※「積立投資のテクニック」過去の記事はこちらから。
(1)高値圏から始めても利益が出るってどういうこと?
(2)「最強」はウソ?こんなときは不利になる
いま注目の「投信積立」
近年「投信積立(投資信託の積立投資)デビュー」される方が増えていることは本連載でも度々触れてきましたが、新年を迎え「今年こそは!」と考えている方も多いかもしれません。また、足元で世界の株式市場がやや不安定な動きをみせていることで、積み立ての魅力を再認識したという方もいるでしょう。
積み立てとは、毎月決まった日に、決まった金額で投資信託など価格変動のある金融商品を自動的に買い付けていく投資方法です。積み立ての頻度については、本連載「時間分散投資の正解はどっち?毎日積み立てor毎月積み立て」で解説した通り、毎日でも毎月でも、結果として得られるリターンに大きな違いは期待できません。
では、ここでクイズです。
投信積立、積立日として指定すべき日はある?
答え:(投資信託の場合は)ない
理由は、投資信託の価格が変動する仕組みにあります。投資信託の受益者は、1日に1回公表される「基準価額」で売買を行います。
基準価額とは、投資信託に組み入れられている株式や債券の時価総額を、保有者全体の口数で割ったもので、投資信託の運用の成果が反映されています。
投資信託の場合、「買いたい」と思う人が増加しても、基準価額には素直に反映されません。なぜなら、以下の計算式の通り、需要の増加に伴って、分子の総資産だけでなく、分母の口数も増えるためです。
投資信託は、「マーケットの状況を確認しながら、タイムリーな取引を行いたい」というニーズには必ずしも応えられませんが、基準価額での売買が約束されるというところにメリットがあります。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)など、個人の資産形成を後押しする制度に投資信託が活用されているのには、このように、1日単位でしか価格が動かず、指定した金額単位で買い付けができるという、投資信託ならではの特性が関係しています。
一方、株式やETF(上場投資信託)は、「買いたい」と思う人が増えると株価(取引価格)が上昇し、反対に「売りたい」と思う人が増えると株価が下落します。
市場動向を見ながらタイムリーな取引を行えるという利点がある半面、特定の日に買い注文が集中すると、取引価格が上昇し、この上昇分がコストとして投資家に跳ね返ってしまう可能性があります。(これをマーケットインパクトコストといいます。)取引量の少ない、流動性の低い銘柄を取引する際は、特に注意が必要です。
まとめると、投資信託の場合は基本的に、投資家が直接マーケットインパクトコストを負担することはありません。従って、任意に積立日を設定できる場合でも、あまり神経質になる必要はないでしょう。
また、初めに触れた通り、積み立てる頻度を増やしても、投資成果が劇的に改善されるわけではないため、こちらもやはり気持ちの問題として捉えた方がよいでしょう。より重要なのは、何をいくら積み立てるかと、その組み合わせであるということを忘れないでください。
※楽天証券の場合、積立資金の引き落とし方法によって選択可能な積立日は異なります。詳しくはこちらをご確認ください。
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