今日は、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)・iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)について読者の皆さまからよく受ける、以下三つの質問に回答します。
【質問1】新NISAで、何が変わりますか?
【質問2】来年からNISAが拡充されますが、iDeCoは続けて良いですか?
【質問3】NISAで投資するとき、スポット購入と積み立て、どちらがやりやすいですか?
質問1:新NISAで、何が変わりますか?
NISA制度が2024年から、がらりと変わります。2024年から始まる新NISAについて、知っておくべき重要ポイント三つを、解説します。今年までで終わる「現行NISA」との比較で、説明します。まず、以下の比較表をご覧ください。
現行NISA:年間の拠出可能額
新NISA:年間の拠出可能額
【重要ポイント1】毎年、新規に付与される非課税投資枠が360万円と、大幅に拡大します
現行NISAでは、1年間に新規に投資できるのは「つみたてNISA」を選んだ年は40万円、「一般NISA」を選んだ年は120万円でした。どちらか一つを選ぶ必要がありました。
新NISAでは、「つみたて投資枠」(つみたてNISAの後継)の投資枠が120万円に拡大し、「成長投資枠」(一般NISAの後継)の投資枠が240万円に拡大します。両方同時にできるので「つみたて投資枠」「成長投資枠」合わせて、毎年、新規に360万円まで投資できます。
【重要ポイント2】非課税期間が「無期限」となります
現行NISAでは、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年で非課税投資期間が終了します。新NISAは、売却しない限り、非課税投資が永遠に続きます。
【重要ポイント3】生涯投資上限「1,800万円」が創設されます
新NISAの非課税で投資できる上限は1,800万円です。このうち、「成長投資枠」で投資できるのは1,200万円までです。成長投資枠を使わず、「つみたて投資枠」だけで1,800万円を使い切ることもできます。上限に達したら、それ以上は新規の非課税投資枠は付与されません。
新NISAで投資した有価証券を売却すると、その分、投資枠が空きます。上限1,800万円の範囲で、空いた枠は新規に年360万円の範囲で復活します。
「2023年まで続く現行NISAはどうなりますか?」という質問を受けることもあります。新NISAとは別枠で、一般NISAなら始まってから5年間、つみたてNISAなら20年間、売却しない限り、非課税での投資が続けられます。新NISAとは別枠です。
質問2:来年からNISAが拡充されますが、iDeCoは続けて良いですか?
はい、続けた方が良いと思います。iDeCoは、NISAよりも節税メリットが大きいので、iDeCoの加入資格がある方は、「まず余裕資金の範囲でiDeCoに枠いっぱい投資し、さらに余裕資金があればNISAもやる」で良いと思います。iDeCoファースト!
iDeCoには三つの節税メリットがあります。
【1】拠出金が所得控除になります
年末調整、または確定申告によって所得控除を受け、所得税・住民税の納税額を減らすことができます。ただし、課税所得がゼロの場合は、このメリットを受けられません。
【2】運用益が非課税となります
運用期間中に得られる利息・配当金・売却益が、非課税となります。
【3】受け取り時にも節税メリットがあります
一時金で受け取るなら、退職所得控除の対象となります。年金方式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。
NISAでも、運用益は非課税になりますが、NISAでは、拠出金が所得控除になるというメリットはありません。
ただし、iDeCoには、デメリットもあります。原則60歳まで引き出しができないことです。60歳になるよりも早い時期に、住宅購入や子供の教育などで使う予定があるお金なら、iDeCoではなくNISAで運用した方が良いと考えられます。
質問3:NISAで投資するとき、スポット購入と積み立て、どちらがやりやすいですか?
とても良い質問をありがとうございます。「スポット購入」とは、いつ買うか「自分で決める」ことですね。株が下がると思うときは買いを控え、株が上がると思うときは急いで買う、そんな買い方です。株が下がると思うときには、少し売ってみるのもありかもしれません。
一方、つみたてNISAならば原則、毎月一定額をたんたんと買い続けます。いつ買うか考える必要がありません。原則、売ることもありません。
どちらが良いか、答えは質問者さんの心の中にあります。経済の勉強をして株価チャートを見ながら売買タイミングを考えることにワクワクするなら、スポット購入をやってみたら良いと思います。仕事や家庭が忙しく、株を買うタイミングなんか考えたくないという方は、積み立てにすべきです。
もう一つ考えるべきことがあります。あなたが、いいタイミングで売買するセンスがあるかどうかも大切です。いつも高値で買い、安値で売ることを繰り返しているようなら、センスが悪いことを認めて、積み立てに変えた方が良いと思います。
素直過ぎると、トレードには向きません。景気が悪くなって悲観が広がっているとき、株は往々にして安くなっていて長い目で見て「買い場」かもしれません。一方、景気が良くなって楽観が広がっているとき、株は高くなっていて「売り場」かもしれません。でも、素直な人は、みんなが悲観的なときは株を売りたくなり、みんなが楽観的なときは株を買いたくなります。
売買のセンスがあるかないか、やってみないとわからないものです。自信満々の人が失敗ばかりということもあります。どうせダメと思っている人が実はすごく良いセンスを持っていたりします。
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