日本株の最大の買い手は日本銀行
日本株市場で、日本銀行の存在がどんどん大きくなりつつあります。日銀は、日本株のETF(上場投資信託)を年間12兆円を上限に買い入れる金融政策を実行しています。売りはせず、買いだけです。累積買い付け額は約35兆円に達しています。
日本銀行による日本株ETFの累積買い付け額推移:2011年1月~2020年10月
日銀は、2015年から買い付けペースを引き上げています。2015年は年3兆円(月間約2,500億円)の買い付けを実施。2016年に入ってから、年3.3兆円(月間約2,750億円)としました。2016年8月から買い取りペースをさらに大幅に引き上げ、年6兆円(月間約5,000億円)としました。
そして、コロナ危機で日本株が暴落した今年の3月から、暫定的に、買い入れの上限を年間12兆円まで拡大すると決めました。
「日経平均の動きを決めるのは外国人」である事実は変わらない
日本株の最大の買い手は日本銀行ですが、それでも、日経平均の値動きを決めているのは、日本銀行ではありません。外国人投資家です。
外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
日本銀行は、日経平均が下げてくると買いを増やしますが、上がってくると買いを減らします。したがって、日本銀行の買いで、日経平均が大きく上昇したり、高値をとったりすることはありません。
「日経平均が高値を取る時の買い主体は、外国人」です。日経平均が上がり続けるには、外国人が買い続ける必要があります。
反対に、日経平均が急落する時や、安値をつけていく時も、相場を主導するのは外国人です。外国人が売れば下がり、買えば上がる傾向が、過去30年【注】続いています。
【注】1989年までは日本株の動きを決めていたのは国内投資家(日本人)でした。1990年代以降、約30年、外国人の売買で日本株の動きが決まるようになっています。
まず、2018~2019年の日経平均と外国人の売買動向をご覧ください。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2018年1月4日~2019年12月30日
上のグラフを見れば明らかですが、外国人の売買に立ち向かう国内投資家は、短期的にはすべて失敗しています。
2018年1~3月や10~12月は、国内投資家がいくら買っても、外国人の強引な売りの前になすすべもなく、日経平均は急落しています。反対に、外国人が積極的に買ってくる時は、国内投資家がいくら売っても理屈抜きで、日経平均は上昇しています。
外国人から見ると、日本株は「世界景気敏感株」
それでは、続いて2020年の日経平均と外国人の売買動向をご覧ください。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年11月30日(外国人売買動向は11月20日まで)
外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。世界景気に不安が出ると、外国人は日経平均先物を即座に売ってきます。2020年はコロナ・ショックで外国人は日本株を大量に売りました。
ところが、不安が低下して投資家がリスクを取り始めるとき、外国人は日経平均先物に買いを入れます。11月に入って外国人は一転して日本株の大幅買い越しに転じました。ワクチン開発の進展によって世界経済が正常化に向かう期待が出たことに反応したものです。
売買統計が出ている11月20日までで見ると、日本株の現物と日経平均先物を合わせて、2兆円超、買い越しています。過去の経験則通り、11月の急騰は、海外勢のほぼ一手買いによって引き起こされました。
外国人投資家の日本株式現物および日経平均先物の売買動向と、日経平均騰落率:2020年1月~~11月(20日まで)
「日本株は長期投資で買い場」の見方を継続
日経平均は、これからも外国人投資家の売買によって、乱高下を繰り返すと思います。短期的な急落急騰はこれからも繰り返すと思いますが、日本株は割安で、長期投資で買い場との見方は継続します。
時間分散しつつ、配当利回り4%超えている、割安な大型高配当利回り株に投資していくことは、長期的な資産形成に寄与すると思います。
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