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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
米金利上昇ショックで世界株安、日本株「買い場」

米長期金利上昇を受けて日経平均反落

 先週(10月16~20日)の日経平均株価は1週間で1,056円下落して3万1,259円となりました。先々週(10月10~13日)の上昇(+1,321円)を、1週間で打ち消す急落となりました。

 米長期金利の上昇が続いており、19日に一時5%台をつけたことが嫌気され、米国株下落が続き、日本株にも外国人と見られる売りが続きました。先週のナスダック(ナスダック総合指数)は1週間で▲3.2%、NYダウ(ダウ工業株30種平均)は▲1.6%の下落でした。欧州株も下落、ドイツDAX指数は先週、▲2.6%の下落でした。

日経平均週足:2023年1月4日~10月20日

出所:楽天証券MSより楽天証券経済研究所が作成

 日本株のファンダメンタルズ(景気・企業業績)は良好で、日本株は割安、長期投資で「買い場」の判断は変わりません。ただし、上の日経平均週足を見るとわかる通り、テクニカルには二番天井をつけて下落した「弱い形」となっています。短期的には下値波乱が続く可能性があります。

 ただ、日経平均3万1,000円より下は、5月にたてた大陽線(長い陽線)があり、押し目買いが入りやすいゾーンとなっています。日経平均は目先3万1,000円の攻防となりそうですが、3万1,000円前後では少しだけ日経平均インデックスファンドを買ってみて良いと思います。ここが下値となるかまだわからないので、過剰なポジションを持たず、少しずつ時間分散しながら日本株を買い増ししていくのが良いと思います。

ナスダックも弱い形

 日本株のファンダメンタルズは良好と判断していますが、短期的には外国人投資家による米長期金利上昇を警戒したリスクオフの売りが日本株に続く可能性はあります。外国人の投資スタンスに大きな影響を及ぼすのが「ナスダック」と「米長期(10年)金利」なので、その動きをしっかり見ていく必要があります。

米ナスダック総合週足:2023年1月3日~10月20日

出所:楽天証券MSより楽天証券経済研究所が作成

 ナスダックも二番天井で下げるテクニカルに弱い形です。1万3,000ポイント割れでは押し目買いが入る可能性もありますが、日経平均の3万1,000円と比べると、下支えできる確度は低いように見えます。米長期金利上昇が続き、米国株がイールドスプレッドから見て割高と判断されやすいことが影響しています。

米10年・2年金利とFF金利の動き:2023年1月3日~10月20日

出所:QUICKより作成

 詳しい説明は割愛しますが、米長期金利上昇により、米国株はイールドスプレッドで見て、割高になってきています。日本の長期金利も上昇していますが水準が低いので、日本株はイールドスプレッドが開いていて割安と判断されます。

日本と米国のイールドスプレッド(株の益利回りと長期金利のスプレッド):2023年10月13日時点

出所:QUICKより作成

7-9月の企業業績は良好と予想

 日米とも株式市場では、これから本格化する7₋9月決算の発表に注目が移ります。9月の日銀短観DIが好調であったことから、日本の企業業績は良好と予想しています。リオープン(経済再開)・円安・堅調な米景気が、企業業績に追い風となります。

日銀短観、大企業製造業・非製造業DIの推移:2018年3月~2023年9月

出所:日本銀行「短期経済観測」より楽天証券経済研究所が作成

 日本株の投資判断は、いつも述べていることと同じです。日経平均は短期ショック安が続く可能性もありますが、長期的には良い買い場を迎えていると判断しています。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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