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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日本株「買い場」の判断継続。米債務上限問題、解決へ

債務上限問題決着、米国債デフォルトは回避へ

 バイデン米大統領とマッカーシー米下院議長は27日、米政府債務の法定上限を引き上げることで合意しました。5月30日・31日にも米上院・下院で債務上限引き上げの法案が通過する見通しとなりました。デフォルトに陥る恐れのある期限を6月1日から5日に先延ばしされましたが、合意が成立しなければ、6月5日に米国債がデフォルト(債務不履行)になる懸念がありましたが、ぎりぎり回避できる見通しです。

 何度も繰り返されてきた、債務上限引き上げをめぐる米国債デフォルト不安ですが、今回もまた、いつも通りぎりぎりの回避となる見込みです。民主党が共和党の求める予算削減策を受け入れることで、2年間の時限措置として、現行の債務上限を上回る債務残高が認められる見込みです。

 最終的には債務上限を引き上げてデフォルトは回避されると、金融市場はタカをくくっていましたが、それでもデフォルト期限である6月5日が近づくにつれて、米国債を人質にとった米民主党と共和党のきわどい政権争いに不安が高まっていました。

 コロナ禍の2021年は、緊急事態での経済立て直しが優先されたため、両党の対立が表に出にくかったのですが、リオープンが進み経済が過熱し、深刻なインフレが起こっている現在、予算をめぐる両党対立が激化しています。これが、2024年に控える、米大統領選の前哨戦の意味もあります。

日経平均・ナスダックとも今週も戻り高値を更新へ

 合意が成立する前日の26日(金)、ナスダック総合指数は、一時1万3,001ポイントまで上昇して9カ月ぶりの高値を更新しました。債務上限引き上げの合意が成立する見込みとなったことを好感して上昇しました。

 これを受けて、今週の日経平均株価は、5月23日につけた高値3万1,352円を超えて一段高となると予想しています。

日経平均とナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年5月26日

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

外国人の買いが日経平均の上昇をけん引

 東京証券取引所の発表によると、外国人投資家は先々週(5月15~19日)日本株を約1兆3,000億円も買い越ししています(株式現物と日経平均先物・TOPIX先物の合計)。これで、4月以来の買い越し額は約6兆5,000億円に達しました(現物と先物の合計)。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物・TOPIX先物の合計):2022年1月4日~2023年5月26日(外国人売買動向は2023年5月19日まで)

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成

 外国人投資家は現在、米国株よりも相対的にファンダメンタルズの良い日本株を選好していると考えられます。これまで外国人投資家の大半が日本株をアンダーウエート(基準となる組入比率よりも低い組入)としてきたために、日本株の組み入れを引き上げるために積極的に買ってきていると考えられます。

日本の株価・地価・物価・賃金は国際比較で「割安」と判断

 私は「日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えている」といつもお話ししています。短期的に急落・急騰を繰り返す可能性はあるものの、令和の内に日経平均は史上最高値を更新して4万円まで上昇すると予想しています。

 ところが「日本株はバブルだ、いつか来た道だ」と声高に警鐘を鳴らす人もいます。今の日本株は財務内容・収益力・配当利回りから見て割安で、かつて経験したバブルには全く当てはまらないと考えています。

 30年前、日本の株価・地価・物価・賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。今は、その逆です。株価・地価・物価・賃金は、国際的に比較して「割安」になっていると思います。外国人投資家は、日本株が割安と判断して、買っているのだと思います。

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