※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]利回り4.2%!手作り「好配当利回りファンド」レシピ
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 今日は、日本株で、投資額300万円と120万円の「好配当利回りファンド」の作り方を、解説します。米国で一時有名になった「ダウの犬」戦略を、使います。

「ダウの犬」戦略とは

 米国で有名になったことのある投資手法です。投資方法はきわめてシンプルです。

【1】NYダウ(ダウ工業株30種平均)採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。その10銘柄に等金額投資します。

【2】1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却し、代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買います。

【3】1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。

 これだけです。このシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスを挙げられることが多かったので、「ダウの犬」戦略は有名になりました。

「ダウの犬」を日本株に応用

 この方法は、日本株にも応用可能です。NYダウは米国に上場する時価総額の大きい銘柄30から構成されます。日本で言えば、時価総額上位30社は「コア30」と言われる指数です。

 コア30に入る30銘柄から、配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略をとることができます。11月1日時点では、以下10銘柄がそれに該当します。

東証一部コア30採用銘柄のうち、配当利回り上位10社

NO コード 銘柄名 業種 配当
利回り
株価
:円
11月1日
1株当たり
配当金
:円
1 4502 武田薬品工業 医薬品 5.5% 3,252.0 180
2 8316 三井住友FG 銀行 5.2% 3,825.0 200
3 8411 みずほFG 銀行 4.9% 1,538.5 75
4 8306 三菱UFJ FG 銀行 4.2% 640.1 27
5 8058 三菱商事 商社 3.7% 3,661.0 134
6 9433 KDDI 通信 3.6% 3,510.0 125
7 8766 東京海上HD 保険 3.5% 6,104.0 215
8 9432 日本電信電話 通信 3.4% 3,228.0 110
9 8031 三井物産 商社 3.4% 2,667.5 90
10 7267 本田技研工業 自動車 3.2% 3,479.0 110
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(2022年3月期会社予想)を11月1日株価で割って算出。なお、上記はダウの犬戦略に基づいて機械的に構成したポートフォリオで推奨銘柄ではない

実際にポートフォリオを作ってみる

 それでは、上記銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。10銘柄にほぼ等しい金額ずつ投資することが求められます。

 完全に同じ金額にすることはできませんので、なるべく等金額になるように作ったのが、以下のポートフォリオです。全体の金額は約300万円です。このポートフォリオの平均配当利回りは4.1%です。

東証一部コア30銘柄から作った「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り4.1%)

銘柄名 配当
利回り
株価 投資
株数
投資
金額
投資
比率
武田薬品工業 5.5% 3,252.0 100 325,200 10.7%
三井住友FG 5.2% 3,825.0 100 382,500 12.6%
みずほFG 4.9% 1,538.5 100 153,850 5.1%
三菱UFJ FG 4.2% 640.1 400 256,040 8.4%
三菱商事 3.7% 3,661.0 100 366,100 12.1%
KDDI 3.6% 3,510.0 100 351,000 11.6%
東京海上HD 3.5% 6,104.0 100 610,400 20.1%
日本電信電話 3.4% 3,228.0 100 322,800 10.6%
三井物産 3.4% 2,667.5 100 266,750 8.8%
合計 4.1%     3,034,640 100.0%
出所:楽天証券経済研究所が作成。上記はダウの犬戦略に基づいて機械的に構成したポートフォリオですべてが推奨銘柄ではない

NISAで買える、配当利回り4.2%の120万円ポートフォリオ

 次に、非課税で投資できるNISA(年間の投資枠は120万円)で、投資できるように、投資金額を120万円以下に抑えて作ったのが、以下のポートフォリオです。このポートフォリオの平均配当利回りは4.2%です。

 同じ業種から何銘柄も買うのではなく、なるべくたくさんの業種に分散すべきです。このポートフォリオでは4銘柄で、医薬品・メガ銀行・情報通信・総合商社の4業種に分散しました。

「1つのバスケットにすべての卵を入れるな」という格言があります。リスクを分散させるために、なるべく分散投資した方が良いという意味です。投資可能な資金の範囲で、なるべく多くの銘柄・業種に分散投資するのが良策です。

ダウの犬ポートフォリオから、120万円で買えるように銘柄をしぼった筆者の推奨ポートフォリオ(平均配当利回り4.2%)

銘柄名 配当
利回り
株価 投資
株数
投資
金額
投資
比率
武田薬品工業 5.5% 3,252.0 100 325,200 27.1%
三菱UFJ FG 4.2% 640.1 400 256,040 21.4%
KDDI 3.6% 3,510.0 100 351,000 29.3%
三井物産 3.4% 2,667.5 100 266,750 22.2%
合計 4.2%     1,198,990 100.0%
注:楽天証券経済研究所が作成

 上記はあくまでも1つの例に過ぎません。投資金額や期間を考えて、他にもさまざまな投資の組み合わせが可能です。

 投資信託で「好配当利回りファンド」を選んで買うのも良いですが、まとまったお金があるならば、上記のように自分で手作りファンドを作って買うのも悪くないと思います。NISA口座で上記ポートフォリオに投資して非課税の有効期間(5年)保有するのも良いと思います。

 なお、高配当利回りの投資参考銘柄について、6月15日に日経BPより出版された拙著「NISAで利回り5%を稼ぐ 高配当投資術」でさらに詳しく解説していますので、ご参照ください。
 

 私が25年の日本株ファンドマネジャー時代に得たバリュー(割安株)投資のノウハウを初心者に分かりやすく解説しています。NISAを使って高配当利回り株に長期投資して資産形成を行っていくことを考えている個人投資家にぜひお読みいただきたい内容です。

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