ここ1~2年、投資系YouTuberが人気を集めていますが、今回はその1人、わっけさんにご登場いただきました。

 2019年1月にYouTubeチャンネル『株主優待と配当大好きわっけ』を開設すると、翌年3月には登録者1万人を突破。その後も視聴者を増やし、今では登録者4万人を数えます。

 そんなわっけさんに、ご自身が最も得意とする株主優待投資を中心にお話を伺いました。

YouTubeを始めて格段に知識が広がった

──YouTubeチャンネルを拝見しました。かなり頻繁に更新されていますね。

 はい、週3~4本は公開するようにしています。

──今も会社にお勤めなんですよね。週に3つ、4つ動画を製作して公開するのは大変ではないですか。

 僕の動画はだいたい10分程度なんですが、それを1本作るのに4時間くらいかかります。ネタを考えて撮影するだけでなく、資料をそろえたり、撮影した動画を編集したりと、いろんな作業が必要です。

 でも、自分では大変だと思っていません。どうしたら見る人に喜んでもらえるだろうかとか、あれこれ考えながら動画を作るのが好きなんです。

──会社から帰って、夜、作業をするのですか。

 はい、あとは休みの日に作業したりしています。

──登録者4万人ともなれば、ある程度収入もあると思います。副業のような感覚でしょうか。

 お金は関係ないといったらウソになります。ただ、そんなに稼げるわけではありません(笑)。将来、今の何十倍もの人に見てもらえるようになったら話は別かもしれませんが……。

 今はお金のためというより、楽しいからやっている感じです。

──ほかに、YouTuberになってよかったと思うことはありますか?

 週に3、4本たくさんの人に見てもらえる動画を作るとなると、自分の知識や経験だけに頼るわけにはいきません。

 いろいろ調べてネタを集めたり、本を読んで勉強することも必要です。また、ときには動画を作るために何かの銘柄を買ってみることもあります。そういう意味ではYouTubeを始めてから格段に知識が広がったと思います。

──投資家としての経験値が上がったのですね。

 はい。もちろんまだ勉強しなければならないことばかりですが、少しは力がついたかなと思います。

──投資コンテンツを発信する上で大切にしている考え、ポリシーなどはありますか。

「なんとなく投資」はやめよう、ということです。よくわからないけどもうかった・減ったというのではなく、なぜそうなったのかを考えて、学びを次に生かすことが大切だと思います。

優待があるからこそ長期保有できる

──わっけさんの動画は、タイトルにもあるように株主優待ネタが多いです。もともと優待好きだったのですか。

 はい、今も保有銘柄のほとんどが優待株です。

──投資を始めたときからですか。

 いいえ、最初は違いました。僕は社会人になって数年目、2015年に株式投資を始めたのですが、その頃は優待はまったく意識していませんでした。

──何がきっかけで投資を始めたのですか。

 今の時代は何が起こるかわかりません。会社員として真面目に働いていれば将来は安泰かというと、そんなことはありません。

 だったら、若いうちからもう1つ収入源を確保しておくべきではないかと思いました。それで、友人のすすめもあり、株式投資を始めたんです。

──最初に買った銘柄を教えてください。

 旭化成です。その頃、旭化成にちょっとした不祥事あり、株価が急落したんです。たしか2日か3日連続でストップ安になりました。

──大きく下落したからじきに上がるだろう、ということでしょうか?

 はい、その不祥事は会社全体を揺るがすようなものではなかったんです。ある特定の部門で起こったもので、ほかの部門はおおむね好調を維持していました。だとしたら、下落は一時的なもので、そう遠からず上昇に向かうだろうと考えました。

 結果、予想が当たり、そこそこの利益を出すことができました。

──はじめての投資とは思えない判断です! もともと投資の知識があったのでしょうか、それともかなり勉強したのですか。

 いえいえ、投資に関してはまったくの素人でした。ただ、仕事が金融関連なので、決算短信が読めるくらいの知識はありました。それが多少有利に働いたかもしれません。

──その後、成績はどうでしたか。

 勝ったり負けたりです。大きく勝ってひと財産できたとか、負け続けて借金ができたとか、そういうことはありません。

──株主優待銘柄に注目するようになったのはなぜですか?

