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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「円高ショック続く?マイナス金利解除ある?日本株どうなる? 」
円高を嫌気して下落していた日経平均は、強い米国株につれて反発
先週(営業日12月11~15日)の日経平均株価は、1週間で約662円上昇して3万2,970円となりました。先々週、日経平均は円高ショックで急落(1週間で1,123円下落)しましたが、先週はNYダウ(ダウ工業株30種平均)が史上最高値を更新したのを受けて日経平均にも買い戻しが入りました。
NYダウと日経平均の動き:2020年末~2023年12月15日
先々週、一時1ドル141.73円をつける急激な円高が進んだショックで、日経平均は急落しました。先週もさらに円高が進み、14日には1時140.95円をつけました。ところが、米国株が強かったために日経平均は反発しました。
NYダウが最高値を更新したのに、二つ理由があります。
【1】8日発表の11月の米雇用統計が強く、米景気がリセッション(景気後退)入りする不安が低下。
【2】13日発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、少なくとも来年利下げ3回の示唆があった。
13日のFOMCでは、3会合連続で利上げはありませんでした。これは事前予想通りでした。ややサプライズだったのは、来年(2024年)末のFF金利予測(FOMCメンバーの予測中央値)を4.5~4.75%(中心4.625%)に引き下げたことです。現在のFF金利よりも0.75%低い水準であり、来年0.25%の利下げが3回あることを示唆した形です。
米景気はそこそこしっかりしているものの、米利上げは終了、来年利下げが進む確度が高まったとの見方が広がりました。これを受けて、米長期(10年)金利は先週、4%を割り込むところまで下がりました。つまり、米景気ソフトランディングの期待が高まり、NYダウは史上最高値を更新しました。
米長短金利(10年金利とFF金利)の動き:2021年末~2023年12月15日
日本の景況は米国より良い。米国景況はわずかに持ち直し
日本の景気・企業業績は好調です。13日発表の日銀短観では、製造業・非製造業ともに景況が改善しました。大企業・非製造業DIは+30と、絶好調といっていいほど高い水準です。リオープン(コロナからの経済再開)・インバウント消費(外国人観光客の消費)回復の恩恵を受けて、観光業・外食・イベント産業が活況です。
日銀短観、大企業製造業・非製造業DI:2018年3月~2023年12月
一方、米国の景況は低調です。ただ、12月に発表された11月の非製造業が持ち直したことで、米景気への不安がやや低下しました。
米ISM景況指数:2018年1月~2023年12月
円高ショックはまだ終わっていない
今週の重要イベントは、18~19日に開催される日銀金融政策決定会合です。19日(火)の昼ごろ、結果が発表される予定です。マイナス金利解除に向けて、なんらかのメッセージが出される可能性もあると考えています。どうなるか発表まで分かりませんが、楽天証券経済研究所では、12月18日にマイナス解除予告があり、1月に実際に解除するという展開を予想しています。
仮に予想通りであった場合、為替市場では、一段の円高(ドル安)が進む可能性があります。1ドル=140円を割り込むような円高になると、円高を嫌気して、一時的に日経平均が大きく下がる可能性もあります。その意味で、円高ショックはまだ終わっていないと考えています。
日本株「押し目買い」方針変わらず
円高が急伸する時、日経平均は売られると考えられます。ただし、それはあくまでも短期的な相場予測です。来年度(2025年3月期)1年間を考えると、楽天証券経済研究所では、米景気ソフトランディングを前提とすると、1ドル=130円でも東証プライムは増益になると予想しています。したがって、円高で売られる時は、日本株は押し目買いの好機になると考えています。
東証プライム上場主要841社の連結純利益、前期比(%):2020年3月期~2025年3月期(楽天証券予想)
日本株の投資判断は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場と判断しています。これからも急落急騰をくり返しながら上昇していくと考えられるため、時間分散しながら投資していくのが良いと思います。
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