※このインタビューは2019/08/06に公開した記事となります。

 会社勤めをしながらIPO(新規公開株)をメインに株式投資を行い、2億円の資産を築き上げたカリスマ投資家、JACKさんインタビュー、中編をお届けします。今回は普段どのように投資に取り組み、どれくらいの利益を上げているのか。また、JACKさんの得意分野の1つである株主優待投資についても聞きました。

得意技、小技を駆使して年間1,000万円をキープ

──株式投資には、短期トレードと中長期トレードなど、投資タイミングが異なる投資法がありますが、JACKさんはどちらをメインにしているのですか?

 どちらがメインかとなると短期トレードですかね。私は会社勤めの身ですから、1日に何回も売買を行うデイトレードはさすがに無理です。しかし、買った翌日に売るとか、1週間後に売るといったことは可能です。一般に「スイングトレード」と呼ばれる手法です。

資産2億円突破の秘訣は、複数の投資手法を使い分けていたこと。何かで痛手を負っても、別の手法でリカバリーが利くのが強み。

──でも、中長期トレードも行うのですか?

 はい、例えばPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低い割安株、あるいは高配当や欲しい優待銘柄を買い、株価が上昇するのを待って売る、といったこともあります。こちらは半年、1年保有することが多いですね。

──スイングトレードと中長期トレード、どちらの割合が多いのですか? 

 中長期トレードの場合は、買ったらしばらくは保有しているだけですよね。それに対してスイングトレードは常に板やチャートを監視し、売買のタイミングを短期間で見定める必要があります。ですから当然、スイングトレードが多めになります。

──それぞれ何銘柄ぐらい保有しているのですか?

 スイングトレードは買ってすぐ売るので「保有」しているわけではありませんが、常に10銘柄くらいは売買しています。中長期のほうは特には決めてはいませんが、やはり10銘柄くらいだと思います。

──ということは常時20銘柄くらい持っているのですか?

 いえ、もっとあります。実は私は優待株もかなり保有しているんです。今、どれくらいだろう、50銘柄くらいですかね。

──ということは毎年50社から優待の景品が届くのですか?

 はい、だからその時期になるとポストはとんでもないことになります(笑)。

──短期トレード、中長期トレード、株主優待狙い・・・・。そうとう幅広いですね。

 それ以外にも、投資初心者の方には耳慣れない言葉かもしれませんが、IPO(Initial Public Offeringの略。未上場企業が、 新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に取得させること)やPO(purchase orderの略。既上場企業が新たに発行する株式<公募株式>や、すでに発行された株式<売出株式>を投資家に取得させること)投資や立会外分売(取引所などの取引時間外に、大株主からの大量の売注文を、多くの投資家に分売すること)なども行います。IPOは当たるとドカンと稼ぐことができるのですが、POや立会外分売でも、タイミングが合えば小銭を稼ぐことができるんです。

──相場がよくなかった昨年もまずまずの成績を残せたのは、ご自身の投資スタイルによるところが大きいとおっしゃいました。つまり、何か一つに頼るのでなく、いろいろやっているから安定した成績を残せるということでしょうか。

 おっしゃる通りです。私は天才でも何でもありませんが、いくつか得意技があるし、小技も使います。それが大きな強みになっているのは事実だと思います。

──ちなみに目標金額のようなものはあるのですか。

 目安としては月50万円から100万円、年間1,000万円はキープしたいなと。ただし、大型のIPOに恵まれたときなど、それを大きく上回ることもあります。

──昨年も1,000万円を超えましたか?

 はい、なんとか。でも、さすがに、景気が非常に揺れた昨年の2018年はぎりぎりでした(笑)。

会社勤めでも短期トレードで成功できる!

──先ほど、会社員なのでデイトレードは無理とおっしゃいました。ただ、スイングトレードでも、相場に張り付いていないとタイミングを見逃しそうです。会社勤めだと厳しくないですか?

 スイングトレードもデイトレード同様、常に板やチャートを監視して、何か動きがあったらすぐ対応しなければなりません。その意味ではたしかに会社に勤めていることはハンディになります。1日中株価の動きを追うなんて無理ですし、好きなときに売ったり買ったりできるわけでもないですから。ただし、今はいろいろと便利になっているので、絶対に無理というわけでもないんです。

──というと?

