株主優待銘柄情報が満載のYouTubeチャンネル『株主優待と配当大好きわっけ』を運営する、わっけさんインタビューの後編をお届けします。

 今回は3月に権利が確定する優待銘柄の中から、わっけさんが注目する銘柄を挙げていただきました。また、得意とする逆張り投資についても伺いました。

※本文内の銘柄に関する情報は、2021年3月10日時点での内容です。

約7万円の投資で2,500円相当のカタログギフトがもらえる優待銘柄

──中編で、わっけさん注目の優待銘柄を教えていただきましたが、ここからは3月権利確定銘柄に限定してお伺いします。
 3月は1年の中でも権利確定が多い月ですが、気になっている銘柄はありますか。

 KDDI(9433) オリックス(8591)も3月に権利が確定する銘柄です。それ以外だとまずはひろぎんホールディングス(7337)を挙げたいです。

──「ひろぎん」とは広島銀行でしょうか?

 はい、昨年10月に広島銀行など5社を傘下に置く持ち株会社として誕生しました。発足に際して株主優待制度を導入しています。つまり、今年スタートする新設銘柄です。

──メガバンクは株主優待を導入していませんが、地方銀行の中には導入しているところがけっこうありますよね。その中でも注目ですか。

 はい。なぜかというと株価が安いんです。今現在700円弱なので、約7万円で購入できます。

──前回、新たに株主優待を導入して優待品がQUOカードの銘柄は、株主を集める目的を達成したら優待を廃止する可能性がある、と伺いました。ひろぎんホールディングスの優待品は何でしょうか。

 100株保有でも2,500円相当のカタログギフトがもらえます。約7万円の投資で2,500円相当の商品がもらえるわけですから、かなりおトクといっていいでしょう。

──わっけさんも保有されていますか。

 はい、今はどんなカタログギフトが届くか楽しみにしています。

長期保有したい人にピッタリの優待銘柄

──では、2つ目をお願いします。

 染料や合成樹脂など化学品の輸入・販売を手掛ける長瀬産業(8012)です。

 ここも優待品はカタログギフトで、100株だと1,500円相当、1,000株だと3,000円相当のものをもらえますが、保有期間が半年でそれぞれ3,000円、5,000円にグレードアップされます。

 しかも、それで終わりではなく、3年保有するとさらに5,000円、7,000円にグレードアップされるんです。

─2回グレードアップがあるのですね。

 はい。長期保有したい人にはピッタリの銘柄だと思います。

──長期保有するとなると安定性も気になります。そのあたりはいかがでしょうか。

 この会社は、超長寿企業なんです。創業は1832年。ペリーが日本に来航する20年前から事業を営んでいます。だからといって、将来も安泰だとは限りませんが、最近は新事業にも意欲的に取り組んでいますし、個人的にはこれからも期待できる会社だと思います。

──なるほど。他にも注目銘柄はありますか。

 あと2銘柄、ヨシックス(3221)沖縄セルラー電話(9436)を紹介します。

 前者は一律280円の低価格居酒屋「ニパチ」や、鉄板居酒屋「や台や」などを運営する居酒屋チェーンで、100株保有で年間6,000円分、300株保有で年間1万円分のお食事券がもらえます。そのほか、20%オフになる割引券ももらえます。

──100株で年間6,000円分はうれしいです! 食事券の場合は、行ける範囲にお店があるかどうかが重要ですね。

 そうですね、自分が住む地域にあるのかどうか、購入前に確認したほうがいいです。

 ヨシックスは名古屋を拠点としていますが、関東や関西、中国、九州など幅広く出店しているので、あまり心配はいらないと思います。

──そういえば昨年、居酒屋チェーンの株を売却したと伺いました。ヨシックスは新型コロナの影響は小さいのでしょうか?

 同業他社に比べたらかなり健闘していて、株価も戻ってきています。財務内容もいいので、買ってみる価値があると思います。

──もう一つの沖縄セルラーは、けっこう人気の銘柄ですね。

 その名の通り、沖縄県でauショップを展開する企業なのですが、とにかく業績が安定しています。

 少し前に政府が携帯料金の値下げを提言したとき、KDDIを筆頭に通信会社の株価がかなり下落しました。ところが、沖縄セルラーは大きな影響を受けなかったんです。それくらい健全な企業といえます。

──株主優待はいかがですか。

 ここも優待品はカタログギフトで、100株で3,000円相当、1,000株以上で5,000円相当となっています。また、KDDIなどと同様、長期保有するとグレードアップされます。

 ただし、ここは株価が5,000円前後とけっこう高いんです。それが難といえば難かもしれません。

──挙げていただいた銘柄、どれも甲乙つけがたいですね。

 もし資金に余裕があるなら、すべて100株ずつ買ってみるのもいいかもしれません。

落ちるナイフをつかむには胆力がいる

──わっけさんの今後についてお聞かせください。会社を辞めて専業投資家になるとか、YouTubeで食べていくとか、そういう計画はあるのですか。

 今のところはありません。個人投資家としてがっつり稼いでいるわけではないですし、YouTubeの収入も限られます。将来的に変わる可能性はありますが、しばらくは二足のわらじ生活を続けるつもりです。

──今はインカムゲイン(※1)を狙う投資をメインにされていますが、今後、キャピタルゲイン(※2)を狙っていく可能性はありますか。

 実は最初はキャピタルゲイン狙いからスタートし、ある時期から優待銘柄を中心に購入するようになったのですが、今もキャピタルゲイン狙いをやめたわけではないんです。これはという銘柄を見つけたときに、たまに買うことがあります。

※1 インカムゲイン:債券や預貯金から得られる利子や株式から得られる配当のこと。
※2 キャピタルゲイン:株式や債券など有価証券の価格の値上がりによる収益のこと。

──株主優待の30銘柄とは別に、ですか。

 はい。優待の30銘柄は基本的に売るつもりはなく、今後も長く保有し続けると思います。

 金額は決して大きくありませんが、それとは別に売却益を狙った売買も行っています。

──売却益を狙うときは、短期取引がメインですか。

 はい、買って株価が上がったらすぐに売ります。1日2日で売ることもあれば、2、3週間待って売ることもあります。

 もちろん思惑通り株価が上がらないこともありますが、7~8%下がったら売ると決めているので、大損したことはありません。

──最初に買った旭化成は、逆張りで利益を出したと伺いました。今も逆張りが多いのですか。

 そうですね、逆張りのほうが好きなんです。ただし、投資の世界には「落ちるナイフはつかむな」という格言があります。

 株価が下落しているときに買い、うまく上がったら大きな利益を得られますが、そうそううまくいくとは限りません。買った後も回復せず、どんどん下がることも珍しくないので、落ちるナイフをつかむのは危険が大きいという意味です。

──逆張りは難しいのですね。

 はい、それに何というか、胆力がいると思います。

 僕も経験がありますが、「ここが底だ」と思って買っているのに株価が下落し続けると、生きた心地がしません。怖くて保有していられなくなり、最悪のときに売ってしまうこともあるんです。

──確信や自信がある時のみにするべき、ということでしょうか?

 はい、そう思います。

──YouTuberとしての目標を教えてください。

 僕が短期売買を行うのは、YouTubeチャンネルを充実させたいからでもあるんです。株主優待ネタだけだと、いずれ壁にぶち当たるかもしれないので、ほかの分野の動画も作っていこうと考えています。

 今後は、これまでとの違う切り口やテーマの動画にもチャレンジするつもりです。

──今後も楽しみに拝見させていただきます! 今日はありがとうございました。

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