 その頃、僕は1つの銘柄を長期間持ち続けることは少なかったんです。ちょっと上がるとすぐに売っていたし、反対に下がったときも大ケガする前に売るようにしていました。 

 そんな中、たまたま買った銘柄が優待付きだったことがあり、それらはすぐに売らず、持ち続けることが多かったんです。

──売らなければ優待がもらえるので保有していた、ということでしょうか。

 そうです。これもよく言われることだと思うのですが、配当金より優待品が現物で届くというのは特別感もあり、長く保有しようとも思いました。

──たしかに権利確定日が迫っていたら、その日まで持っていようと思いますね。

 もちろん、その会社の業績が悪化し、回復の兆しすら見られなかったら売ります。いくら優待をもらえても、株価が大きく下落したら損をしてしまいます。

 でもちょっと下落したくらいなら、すぐに復活するかもしれないし、そこから上昇するかもしれません。その可能性があるなら、とりあえず持っておこうと思いました。

──それでいつしか、優待銘柄を中心に買うようになったのですか。

 はい。投資を始めて2、3年後からは優待銘柄ばかり買うようになりました。

──優待品が届くとうれしいですよね。

 僕の場合、どれもそんなに多く保有しているわけではないので、決して高価なものが届くわけではありません。2,000円分とか3,000円分とか、そんな程度です。

 それでもタダでもらえると、やっぱりうれしいです。まだ経験したことのない人はぜひ試してみてほしいです。

お気に入りの優待品はカタログギフト

──今現在、優待銘柄はどれくらい保有されていますか。

 30銘柄くらいです。

──長く保有しているものが多いのですか。

 はい。優待銘柄を中心に買うようになった頃、投資を始めて2、3年後くらいからずっと持っているものが多いです。

──あまり入れ替えはしないのですか?

 さっき話したように、どう考えても株価が下落するとしか思えない銘柄など、売却することはあります。

 実際、昨年はある居酒屋チェーンの株を売却しました。コロナ禍でかなり苦戦を強いられていて、この先も復活するとは思えなかったので。でも、そういうケースは少ないです。

──株主優待は廃止されたり、中身が改悪されたりすることもあります。そういうときはどうしていますか。

 それはケースバイケースです。例えば経営が厳しくて株主優待を廃止したなら、株価も下がる可能性が高いので、売却します。しかし、業績とは関係なく廃止するケースもあります。その場合は、あわてて売る必要はないので、しばらく様子を見たりします。

──なるほど。業績を重視されているのですね。

 はい、いくら優待に魅力があっても、株価が下落したら保有する価値はありません。

──30銘柄保有しているとなると、毎月何かが届くという感じですよね。

 そうですね。年2回、優待がもらえる企業も多いので。

──わっけさんのお気に入りの優待品は何ですか。

 うーん、なんだろう。その会社の商品の詰め合わせや、食事券もうれしいですが、いちばんはカタログギフトですかね。自分で欲しいものが選べるし、それに他人へのプレゼントにも使えます。

──たとえばご家族の誰かにプレゼントするとか。

 結婚されている方はそれもいいかもしれません。例えば世の中には、奥さんに投資を反対されている人も少なくないと思います。

 そういう人は、カタログギフトが届いたら、「ここから好きなものを選んでいいよ」と奥さんにあげるとか。毎回そうしていたら、「投資も悪くないかも」と思ってもらえるはずです(笑)。

──それはいいアイデアかもしれません! では、次回はわっけさんが選ぶ注目銘柄などについてお伺いします。

定番のKDDI・オリックス、映画好きならイオン!わっけさんに聞く人気優待銘柄の魅力―インタビュー【中編】
わっけさんが選ぶ、3月権利確定の優待銘柄―インタビュー【後編】