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「老後資金2,000万円不足問題」が若い層の目を投資に向けた

――ようやく日本でも投資を始める人が増えてきました。日本人の投資リテラシーの向上には、YouTubeチャンネルが貢献していると思います。コンテンツを提供している皆さんは、投資家が増えているという手応えを感じていますか。

小林:学生さんからの質問が多くなりました。大学生もそうですが、高校生も増えています。

 高校生からは「今はつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)ができない(年齢条件は20歳以上)ことは分かっています。でもジュニアNISA(年齢条件は0~19歳)を始めてみたいです」とか、19歳の大学生からは「20歳になったらつみたてNISAを始めてみたいです」とか。

 まさに若い人たちに投資の裾野が広がっている感じですね。

もふ:僕のチャンネルは不動産投資を扱っているので、富裕層やサラリーマンの人が中心で、若い人の視聴が増えているという実感はありません。

 ただ、「老後2,000万円不足問題」(老後の30年間で約2,000万円が不足するという金融庁金融審議会の試算)が話題になったことによって、老後の資産を自分で用意しなければいけないという危機感を覚えた人が増えたと思います。

 以前のYouTubeは子どものおもちゃという印象があって、2018年に僕が始めた頃は、仲のいい友だちにYouTubeを始めたと言うと「あはは」と笑われたりしたのですが、最近はその友だちが一緒に写真を撮ってほしいと言う(笑)。

 つまり、いろいろな方がYouTubeに良質なコンテンツを上げて、投資初心者が無料で投資の勉強をする環境が整ってきて、それが評価されて、僕が見直されたのだと思います(笑)。

小林:もふさんにうかがいます。僕は元々ブロガーだったのでよく覚えていますが、以前はGoogleで検索をすると、個人ブログが上位に並びましたが、ある時から個人ブログが上位に上がらなくなりました。YouTubeにもそんな流れが来ると思いますか。

もふ:Googleは今、Webサイトの専門性・権威性・信頼性を重視していますよね。例えば1年半前までだと、Googleでダウ平均を検索するとなぜか僕の動画がトップに出てきました。

 今は違って、Googleは誰が発信しているのかを気にしているようです。YouTubeにも権威性を付けることが大事になってくると思います。

シータ:YouTubeの再生回数を見ると、コロナショックあたりから、つみたてNISA関連のワードで検索して見てくれる人が増えています。暴落は投資のチャンスと感じるのでしょうね。

 それと、「老後2,000万円不足問題」が話題になったあたりからも再生回数が増えました。投資に興味を持つ人は増えましたね。

視聴者にはきちんとした良質なコンテンツを届けたい

――今後はどのようなことにチャレンジしていきたいですか。

もふ:多分YouTuberがみんな持っているジレンマだと思いますが、専門的に振り過ぎると再生回数が伸びない、広く浅くすると伸びる。そのバランスをどうするかで迷っています。

 僕の登録者数は28万人ですが、パイを取りきったので、もうこれ以上は伸びません。ここから40万人、50万人を目指すためには、専門性を薄めて、違うパイを取りにいかなければいけません。

 そうすると、本来自分がやりたかったこととずれてきます。それをどこまで許容できるかです。自分には、「投資で人生を豊かにする人を増やしたい」という目標があるので、再生回数や登録者数を意識せずに、納得のいくきちんとしたコンテンツをつくっていきたいですね。

 その目線から言うと、短時間で要点だけが分かるショート動画と、切り抜きが全盛なので、きちんとした情報を長い時間のコンテンツにより提供する姿勢の人には不利な状況です。ショートに慣れた人にどう伝えていくかに悩んでいるところです。

シータ:僕もジレンマがあって、難しい話、専門的な話になると見てもらえないんです。だからYouTubeは、これから投資を始める人向けの内容になっています。

 僕が今、はまっているのは、あまり公言していないのですが、ブロックチェーンです。分散型ネットワークの中で一定の役割を担うと報酬がもらえる、誰でも自由に参加できる活動です。

 それが最近面白くなっていて、2021年11月はYouTube活動を超える収益を受け取ることができました。

 Web2.0では個人が活躍する環境が与えられましたが、Web3.0では、誰の許可もなく己の力だけで何らかの価値を得ることができる時代になる。これが面白いのですが、YouTubeのコンテンツにはしづらいのです。

 ブロックチェーンというとうさんくさい、仮想通貨は危なっかしい、そういう表面の話だけで終わってしまうことが多いし、YouTubeでは求められていないと思います。

 そこで2022年4月からの投資教育を補足するようなコンテンツを作ろうと思っています。YouTubeでは世の中の役に立つコンテンツを提供していきたいです。

もふ:シータさんに質問ですが、分散型ネットワークの中で一定の役割を担うというのは、マイニング(※)のことですか?

※マイニング……仮想通貨の取引承認に必要となる計算作業に協力して報酬を得ること。

シータ:ビットコインで言えばマイニングです。また別のブロックチェーンでは、銀行のような役割があって、資金を預けた人と借りる人がいて、預けた人は金利収入が受け取れたりします。

小林:コンテンツに関して言うと、お金に関するいろいろな役に立つ情報を発信していきたいです。僕はFPの資格を持っていますが、投資だけでなく、社会保険や税金といった分野のコンテンツも増やしていきたいなと。

 あとはYouTubeを見ていただいた方やSNSのフォロワーさんからの質問にはできる限り答えたいですね。

――今日はありがとうございました。

もふ:ありがとうございました。お二人は、積立投資という王道のスタイルを投資家に伝えています。それは今後100年変わらない手法だと思うし、再現性もあるし、世界経済が復活に連れて株価が上がることは誰でも理解できます。

 僕は一点集中のギャンブラー的なことをやってきているので、投資のスタンスは違いますが、両極端な人が集まって話をできて面白かったです。あと、小林さんがYouTubeで顔出ししているのを初めて見ました(笑)。

小林:(笑)。僕もお二人とお話ができてうれしかったです。いつも孤独に作業をしているので。

シータ:孤独さでは僕も負けていないですよ(笑)。

もふ:ではYouTuber友だちとして、これからも情報交換をさせてください!

小林・シータ:ぜひぜひ。

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