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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米景気「ほど良い湯加減」?米国・日本ともバリュー株、強い」
米景気堅調、ソフトランディング期待で米・日株上昇
先週(2月27日~3月3日)の日経平均株価は、1週間で474円上昇して2万7,927円となりました。先週は、米景気がサービス業中心に好調であるものの、製造業の景況は低迷しており、「熱すぎず寒すぎず」と判断され、米国株が上昇し、その流れで日本株も上昇しました。
日経平均とナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年3月3日
ナスダック(ナスダック総合指数)は、昨年来、米景気「ソフトランディング期待が高まると上昇、ハードランディング不安が高まると下落」を繰り返してきました。
1月は、米景気が堅調なうちにインフレが収束に向かい、利上げ停止が視野に入るとの期待で、ナスダックは上昇しました。ところが、2月は米インフレの収束が遅く、FRB(米連邦準備制度理事会)による引き締めが長期化する不安から、ナスダックは下落しました。
先週発表になった、2月の米ISM景況指数では、米景気堅調を示すものでした。非製造業は好調ですが、製造業の低迷が続いています。好調ですが過熱感はない「ほど良い湯加減」と解釈されました。
ISM景況指数
「バリュー寄り」NYダウは「グロース寄り」ナスダックより強い
米国の主要株価指数として三つの指数があります。ナスダックとNYダウ(ダウ工業株30種平均)、S&P500(S&P500種指数)です。
ナスダックはGAFAM(グーグル、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)など大型グロース株の比率が高く、「グロース寄り」の株価指数です。NYダウは、銘柄入れ替えが遅れたためオールド企業の比率も高く、「バリュー寄り」の株価指数となっています。S&P500は、その中間です。
日経平均とナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年3月3日
ネット関連株などグロース株は、インフレ・金利上昇に弱いものの、金融株・資源関連株・製造業などバリュー株は、インフレ・金利上昇が追い風となっています。インフレ・金利上昇への懸念が続く中、バリュー寄りのNYダウが、グロース寄りのナスダックを上回るパフォーマンスをあげる展開が続いています。
日本でもバリュー株がグロース株を上回る展開が続く
日本株も米国株と同じで、バリュー株がグロース株を上回る展開が続いています。金融株・資源関連株・製造業などのバリュー株は、インフレ・金利上昇に強く、株価も強い展開が続いています。
日経平均とTOPIXバリュー指数・TOPIXグロース指数の動き比較:2021年末~2023年3月3日
景気回復期待が出ているドイツ・中国株もジリ高
年明けから回復期待が出ているのは米景気だけではありません。欧州景気と中国景気も同様です。ドイツ、中国も日本と同じで、製造業の比率が高いので、景気回復期待が出る中、日経平均と似た動きとなっています。
独DAX指数・日経平均・上海総合指数の動き比較:2021年末~2023年3月3日
欧州景気も、昨年はハードランディングの不安がありましたが、今年に入ってソフトランディングの期待が強まっています。
昨年、天然ガス急騰で深刻なインフレが起こり、スタグフレーション(インフレと不況が同時に起こること)のリスクが意識されましたが、足元、天然ガスが急落すると、ドイツを中心に景気が持ち直す兆しが強まっています。
中国景気も、昨年はハードランディングの不安がありましたが、今年に入ってソフトランディングの期待が強まっています。昨年は、ゼロコロナ政策により、中国景気が急激に悪化するリスクが懸念されていました。ところが、昨年、ゼロコロナ政策を解除してから、急速に景気回復の兆しが強まりつつあります。
日本株の投資判断
日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。
ただし、米利上げが続くことによる短期的なショック安はまだあるかもしれません。時間分散しながら割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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