+1.7%。10月は前年比+1.8%のため、伸びが鈍化。

米インフレ率(CPI・前年比)推移:2011年1月~2017年11月

出所:米労働省

 上のグラフをご覧いただくとわかる通り、CPI(エネルギー・食品を除くコア指数)の伸び(赤い線で表示)は、前年比で2%を下回っています。FRBが目指している2%インフレを下回った状態です。インフレ率だけを見ると、利上げを続けていくことが正当化できない状態です。

 ちなみに、CPI(エネルギー・食品を含む総合指数)の伸び(青い線で表示)は、前年比で2.2%伸びています。ただし、総合指数は、エネルギー価格変動の影響を受けて、短期的に大きく変動するので、中期的なインフレ動向を示すとは考えられていません。米FRBは、コア指数の伸びを、注視しています。

 利上げを続けていることで、米1年金利は上昇が続いていますが、インフレ率鈍化を受けて、米10年金利は伸び悩んでいます。

米10年金利と1年金利の推移:2012年1月~2017年12月(13日まで)

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所

 

FOMC声明文「来年もゆっくり利上げ」。NYダウは最高値更新

 FOMC声明文では、「労働市場は引き続き力強さを増し、米景気は底堅いペースで成長した」と、9月時点と同じ評価を据え置きました。ただし、インフレ率が鈍化していることを指摘した上で、来年もゆるやかな利上げを続けることを示唆しました。

 まとめると、「米景気は好調だが、インフレ率は伸び悩んでいるので、利上げはゆっくり」というメッセージでした。「米景気は温かいが、熱すぎない」という、米国株に都合のいい状態が今しばらく続くと、解釈されます。

 13日のNYダウは、前日比80ドル高の2万4,585ドルとなり、終値で4日連続、史上最高値を更新しました。

米国株について、「米景気が強すぎて金利が上昇してブル(強気)相場が終わる」懸念も出ていましたが、13日はインフレ鈍化が安心材料となりました。

 

日経平均は今しばらく、2万3,000円前後で足踏みか

 米利上げという重大イベントを無事通過したことで安心感が広がると考えられます。ただし、円高に反転したことは、警戒材料となります。日経平均株価は、今しばらく2万3,000円前後で足踏みと見ています。

 ただし、日本の景気・企業業績が好調であることを評価し、いずれ、日経平均も高値をとっていくとの見方は変わりません。

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