 1つにはスマホが普及したからです。今はスマホがあれば株価の推移をチェックすることもできるし、買いや売りの注文もできます。そういった意味では昼休みは一番の貴重な時間になりますから、さくっと数分で食事をして後は株式投資に没頭している日も多々あります。

 また、時には、トイレに行くタイミングでさっさとメールチェックと同様に株価のチェックもします。(笑)

──サラリーマン投資家にとってスマホの普及はかなり大きな出来事なんですね。

 それは間違いないでしょう。

──とはいえ、そうしょっちゅうトイレに駆け込むわけにもいかないでしょうし(笑)。結果、買い時や売り時を逃すこともあるのでは?

 それも「指値」を入れておくことで、ある程度は解消できます。つまり、あらかじめ証券会社に「〇〇円以下になったら買い」「〇〇円以上になったら売り」などと指値注文しておくんです。こうしておけば、その値段になったら自動的に約定されますから、買い時、売り時を逃すことはありません。

お堅い企業の会社員で役職付きのJACKさんだが、会社には億超え投資家であることはカミングアウトしていない。部下を飲みに連れて行くときは基本オゴリ(!)だとか。こんな上司が会社にいると頼れそう!

──たしかにそうですね。

 たぶんサラリーマン投資家の方はみんな指値注文を活用していると思いますよ。

──でも、いつ指値を入れるんですか。

 私の場合、朝、出勤する前です。板やチャートを見て、買値や売値を決めるので、当然、毎日行っています。だから、朝はけっこう早いですよ。

──やっぱり稼いでいる人は、人知れず努力をしているものですね。ちなみに帰宅後も投資のために何かしていますか?

 はい、投資している企業のことを調べたり、カンニング先の投資家のブログを読んだり、毎日、どんなに遅くても30分は何かしらやっています。じっくり調べたり実際の投資戦略となるとやはり週末が貴重な時間になります。

──苦とは思わないのですか?

 まったく思いませんね。次はどの銘柄が上がるだろうかとか、稼ぐための裏技はないかとか、そういうことに時間をかけて考えるのが好きなんでしょうね。だからこそ、何十年も続けているんだと思います。

優待株を購入するときは家族分の口座を作っておこう

──JACKさんは優待株も50銘柄ほどお持ちなんですよね。毎朝、指値注文している人にとっても優待株は魅力的ですか?

 株式投資で得られる利益には2種類あります。1つが株式の売買によって得られる「キャピタルゲイン」、もう1つが株式を保有しているだけで得られる「インカムゲイン」で、配当金や株主優待はこれにあたります。キャピタルゲインはその会社の業績や相場によっては大きな利益を狙えますが、その一方、大きく減らすこともあります。

 もちろん、インカムゲインも業績が悪化した場合など、配当や株主優待が縮小、または廃止される可能性があります。とはいえ、基本的には保有しているだけで一定の利益を得られます。これはこれでメリットが大きいんです。

──とはいえ、インカムゲインは年利でせいぜい数パーセントですよね。資産2億円のJACKさんにとっては物足りないのでは?

 いえいえ、とんでもないです。金額はそこそこでも安定した利益を得られるのはありがたいですから。

──ほかに優待株の魅力ってありますか?

 優待株は何だかんだいって人気がありますよね。優待制度がなくならない限り、持ち続けている人が多い。ですから、ある日、突然株価がガクンと下がるといったことが少ないんです。これも魅力の1つだと思います。

──では、優待株を購入するときに注意したいことは?

株主優待も大好きなJACKさん。優待月には宅配便が山積みに。「ただ最近はクオカードや商品券なども増えてきました。中でもクオカードは多いですね、あんまり使えるチャンスはないのに。日本人はクオカード好きなんでしょうか(笑)?」

 株主優待は1株でも保有していればもらえるというものではなく、最低100株以上などと決められています。で、保有株数に応じて、優待の中身がランクアップしていく仕組みになっています。

 ところが、保有株数と中身は比例するわけではないんです。100株保有で3,000円の商品券をもらえるとしたら、200株保有では6,000円分もらえそうですが、そうではない。100株以上499株以下は3,000円の商品券、500株以上で5,000円の商品券といったケースが多いんです。

──なるほど。そうすると400株持っているような人は損した気分になりますね。

 はい。ですから、そういう場合は家族で分けて保有するといいんです。例えば4人家族であれば、自分1人で400株持つのでなく、自分以外に妻にも勧め、親権者として子供各々2人が100株ずつ持てば、家族として3,000円×4で1万2,000円分の商品券がもらえるわけです。

──そうしたほうが絶対おトクですね。

 証券口座は0歳児でも開設できるので、ぜひ試してみるといいと思います。

──では、次回はJACKさんが最も得意とするIPOについて詳しくお伺いします。

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