米国株式、全世界株式、どっちを選ぶ?

 登録者22万人以上を数える、人気投資系YouTubeチャンネル『つみたてシータ』やブログ『つみたてシータ』を運営する、シータさんインタビューの中編をお届けします。インデックス投資を始めるとき、ほとんどの人が悩むのが「米国株式」か「全世界株式」、どちらを選ぶかです。

 今回はそのテーマを中心にインデックスファンドの選び方、さらにはご自身の運用成績についても聞きました。

米国株は本当に最強なのか?

──2019年1月につみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を始めたとのことですが、どんな銘柄に投資しているんですか。

 最初は2つの銘柄に分けていました。「eMAXIS Slim先進国株式」と「eMAXIS Slim新興国株式」です。ただし、その二つをずっと積み立てていたわけではなく、半年後、「eMAXIS Slim米国株式」に、さらに今年9月には「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」に乗り換えました。

──「eMAXIS Slim」シリーズの中で投資先を変えているわけですね。

 一般NISAの頃は「ニッセイ」の外国株ファンドや「iFree」シリーズも持っていましたが、最近は「eMAXIS Slim」シリーズをメインにしています。信託報酬が安いですし。

eMAXISシリーズだけで10本近く動画がある。違いが分からず、なんとなく買っていた人必見!※画像をクリックするとYouTubeにリンクします。

──なぜ乗り換えたのですか。

 何に投資すれば高いリターンが期待できるか考えた結果、「先進国株式」と「新興国株式」を選んだのですが、その後、米国株について調べたところ、その強さに惚れこんでしまいました。それで、やっぱり米国株に集中投資することにしたんです。

──でも、最近、「米国株式」から「全世界株式」に変えたんですよね。

 米国株に見切りをつけたとか、そういうわけではなく、米国株一辺倒になるのはどうかという思いを抱くようになったんです。たしかに米国株は優秀だと思います。

 とくにリーマンショック以降は絶好調で、米国の株式指数であるS&P500の直近10年間の年率リターンは13.5%に及びます。世界の経済成長率は5%程度ですから、驚異的ともいえる伸び率を示しています。

──10年前、S&P500連動のファンドを買っていたらスゴイことになっていたでしょうね。

 1,000万円投資していたら3,500万円になっている計算です。その恩恵にあずかった人もたくさんいるはずです。

──それでもシータさんは「全世界株式」に乗り換えたのはなぜですか?

 それには、きっかけがあるんです。僕が会社を辞めた後、時間的に余裕が生まれ、銘柄研究がしやすくなったので、米国個別株の成長株投資も始めました。昨年はすごく好調だったんです。

 投資金額がしれているので、大もうけしたわけではありませんが、一時は2倍から3倍に増やすことができました。ところが、今年の前半に、成長株が大きく下落する局面があり、その時期にはピークから5割近く資産が減少しました。それで、高いリターンだけでなく、リスクを下げることもやっぱり重要だなと、改めて考えるようになったんです。

──それは個別株だから、という理由ではないのでしょうか?

 もちろんそうです。僕が買った銘柄は暴落しましたが、すべての銘柄が下落したわけではありません。

 ただ、過去を振り返ると、米国の株式指数が低迷していた時期もあります。例えば2000年から2010年の10年間を見ると、リーマンショックをはさんだ時期だけに、年率リターンはマイナスです。

──2000年に1,000万円投資していたら、10年後には1,000万円を割っていたことになりますね。

 はい。直近10年で見ると年率13.5%でも、これからの10年はどう転ぶかわからない。2000年代のようにマイナスになることもありえます。だから、1つの国を過信するのをやめて、どの国が不調になったとしても大ダメージを受けないよう、方向修正をしたんです。

米国経済の未来を信用できるか?

──「米国株式」にするか、「全世界株式」にするか。これってインデックス投資を始めるとき、誰もが迷うことだと思います。

 外国株に投資すると決めている人はそうでしょうね。僕が最初に買っていた「先進国株式」や「新興国株式」を選ぶ手もあると思いますが、やはり王道はその2つでしょう。

──どちらを買うべきかは、専門家でも意見が分かれます。今のお話からすると、シータさんは「全世界株式」派でしょうか?

