米景気減速でインフレ懸念が低下
米インフレ・ショック(8%台に高騰)、ウクライナ・ショック(ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー・穀物市況が高騰)を受けて急落していた米国ナスダック総合指数ですが、足元、下げ止まり感が出ています。
米景気の減速が鮮明になってきたことを受けて、インフレがピークアウトする期待が出ていることが好感されています。
米国ナスダック総合指数と日経平均の動き比較:2019年末~2022年7月11日
円安やリオープン(経済再開)への期待で堅調に推移してきた日経平均株価ですが、米国株底打ちへの期待がある一方、米景気減速の不安もあり、引き続き、上下とも大きくは動けない展開が続いています。
米景気の変調が、プラス・マイナス二つの効果を及ぼしています。
【1】プラスの効果
景気減速からインフレがピークアウトし、金融引き締めピッチが緩む期待が少し出ています。
【2】マイナスの効果
景気悪化によって、企業業績も悪化に向かい、米国株が一段安になる不安も出ています。
米景気が「ほど良い減速」なのか「景気失速、景気悪化の前兆」なのか、見極めるまで、日米株とも様子見の動きが続きそうです。
目先の注目材料として、日米ともこれから本格化する4-6月決算発表があります。4-6月の業績モメンタム(勢い)の変化から、ほど良い減速か失速かを探るヒントがあります。
またすでに発表済みの6月の景況感指数も参考になります。米国では製造業・非製造業ともに低下しつつあります。日本では製造業が低下も、非製造業は上昇しています。
日米とも製造業の景況低下
これから発表になる日米の4-6月企業業績の先行指標といえるのが、すでに発表になっている日米の6月の景況指数です。
米国ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2022年6月
製造業・非製造業とも景況が低下していますが、6月時点で、まだ景況の分かれ目である50は下回っていません。ほど良い減速で済むか、50を割り込む悪化になるか、今後の推移を見ていく必要があります。
一方、日本は、製造業の景況が低下していますが、非製造業は回復しています。
日銀短観、大企業製造業・非製造業DI:2018年3月~2022年6月
米国景気の減速を受けて、製造業の景況は低下していますが、リオープンの期待から非製造業は上昇しています。ともに、景況感の分かれ目である0は上回っています。
割安な日本株を時間分散しながら買い増し
日本株の投資方針について、結論は毎回述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期投資で良い買い場を迎えていると判断していますが、短期的なショック安が終わったとはまだ判断できません。割安な日本株を、時間分散しながら買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。
当面の注目は、米景気がここから、「ほど良く減速」するのか、「景気後退」に進むか見極めることです。そのヒントとなる、4-6月期の決算発表に注目です。
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