※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
利回り4.6% NISAで買える手作り「高配当株ファンド」

世界景気に不安がある時の方が、割安な株に投資しやすい

 このコラムで私は毎週、「日本株は割安、長期的に良い買い場と判断しているが、短期的なショック安はまだ終わっていない。時間分散しつつ少しずつ投資していくことが長期的な資産形成に寄与する」と申し上げています。

 世界景気に不安が高まっている今のような時、株式投資をすると、「買ったとたんに株価が下がる」こともあります。短期的な投資リスクは高いと言えます。ただし、そうした不安を織り込んで、株価は既に下がってきているので、長い目で見て「割安なところで投資できた」となる可能性もあります。

 景気は循環します。悪くなった後は良くなり、良くなった後は悪くなります。長期的な資産形成は、短期的な景気に左右されず、景気が良い時も悪い時も淡々と投資を続けていくのが良い結果につながると思います。

 一番シンプルでわかりやすい方法は、毎月一定額(例えば1万円)を、日経平均株価やS&P500種指数(米国を代表する株価指数)に連動するインデックス型ファンド(投資信託)などに積み立て投資していくことです。

 もう一つのやり方として、割安な高配当株のポートフォリオに投資して、景気1サイクル(4~5年)持ち続ける方法もあります。今日は、投資収益(利息配当金や売買益)が非課税になるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座を使って、手づくり「高配当利回り株ファンド」に投資して、4~5年持ち続ける方法をご紹介します。

 私は、日本株は配当利回りや買収価値から見て「割安」と判断しています。これからも短期的な急落・急騰は繰り返すと思いますが、それでも割安な高配当利回り株にじっくり長期投資していくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

NISAとつみたてNISA、どう使い分けるべき?

 最初に、NISAの仕組みについて説明します。NISAには、2014年から始まった従来型「NISA」と、2018年から新たに始まった「つみたてNISA」の2種類があります。1年間にどちらか一つしかできません。NISAをやる年は、つみたてNISAはできません。つみたてNISAをやる年は、NISAはできません。

 2022年はどちらを選びますか? 2022年9月に実施した楽天DIの調査(みなさまへのアンケート調査)によると、2022年にNISAをした方が40.2%、つみたてNISAをした方は34.2%、どちらもしていない方が25.6%です。

 今日このレポートで紹介する高配当利回り株に投資するならば、NISAを選ぶ必要があります。つみたてNISAは、国が定めた条件を満たす投資信託だけにしか投資できないからです。

 NISAとつみたてNISAの主な違いは、非課税となる期間、年間の投資可能額、そして、対象商品の3点です。概要は、以下の通りです。

NISA・つみたてNISA概要

出所:楽天証券経済研究所が作成。

特定口座で保有している株式を、NISA口座に移すことはできない

 NISA口座を使って、非課税で高配当株投資をするためには、まず、NISA口座を開くことから始めなければなりません。NISA口座を開き、NISA口座で買い付けた銘柄だけが、非課税になります。

 NISA口座を開く前に、課税口座(特定口座や一般口座)で買い付けた銘柄を、後からNISA口座に移すことはできません。ご注意ください。

 まだNISA口座を開いていない人は、まずNISA口座を開くことから始める必要があります。

NISA口座で投資可能な高配当株ポートフォリオ

 ご参考までに、NISA口座での1年間の投資枠(120万円)以内で買えるように、大型の高配当株5銘柄で作ったポートフォリオを掲げます。このポートフォリオの平均配当利回りは4.6%です(10月18日時点)。

投資の参考5銘柄で作った高配当株ポートフォリオ

コード 銘柄名 配当
利回り
18日
株価
投資
株数
投資
金額
投資
比率
1605 INPEX 4.1% 1,470.0 100 147,000 12.6%
4502 武田薬品工業 4.7% 3,814.0 100 381,400 32.7%
5020 ENEOS HLDG 4.6% 482.0 200 96,400 8.3%
8002 丸 紅 4.5% 1,320.5 100 132,050 11.3%
8306 三菱UFJ FG 4.7% 681.9 600 409,140 35.1%
  合 計 4.6%     1,165,990 100.0%
出所:株価、投資金額の単位は円。配当利回りは、1株当たり配当金(会社予想)を10月18日株価で割って算出。INPEXは2022年12月期、他は2023年3月期。1株当たり配当金はINPEX60円、武田薬品180円、ENEOS22円、丸紅60円、三菱UFJ32円

 このように自分で高配当利回りファンドをつくって長期投資するのも良いと思います。なお、上記ポートフォリオに含まれる、INPEX、武田薬品、ENEOS、三菱UFJについて解説したレポートは、以下「著者おすすめのバックナンバー」をご参照ください。

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