※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「PTS取引を使うメリット」
今日は「PTS取引」について解説します。PTS(私設取引システム)を使えば、夜間(17時~23時59分)も取引可能です。東京証券取引所があいている時間帯には、もっとも有利な価格で約定できる場所を自動選択する機能、「SOR有効」が利用できます。
少しでも高く売り、少しでも安く買う機会を逃さないようにしましょう。
楽天証券に口座を保有していれば、どなたでも夜間取引/PTS取引・SOR取引を利用できます。PTSで約定しても通常の売買手数料がかかるだけで追加の手数料はありません。
株式取引ができるのは証券取引所だけではない。PTSでも可能
「PTS」という言葉を聞いたことがありますか?「PTS」は、「Proprietary Trading System」(私設取引システム)の略称です。株式の取引は、東京証券取引所や名古屋証券取引所のような取引所だけでなく、PTSでもできます。
日本で運営されているPTSは、以下の2つだけです。
◆ジャパンネクストPTS(JNX):ジャパンネクスト証券株式会社が運営
◆チャイエックスPTS(Chi-X):チャイエックス・ジャパン株式会社が運営
楽天証券では、上記2つのPTSどちらにも、取引を取り次ぐことができます。取引時間は、以下の通りです。
PTSの取引時間
◆ ジャパンネクスト
デイタイム 8時20分 ~ 16時
夜間取引 17時 ~ 23時59分
◆ チャイエックス
デイタイム 8時20分 ~ 16時
PTSでの信用取引
東京証券取引所が開いている時間帯(9時~11時30分、12時30分~15時)は、株式現物取引だけでなく、信用取引もできます。
ただし、日中の東京証券取引所が開いていない時間帯および夜間(17時~23時59分)は、株式現物取引だけとなり、信用取引はできません。信用取引を行うには、信用取引口座を開設する必要があります。
PTS取引、2つのメリット
PTSで日本株を売買するメリットは、以下の2つです。
【1】東証があいていない時間(朝・昼休み・大引け後・夜間)にも売買が可能。
【2】東証があいている時間帯に、東証よりも安く買い、高く売る機会が得られることがある。
以下、詳しく説明します。
【1】 取引時間が東証よりも長い
東京証券取引所・ジャパンネクスト・チャイエックスの取引時間比較
PTSを使うと、東証が開く前(チャイエックスならば午前8時20分~8時59分)、昼休み(午前11時31分~午後12時29分)、大引け後(午後3時1分~4時)にも、取引を行うことができます。また、夜間(ジャパンネクストで17時~23時59分)にも取引できます。
東証があいていない時間に取引するメリット
- 東証が開く前:前日の欧米株式や為替の動きを見て、東証が開く前に売買を成立させることができます。
- 昼休み:東証があいていない11時30分~12時30分でも売買を成立させることができます。
- 東証の大引け後:15時に決算を発表する企業が多数あります。決算内容を見て売買するのは東証だと翌日になりますが、PTSならば、決算が出た直後の15時-16時に売買できることもあります。
- 夜間取引:東証の大引け後に出たニュースを見て、夜間にも売買を成立させることができます。
東証があいている時間帯に、東証より有利な価格で取引する機会が得られる
PTSでは、東証よりも、呼び値の刻みが細かくなっている銘柄があります。そういう銘柄では、東証がオープンしている間、東証よりも有利な価格で取引できる可能性があります。
たとえば、A社株が、東証では1円刻み、PTSでは0.1円刻みで売買されるとします。そこでA社の板(売買注文の入り方)を見ると、以下のように、売り指値・買い指値が入っていたとします。
A社の板状況
ここで、A社に100株の成行(なりゆき)買い注文(価格を指定せず、すぐに約定させる注文)を出したとします。板状況が変わらなければ、東証だけの取引では101円で買うことになりますが、PTSならば、100.6円で買えます。つまり、PTSの方が、0.4円(約0.4%)安く買うことができます。
