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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日米ともハト派サプライズで株高。2024年に警戒が必要な3つのリスク

日銀からマイナス金利解除の示唆なし、FRBも想定以上にハト派で日米株高

 先週(営業日12月18~22日)の日経平均株価は、1週間で約198円上昇して3万3,169円となりました。19日に発表された日銀金融政策決定会合の結果で、先行きマイナス金利解除を視野に入れた示唆がなく、円高が進むことがなく安堵(あんど)が広がりました。

 これを受けて日経平均は20日に一時3万3,824円まで上昇してバブル後の戻り高値を更新しました。ただし、その後、利益確定に押されて、22日は3万3,169円での引けとなりました。

米ナスダック総合指数と日経平均の動き:2019年末~2023年12月22日

出所:2019年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 先週の米ナスダック(ナスダック総合指数)は、米景気ソフトランディング期待と、AI(人工知能)革命への期待(生成AIによって世界中のビジネスに変革が起こる期待)から、1週間で1.2%上昇し、戻り高値を更新しました。

 ナスダックは2021年末より2年以上にわたり、米景気ハードランディング不安と、ソフトランディング期待のはざまで乱高下してきましたが、12月はソフトランディング期待が高まったまま締めくくることになりそうです。

 12月13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)が想定以上にハト派であったことから、12月は米長期金利が4%割れまで低下し、ソフトランディング期待が高まりました。

想定以上にハト派だった12月の日米金融政策

出所:楽天証券経済研究所が作成

米長短金利(10年金利とFF金利)の動き:2021年末~2023年12月22日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

米国の景況は日本より低いがリセッションとはならない?

 以下の通り、日本の方が米国よりも景況が良好な状態が続いています。それでも、市場コンセンサスとして、米景気はしぶとく堅調で、リセッション(景気後退)入りのリスクは低いと考えられています。つまり、米景気ソフトランディングの可能性が高まったと考えられています。

日銀短観、大企業製造業・非製造業DI:2018年3月~2023年12月

出所:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」2023年12月より楽天証券経済研究所が作成

米ISM景況指数:2018年1月~2023年12月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

2024年に警戒が必要な3つのリスク

 米景気減速で米金利が低下、株式市場に追い風となっています。ただ、米景気ソフトランディングで決まり、とはまだ言えません。2024年に注意したい重大リスクとして、以下3つがあります。

【1】米景気が想定以上に冷え込むリスク

 これまで、米金利をどんどん上げてきたのにもかかわらず、米景気はそこそこ堅調です。それが安心感を呼んでいます。ただし、金利上昇の影響が遅れて深刻になってくる可能性もあります。コロナ補助金でたまった過剰貯蓄が枯渇してくる中、米銀の融資態度は引き締め姿勢となってきていて、その影響が注視されます。

【2】円高リスク

 FRBがややハト派に転じる中、日銀がマイナス金利解除・金利の上昇容認に転じる可能性があったことから、12月に一時円高が急伸しました。ところが、12月19日の日銀金融政策決定会合で、日銀が想定外にハト派だったため、いったん円高圧力は低下しました。

 ただし、これで円高リスクが消えたとは言えません。2024年にFRBが利下げに転じる中、日銀がマイナス金利解除に動けば、2024年にさらなる円高が進むリスクがあります。緩やかな円高ならば、株式市場への影響は限定的ですが、急激な円高になると日経平均が大きく下がる要因となります。

【3】世界各国の政治リスク・地政学リスク

 2024年も世界各国の政治リスク、地政学リスクが株式市場の波乱材料となる可能性が高いと考えます。日本の内閣支持率が危機的水準に低下していること、米国でトランプ前大統領中心に、排他的な自国中心主義復活の可能性があること、中国による海洋進出、台湾海峡・中東・ウクライナの地政学リスクなど、要警戒です。

日本株「押し目買い」方針変わらず

 日本株の投資判断は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場と判断しています。これからも急落急騰をくり返しながら上昇していくと考えられるため、時間分散しながら投資していくのが良いと思います。

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