長期投資なら分散投資が大切!日本株式の投資信託はどう選ぶ?
分散投資は、リスクコントロールの観点で重要なのはもちろんのこと、ポートフォリオ全体で安定的に収益を積み重ねていくためにも必要な考え方です。なぜなら、長期投資を実践する上で、どの資産に、どのタイミングでスポットライトが当たるかを予想することは極めて難しいからです。
この観点から、これまで米国株式ファンド(投資信託)中心に保有する方向けに、新興国株式や、金(ゴールド)を使った分散投資の方法について取り上げてきましたが、今回は、足元で盛り上がりを見せる日本株式ファンドについて解説します。
日本株式ファンドの効率がいい探し方
まず、投信スーパーサーチを使って日本株式を主要投資対象とするファンドを絞り込むと(*1)、468本(2021年9月9日時点、以下同)あることが分かります。
*1:「資産タイプ」は「株式」、「投資対象地域」が「日本」
ここから優良なファンドを見つけるというのは気が遠くなる作業のように思えますが、長期投資を前提としているなら、例えば、「10年の年率リターンが10%以上」など、思い切って最初から厳しめの条件を設定してもよいでしょう。
「10年の年率リターンが10%」とはつまり、毎年10%、またはそれ以上のリターンをコンスタントにあげてきたということを意味します(年率リターンについて詳しく知りたい方はこちら)。
過去の実績が必ずしも将来のリターンを約束するわけではありませんが、過去の実績が極めて悪いファンドの成績が急に好転することもまた、まれです。この意味では、やはり、過去の実績を参考にしてファンドを絞り込んでいくのがよいでしょう。
では、早速ですが、ここでクイズです。
10年の年率リターンが10%以上の日本株式ファンドは、全体の約何パーセント?
答え
3:約50%(226本=48.3%)
この226本の内訳を見てみると、日経平均株価、または、TOPIX(東証株価指数)のインデックス連動型ファンドが計40本で、残りの186本は、いわゆるアクティブ型ファンドです。
「日本株式は米国株式と比べて低迷している」を過信しない
「日本株式は米国株式と比べ、長期にわたって低迷している」と、定説のように思い込んでいる方も多いですが、実は、日経平均株価やTOPIXのインデックスファンドでも、年率10%以上のリターンを確保しています。
また、本連載をはじめ、トウシルの数々のコラムで筆者が繰り返しお伝えしてきた通り、米国の株式市場ほど自浄作用が機能していない日本株式は、アクティブ投資が「勝てる」余地が大きく、結果として優良な成績を収めているアクティブファンドが多いのも特徴です。
実は米国株式市場は、時代ごとに成長性の高い企業が時価総額上位に名を連ね、敗者は自動的に退場していくというサイクルができあがっていることから、インデックス=市場平均を上回る「超過収益」をあげることが難しいのです。
日本の株式市場には米国市場ほどのダイナミズムは見られませんが、これは言い換えれば、超過収益を獲得できる余地が大きいということでもあります。
リターンの次は、リスク指標で優良ファンドを絞り込む
さて、226本まで絞り込んだとはいえ、まだ本数が多く、リターンだけでは値動きの大きさであるリスクも考慮されていません。
そこで次に「楽天証券ファンドスコア」や「シャープレシオ」など、リスクを加味した指標も使って絞り込んでいきます。ここでも「10年ファンドスコアが『5』で、かつ、10年シャープレシオが『1』以上」など、思い切って厳しい条件で絞り込んでみることをおすすめします。
ちなみに、先述のクイズと同じ絞り込みを米国株式ファンドで行った場合(*2)、10年の年率リターンが10%以上のファンドは142本中19本、全体の約13%と、日本株式ファンドの足元にも及びませんでした。
*2:「資産タイプ」は「株式」、「投資対象地域」が「北米」
「米国株のインデックスファンドなら間違いない」ってホント?でも解説したように、米国株式ファンドは、日本株式ファンドと比べて歴史が浅いため、単純な比較はできませんが、結果を見る限り「日本株は投資に値しない」と切り捨ててしまうのはいささかもったいない気がします。
現に、足元で国内株式市場が盛り上がりを見せる中、「日本株の投資信託も買っておけばよかった…」と、思った方も多いのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、どのタイミングでどの資産にスポットライトが当たるかを正確に予想することは難しいのです。思わぬタイミングで保有ファンドが力を発揮するのも醍醐味(だいごみ)と捉え、楽しみながらファンド選びや分散投資を実践してみてください。
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