ここで、A社に100株の成行売り注文を出すと、東証では100円で売れますが、PTSでは、100.5円で売れます。PTSの方が0.5円(0.5%)高く売ることができます。このように、売買の刻みが細かい場合は、PTSの方が有利な価格で取引できることがあります。
東証およびPTSにリアルタイムでどのように板が入っているか、楽天証券のMARKET SPEEDⅡを使うと、その複合板が一目瞭然で見られるようになっています。詳しくは以下の説明をご参照ください。
>>MARKET SPEEDⅡオンラインヘルプ、個別銘柄(市況・フル板)の見方など
Kai-Xを通じて、売買することも可能
株式の売買は、以上ご説明した通り、東京証券取引所だけでなく、PTSでもできます。
実は、もう1つ、別の売買方法があります。Kai-Xを通じて、売買する方法です。
Kai-Xとは、チャイエックス社が提供しているマッチングシステムのことで、投資家同士の売り注文と買い注文がマッチした場合、東京証券取引所立会外取引(ToSTNet)で取引を成立させます。
東京証券取引所が開いている時間帯(9時~11時30分、12時30分~15時)に、利用できます。
Kai-Xには、機関投資家が多く参加しています。取引所よりも有利な価格で取引できることが多いため、機関投資家が利用するようになりました。
Kai-Xを利用するには、条件があります。国内株式の投資経験が1年以上、もしくは信用口座開設済みの方で、取引ルールを確認の上、同意することが、Kai-Xを利用するための条件です。
詳しくは、以下をご参照ください。
>>Kai-Xとは
東証・チャイエックス(Chi-X)・ジャパンネクスト(JNX)・Kai-X:どこで取引したら有利か?もっとも有利な取引を自動選択するには、「SOR有効」を使う
B社の場中(東証があいている時間)の板が、以下のようになっていたとします。
どこで、売買するのが、もっとも有利でしょう?
表中で、CHXは、Chi-Xをさらに短縮した略称です。
B社の板状況
100株買いたいならば、CHX(チャイエックスPTS)に100株の成行買いを入れれば、板が変わらなければ、もっとも有利な価格(1万7,688円)で買うことができます。
100株売りたいならば、JNX(ジャパンネクストPTS)に、100株の成行売りを入れれば、板が変わらなければ、もっとも有利な価格(1万7,682円)で売ることができます。
株式売買注文を出すとき、どこで売買するか、指定することができます。
(1) 取引市場を「東証」と指定すると、東証で売買されます。
(2) 取引市場を「Chi-X」と指定すると、チャイエックスPTSで売買されます。
(3) 取引市場を「JNX」と指定すると、ジャパンネクストPTSで売買されます。
ただし、めまぐるしく変わる「板」を見ながら、どこで取引したらもっとも有利か、つど判断するのは、至難の業です。こんな時に使うと便利なのが、SOR(スマート・オーダー・ルーティングの略称)です。
取引市場を「東証」とし、「SOR有効」を選択しておけば、東証があいていて東証で株価がついている時間帯は、東証・CHX・JNXのうち、もっとも有利な取引のできる場所をシステムが自動選択して、取引が執行されます。
B社の場合、「SOR有効」で100株成行買いを入れれば、もっとも有利な価格で買えるCHXが自動的に選択されます。「SOR有効」で100株成行売りを入れれば、もっとも有利な価格で売れるJNXが自動的に選択されます。
なお、Kai-Xを利用することに同意している方は、Kai-Xも含めてもっとも有利な売買方法を、システムが自動選択します。
「SOR有効」を利用しても、追加の手数料はかかりません。通常の売買手数料がかかるだけです。
「SOR有効」の注文を出せるのは東証があいている時間だけ
「SOR有効」で注文が出せるのは、東証の取引時間中で、東証で初値がついた後だけです。東証があく前、東証の昼休み、大引け後には、「SOR有効」の注文は出せません。
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