2022年4月、東証市場が再編。混乱はない公算
東京証券取引所は2022年4月4日、現在の5つの市場(東証1部、東証2部、マザーズ、ジャスダック/スタンダード、ジャスダック/グロース)を、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編します。
東証に上場している約3,700社は2021年12月30日までに、取締役会でどの市場に移行するかを決議して申請・開示することが求められています(2022年1月11日、上場各社が所属する市場を東証が公表予定)。
今回の再編の目玉は、上場社数が2,100社と海外の主要市場と比べても多く、全体の6割が集中している「東証1部」の再編と見られます。
主にグローバル企業を後継の「プライム市場」に割り当て、中堅企業を「スタンダード市場」、成長企業を「グロース市場」に分けることで、市場ごとの位置づけを明確にし、投資資金を東京市場全体に呼び込む狙いです。
プライム市場への上場基準は、これまでの東証1部市場よりとくに流動性(株主数、流通株式数、流通株式時価総額、売買代金)について厳格化され、東証1部上場企業のうち約600社が基準をクリアできないとされています。
ただ、再編後も「経過措置」が設けられており、現在東証1部市場に上場している企業は、当面プライム市場への上昇が維持され、達成に向けた計画を開示した上で、基準クリアに向けた取り組みを進めることが可能です。
TOPIX(東証株価指数)についても、現在は東証1部の全銘柄で構成されていますが、これも急に変更されるわけでなく、現在TOPIXに採用されている東証1部上場企業は選択市場にかかわらず継続採用となります。
ただし、流通株式時価総額100億円未満の銘柄については「段階的ウエイト低減銘柄」として、2022年10月末から2025年1月末まで、四半期ごと10段階で構成比率が低減されていきます。
3年後にはTOPIX構成銘柄は「大半がプライム銘柄、少しのスタンダード銘柄、さらに少しのグロース銘柄」という構成になる見込みです。基準を満たせばすべての市場から採用されることが、これまでとの大きな違いです。
大胆な再編でありながら、経過措置が講じられるなどできるだけ投資家と上場企業が混乱しないよう設計されている印象です。
プライム市場とスタンダード市場の注目銘柄
プライム市場基準を充分に満たす東証1部のいわゆる「主力株」については、市場再編の影響を受けにくく銘柄選択の際にもそれを考慮する必要はなさそうです。
他方、東証2部、マザーズ、ジャスダック市場からプライム市場に上場を予定する銘柄は、新たにTOPIX採用銘柄になる可能性が高く、パッシブ運用資金が需給関係を好転させ、株価上昇につながるのではという期待もあります。
2022年注目のプライム銘柄
コード | 銘柄名 | 株価(円) | |||
---|---|---|---|---|---|
4385 | メルカリ | 6,740 | |||
4478 | フリー | 6,580 | |||
6890 | フェローテックホールディングス | 3,735 | |||
1407 | ウエストホールディングス | 6,310 | |||
※株価データは2021年12月8日終値ベース。 |
※メルカリを除き、2021年12月8日時点で会社は意向を表明していませんが、プライム上場可能性が高い企業を掲載しています。
メルカリ(4385・マザーズ)
フリマアプリ国内首位企業。米国事業やスマホ決済も拡大中です。
・1年日足チャート
フリー(4478・マザーズ)
個人や中小企業向けクラウド型会計・人事労務ソフト開発が主力です。
・1年日足チャート
フェローテックホールディングス(6890・ジャスダック)
半導体ウエハや半導体設備向け部品を手掛け、真空シールで世界シェア6割を誇ります。
・1年日足チャート
ウエストホールディングス(1407・ジャスダック)
太陽光発電所の建設、保守などを展開しています。世界的な「脱炭素」は追い風と見られます。
・1年日足チャート
スタンダード市場上場への申請をした企業は、プライム市場上場予定企業に比べ流動性が低く、グローバル投資資金が投資対象としない印象ですが、業界内地位を確立している内需系企業が多く、投資家に人気がある企業も含まれています。
2022年注目のスタンダード銘柄
コード | 銘柄名 | 株価(円) | |||
---|---|---|---|---|---|
9873 | 日本KFCホールディングス | 2,922 | |||
2469 | ヒビノ | 1,550 | |||
2782 | セリア | 3,385 | |||
3396 | フェリシモ | 1,367 | |||
9059 | カンダホールディングス | 1,260 | |||
※株価データは2021年12月8日終値ベース。 |
※すべてスタンダード市場への上場を申請した企業です。
日本KFCホールディングス(9873・東証2部)
「ケンタッキーフライドチキン」を全国展開しています。500円ランチで新規顧客獲得に成功、積極出店を続けています。
・1年日足チャート
ヒビノ(2469・JASDAQ)
ライブ、放送局などの音響・映像サービスを提供しています。コロナ収束によってライブが回復途上です。
・1年日足チャート
セリア(2782・JASDAQ)
100円ショップ業界2位企業で直営主体に全国展開しています。2007年に開始したおしゃれ雑貨ブランド「カラー・ザ・デイズ」が成長をけん引しています。
・1年日足チャート
フェリシモ(3396・東証1部)
月に1度の「定期便通販」で衣料品、住宅用品などの生活関連品を販売しています。巣ごもり消費長期化は追い風となります。
・1年日足チャート
カンダホールディングス(9059・東証2部)
トラック運送を主力とする企業です。医薬・衣料品などの物流の一括受託や流通加工などM&Aも交え拡大中です。
・1年日足チャート
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