 僕も少し前までは「米国株式」を買っていましたし、一概に「全世界株式」派とはいえないですね。ただ、投資とか経済とかよく分からないし、勉強する時間もない人は、「全世界株式」を選んだほうが無難だ、ということはいえると思います。

「米国株式」の場合は、米国経済がどうなるかで全てが決まります。この先も成長を続ければ積み立てたお金はどんどん増えていくし、成長が止まったら、増えるどころか減ってしまう可能性もあります。

 だから、ある程度、投資や経済のことが分かっていて、米国経済が成長を続けると確信を持てるなら「米国株式」を選べばいいでしょう。でも、その確信が持てないなら、再考したほうがいいということです。

──「全世界株式」は、投資や経済のことが分からなくても買える商品ということでしょうか?

 もちろん、知っているに越したことはありません。でも、「全世界株式」は、特定の国や地域の動向で価格が決まるわけではありません。

 どこかの国の経済が破綻しても、世界経済全体が発展していれば価格は上昇していきます。そして、長期的には世界経済は発展し続けると考えられています。そのため、今、世界経済がどうなっているとか、どの国が成長しそうとか、そういうことを必死で勉強しなくても、差し当たって問題はないんです。

──シータさんは投資にも経済にも詳しいと思いますが、それでも米国経済の未来に確信を持てませんか?

人気動画の1つ「全世界株式は何年以上運用するのがいい?」では、少なくとも10~15年以上ホールドすることをお勧めしている。シータさんが勧めるのは「早く始めて長く持つ」こと。※画像をクリックするとYouTubeにリンクします。

 はい。正直、自分なんかが未来を当てられるとは全く思えません(笑)。なので、どう転んでもいいように「全世界株式」に乗り換えることにしました。

──ちなみに「全世界株式」の「全世界」には米国も入っているんですよね?

 もちろんです。その割合はかなり高くて、6割近くに及びます。

──ということは「全世界株式」を選んだ場合でも、米国の経済成長の恩恵を受けられるわけですね。

 その通りです。「米国株式」に投資した場合ほどではありませんが、ちゃんと恩恵を受けられます。それを踏まえても「全世界株式」に投資するのは、悪い選択ではないと僕は思います。

つみたてNISAを始めて3年で50万円オーバー

──2019年1月につみたてNISAを始めたということは、もうすぐ3年になるんですよね。つみたてNISAの投資限度額は40万円ですから、すでにトータル120万円近く積み立てていると思いますが、運用成績はどうですか。

 先日確認して驚いたのですが、166万円に増えていました。積み立て金額は、正確には113万円なので、50万円以上増えた計算です。

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──それってスゴくないですか。

 スゴいでしょう!(笑)。僕は3年の間に2度、銘柄を変えましたが、最も多く積み立てたのは「米国株式」なので、好調な米国経済に後押しされたのだと思いますが、それでもめったにないような数値だと思います。

──その数字を知ったら、投資に興味がない人でもやりたくなるでしょうね。

 ただ、先ほどもいったようにこの3年間絶好調だからといって、これから3年間も同じ状況が続くとは限りません。一転、マイナスになるかもしれません。だから、この数字にはあまりとらわれないでほしいですね。僕自身もたまたま幸運に恵まれたくらいに思っています。

──ちなみに通常だと3年でどれくらい増えるものですか。

「米国株式」など特定の国や地域に投資する場合は、そのときどきで大きく変わるので、一概にはいえません。「全世界株式」の場合も世界経済の動向によりますが、平均的には7~8万円といったところでしょう。世界経済の成長率は平均5%程度ですから。

──それを踏まえると50万円以上増えたというのはすごく好調ですね。

 はい、そう思います。だから、迷っている人がいたらすぐに始めるべきだと僕は思います。

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